リクルート事件の後、日本の政治は何が変わったのか?
リクルート事件の後、日本の政治は何が変わったのか?
最近、ふと疑問に思った。
リクルート事件やロッキード事件の頃、日本では「政治家であっても検察が摘発する」という姿が当たり前のように存在していた。
しかし、その後はどうだろうか。
もちろん政治資金事件などの捜査は行われている。しかし、昔のように「政権そのものを揺るがす大型政治事件」が続いているようには見えない。
これは単なる印象なのだろうか。
あるいは、日本の制度に何らかの変化が起きたのだろうか。
仮説1 政治家がクリーンになった
最も単純な説明は、
「昔より政治家が法令を守るようになった」
というものだ。
もしそうなら、それは民主主義の成熟と言える。
しかし、それだけで説明できるのだろうか。
仮説2 検察が慎重になった
2010年の大阪地検特捜部証拠改ざん事件以降、検察は大きな批判を受けた。
失敗すれば組織全体の信用を失う。
その結果、
「勝てる事件しか扱わない」
という組織文化が強くなった可能性はある。
これは陰謀論ではなく、行政組織一般にも見られるリスク回避行動として説明できる。
仮説3 政治責任は選挙で問うという考え方
近年、
「政治家の評価は有権者が決めるべきだ」
という考え方が以前より強くなったように感じる。
つまり、
昔は
疑惑
↓
検察
↓
政治生命終了
という流れが期待されていた。
しかし現在は、
疑惑
↓
報道・国会
↓
選挙
↓
国民が判断
というモデルへと移行しているようにも見える。
民主主義としては理解できる考え方だ。
しかし、一つ問題がある。
選挙は刑事裁判ではない
仮に人気のある政治家が違法行為をしたとして、
選挙で勝てば問題は消えるのだろうか。
もちろん違う。
逆に、
無実であってもイメージだけで落選することもある。
つまり、
選挙は政策を選ぶ制度であり、
刑事責任を判断する制度ではない。
すると誰が権力を監視するのか
ここで興味深い疑問が生まれる。
検察は、
「証拠が足りない」
国会は、
「多数派だから追及しない」
裁判所は、
「法律上の争訟ではない」
そして、
選挙では別の争点で投票が行われる。
すると、
制度そのものの問題は誰が判断するのだろうか。
竹下政権以降に何か変わったのか(竹下登政権は「55年体制」の完成期)
私は、「竹下登政権になったから何かが変わった」と断言するつもりはない。
そのような証拠は知らない。
しかし、(しばしば倉山満が竹下登の「恐ろしさ」について指摘していることを踏まえてみると)
リクルート事件という巨大な政治事件の後、
日本の統治構造や検察・政治・官僚の関係性がどのように変化したのかは、もっと研究されてもよいテーマではないだろうか。
さらに近年では、検察幹部人事や官邸主導の人事制度も大きな議論となった。(これは2020年、安倍晋三の黒川弘務氏の定年延長問題)
それらが組織文化や意思決定にどのような影響を与えたのかは、冷静な制度研究の対象である。
本当に知りたいのは「黒幕」ではない
私が知りたいのは、
「誰かが裏で操作している」
という話ではない。
もっと制度的な問題である。
日本は本当に、権力者が違法行為をした場合に、それを適切に監視し、必要なら法的責任を追及できる仕組みになっているのだろうか。
もしその答えが「十分ではない」なら、
問題は個々の政治家ではなく、
制度そのものにある。
そして、その制度を点検することこそが、民主主義を支える第一歩なのではないだろうか。
最後に、一つの仮説として
もちろん、私は
「リクルート事件以降、政治家や検察の間で『この程度なら問題ない』というルールが作られた」
と主張したいわけではない。
そのような証拠を持っているわけでもない。
しかし、一つの疑問は残る。
大きな事件を経験した組織は、必ず学習する。
検察も学習し、政治家も学習し、官僚も学習する。
その結果、法律には書かれていないとしても、
「ここから先は危険だ」
「この程度なら政治的な問題で済む」
という暗黙の境界線が形成されていくことは、組織論として決して不自然ではない。
もしそうだとすれば、本当に考えるべき問題は、
「昔より政治家がクリーンになったのか」
ではない。
「日本社会において、政治的・法的に許容されるラインは、いつ、どのように変化したのか」
という問いである。
そして、そのラインは法律によって決まったのか。
それとも、政治・行政・司法が相互に影響し合う中で、社会の中に徐々に形成されていったものなのか。
私はまだ答えを持っていない。
しかし、リクルート事件以降の日本政治を考える上で、この問いそのものには十分に検証する価値があるように思う。
キーワード:
ロッキード事件
Lockheed Corporationは、日本への航空機売り込みを有利に進めるため、多額の資金を工作資金として支払ったとされました。
その結果、
当時の元首相である
田中角栄
が逮捕されました。
問題となった構図
企業
│
資金提供
│
政治家
│
行政への影響日本では「政治家でも逮捕される」という象徴的事件になりました。
リクルート事件
こちらは少し仕組みが複雑です。
当時、
リクルートの関連会社は上場前でした。
上場すると株価が何倍にもなることが予想されていました。
そこで、
未公開株を政治家や官僚などに購入させ、
未公開株購入
↓
上場
↓
株価上昇
↓
大きな利益という形で経済的利益を与えたとされました。
つまり、
現金を直接渡すのではなく、
「将来ほぼ確実に利益が出る権利」
を提供したわけです。
