ケイン、終盤2発で逆転 イングランドがコンゴの壁を突破
イングランド2-1コンゴ民主共和国。
7分、先制したのはコンゴだった。
30分までシュートを打てなかったイングランド。
GKリオネル・ムパシに止められる。
ゴールライン上でもかき出される。
時間だけが減っていく。
それでも75分。
途中出場のアンソニー・ゴードンが左からクロス。
ハリー・ケインが頭で合わせた。
そして86分。
今度はニア上を打ち抜く強烈な一撃。
キャプテンの2ゴールで、イングランドが土壇場から試合をひっくり返した。
第1章 開始7分の衝撃
ラウンド32。
負ければ大会が終わる一発勝負。
初めてノックアウトステージへ進んだコンゴ民主共和国は、試合開始から迷いがなかった。
7分。
右から大きなサイドチェンジが入る。
シャンセル・エンベンバが頭でそらす。
ボールはペナルティーエリア左へ流れた。
そこにいたのがブライアン・チペンガ。
完全にフリーだった。
低いシュートで、GKジョーダン・ピックフォードのニアサイドを破る。
0-1。
コンゴが先制した。
イングランドの守備はボール側へ寄りすぎ、逆サイドのチペンガを見失った。
大きな展開一本で、守備ブロックを横に揺さぶられた。
第2章 イングランドは前へ進めない
先制されたイングランドは、すぐに反撃できなかった。
ボールを保持しても、縦へ入らない。
コンゴは中央に選手を固め、ケインへ入るパスコースを消す。
外側へ追い出す。
クロスが入れば、センターバックが跳ね返す。
こぼれ球にも素早く反応する。
イングランドが最初のシュートを打ったのは30分を過ぎてから。
ボールを支配していても、相手ゴールへ迫れていなかった。
第3章 ムパシが止める
イングランドは徐々にゴール前へ入る回数を増やした。
ジュード・ベリンガムがクロスへ飛び込む。
ヘディングでゴールを狙う。
しかし、GKムパシが止める。
再びベリンガムが頭で合わせても、またムパシが立ちはだかった。
シュートコースを読む。
体を大きく使う。
弾いたあとも、すぐに立ち上がる。
コンゴの守備陣は、最後にムパシがいることで思い切って寄せることができた。
第4章 ゴールラインでも止める
コンゴはGKだけに頼っていたわけではない。
アーロン・ワン=ビサカがゴールライン上でクリア。
アクセル・トゥアンゼベも中央でケインに体を寄せた。
ケインが動けば、マークを受け渡す。
クロスが入れば、先に落下地点へ入る。
イングランドはゴール前へボールを送る。
だが、コンゴの選手が体を投げ出して止める。
前半終了。
0-1。
優勝候補のイングランドが追い込まれていた。
第5章 交代で幅を変える
後半、トーマス・トゥヘル監督が動いた。
両ウイングを交代。
途中出場の選手がサイドから仕掛ける。
縦へ運ぶ。
相手サイドバックを押し下げる。
コンゴの守備は、それまで中央を固めることに成功していた。
だが、外側から一対一を仕掛けられると、中央の選手がサイドへ引き出される。
そこで生まれたスペースへ、ケインが入っていった。
交代で選手を変えただけではない。
攻撃の幅とテンポを変えた。
第6章 ゴードンからケイン
75分。
左サイドでゴードンがボールを持つ。
相手を前に置きながら、クロスを送った。
ケインがゴール前へ走り込む。
DFの前へ入る。
高く跳ぶ。
頭で合わせる。
1-1。
ようやくコンゴの守備を崩した。
ケインはクロスが上がってから動いたのではない。
ゴードンが顔を上げた瞬間にスタートしていた。
相手より先に落下地点へ入る。
ストライカーの準備が生んだ同点ゴールだった。
第7章 ケインが仕留める
同点後、流れはイングランドへ傾いた。
コンゴの選手には疲労が見える。
サイドへの寄せが遅れる。
ゴール前のマークも少しずつずれる。
86分。
ケインがペナルティーエリア内でボールを受ける。
ゴールを見る。
右足を振り抜く。
シュートはニアサイドの上へ突き刺さった。
2-1。
GKの頭上を抜く、強烈な一撃。
残り15分で2ゴール。
試合の大半で苦しんでいても、最後に勝敗を決める。
これがエースだった。
第8章 W杯通算13得点
ケインは、この日の2得点でワールドカップ通算13ゴール。
ペレを抜き、ジュスト・フォンテーヌと並ぶ歴代6位タイとなった。
数字もすごい。
だが、この試合で最も印象に残ったのは得点した時間だ。
75分。
86分。
チームが敗退へ近づいていた時間に、2度ネットを揺らした。
シュートを何本打ったかではない。
最も重要な場面で決められるか。
ケインは、キャプテンとしてイングランドを救った。
第9章 コンゴの90分
コンゴ民主共和国は敗れた。
それでも、内容まで否定される試合ではない。
早い時間に先制した。
中央を閉じた。
ムパシが止めた。
ワン=ビサカがゴールライン上で防いだ。
トゥアンゼベを中心に、世界屈指の攻撃陣へ体を当て続けた。
残り15分までリードしていた。
あと少しだった。
本当に、あと少しだった。
最後に許した二つのチャンスを、世界最高峰のストライカーに仕留められた。
その差が残酷だった。
第10章 次はメキシコ
イングランドはラウンド16でメキシコと対戦する。
会場はメキシコシティ。
完全なアウェーになる。
メキシコは4試合連続無失点。
中央に選手を固め、奪った瞬間に速く前へ出る。
コンゴ戦のように、前半から攻撃が停滞すれば苦しくなる。
ケインへどうボールを届けるのか。
サイドで誰が一対一を突破するのか。
途中出場選手が、どう流れを変えるのか。
イングランド2-1コンゴ民主共和国。
危機を救ったのは、キャプテンだった。
ただし、次もケインの一撃だけに頼るわけにはいかない。
優勝を狙うなら、チーム全体で攻撃の形を増やす必要がある。
メキシコシティでは、さらに激しい90分が待っている。
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