メッシ、途中出場でW杯19点目 アルゼンチン3連勝で首位突破
ヨルダン1-3アルゼンチン。
先発を9人入れ替えた。
リオネル・メッシもベンチスタート。
それでも、アルゼンチンは強かった。
19分、ジオヴァニ・ロ・チェルソが直接フリーキックを沈める。
31分、ラウタロ・マルティネスがPKを決める。
後半、ヨルダンに1点を返されても慌てない。
60分。
背番号10がピッチへ入る。
そして80分、メッシが低い弾道の直接フリーキックをゴールへ突き刺した。
今大会6得点。
ワールドカップ通算19得点。
7試合連続ゴール。
アルゼンチンは主力を休ませながら、グループステージを3連勝で終えた。
王者の強さは、メッシが先発しなくても勝てること。
そして、必要になればメッシが試合を決めることだ。
第1章 先発9人を変更
アルゼンチンは、すでにグループJの首位通過を決めていた。
そのため、ヨルダン戦では先発9人を変更した。
いわゆるターンオーバーだ。
ターンオーバーとは、連戦の中で先発選手を入れ替え、主力の疲労を抑えることをいう。
ワールドカップは短期間に試合が続く。
グループステージだけを見て全力を使い切れば、ノックアウトステージで足が止まる。
休ませる選手。
試合勘を与える選手。
状態を確認したい選手。
そのバランスを考えながらメンバーを組む必要がある。
ただし、大幅に先発を入れ替えると、パスのタイミングや守備の連係がずれることもある。
アルゼンチンは、そのリスクを抱えながらもヨルダンを押し込んだ。
選手が変わっても、チームの戦い方は変わらない。
これが、優勝候補の選手層だ。
第2章 メッシ不在の先発
メッシはベンチスタートだった。
アルゼンチンがメッシを先発から外してワールドカップを戦うのは、2006年大会のドイツ戦以来だという。
約20年。
それだけ長い間、アルゼンチンのワールドカップはメッシとともにあった。
パスを受ける。
相手を引きつける。
決定機をつくる。
苦しい時間にゴールを奪う。
メッシがピッチにいるだけで、相手の守備は背番号10を強く意識する。
だが、この試合のアルゼンチンは、その存在に最初から頼らなかった。
他の選手がボールを動かし、相手陣内へ入る。
メッシがいなくても試合を支配する。
これは、アルゼンチンにとって重要な90分だった。
第3章 ロ・チェルソの左足
19分。
アルゼンチンがゴール正面でフリーキックを獲得する。
キッカーはロ・チェルソ。
左足を振り抜いた。
シュートは壁を越すような高い軌道ではない。
GKの動きを見ながら、逆を突くようにゴールへ送った。
ボールはネットへ突き刺さる。
0-1。
アルゼンチンが先制した。
直接フリーキックでは、強さだけでなく駆け引きが必要になる。
壁の上を狙うのか。
壁の横を抜くのか。
GKが一歩動く瞬間を狙うのか。
ロ・チェルソは、力任せではなくコースを選んだ。
メッシがいない時間に、別の左足が試合を動かした。
第4章 攻撃の手を緩めない
先制したアルゼンチンは、ボールを保持して時間を使うだけでは終わらなかった。
さらに前へ出た。
28分。
ニコラス・タグリアフィコが左サイドからクロスを送る。
ラウタロ・マルティネスが左足で合わせる。
強烈なシュートはクロスバーを叩いた。
こぼれ球へ飛び込んだマルコス・セネシが、ダイビングヘッド。
ここはヨルダンのGKが防いだ。
ゴールにはならなかったが、アルゼンチンは攻撃を一度で終わらせていない。
クロス。
シュート。
こぼれ球への反応。
ゴール前へ複数の選手が入ることで、二度目、三度目のチャンスをつくっていた。
第5章 VARでPK獲得
セネシがヘディングした場面で、ヨルダンの選手の足が顔付近に入っていた。
主審はすぐにPKを与えなかった。
しかし、VARによる確認が始まる。
VARとは、映像を使って重大な判定を確認する仕組みだ。
得点。
PK。
退場。
選手の取り違え。
こうした試合を左右する場面が対象になる。
映像を確認した結果、アルゼンチンにPKが与えられた。
キッカーはラウタロ。
31分、ゴールへ沈める。
0-2。
ポストに阻まれた直後だったが、ラウタロは気持ちを切り替えた。
決定機を外したあとでも、次の機会で迷わない。
ゴールを奪う選手に必要な強さだ。
第6章 ヨルダンは裏を狙う
ヨルダンも、ただ守っていたわけではない。
狙っていたのは、アルゼンチンのサイドバックが前へ出たあとのスペースだった。
アルゼンチンが攻撃するとき、左右の選手は高い位置を取る。
攻撃の人数を増やせる一方で、ボールを失った瞬間には背後が空く。
ヨルダンは、そこへ速くボールを運ぼうとした。
ただし、ゴール前での最後のパスが合わない。
良い位置まで進んでも、シュートへつなげられなかった。
相手の背後へ出るだけでは得点にならない。
パスを受ける選手。
中央へ入る選手。
後方から支える選手。
最後の局面で複数の選手が連動する必要がある。
ヨルダンは狙いを見せたが、前半は得点まで届かなかった。
第7章 後半にヨルダンが変化
0-2で迎えた後半。
ヨルダンはムーサ・アッ=タアマリーとマフムード・アル=マルディを投入した。
試合の流れを変えるための交代だ。
途中出場の選手には、疲れている相手へ仕掛ける役割がある。
ボールを受けて前を向く。
ドリブルで運ぶ。
背後へ走る。
ヨルダンは、後半開始から攻撃の速度を上げた。
51分には、アッ=タアマリーがペナルティーエリア手前からシュートを放つ。
前半には少なかった、ゴールへ向かうプレーだった。
そして、その積極性が55分の得点につながる。
第8章 アッ=タアマリーが決める
55分。
ヨルダンが右サイドから攻撃する。
ゴール前へ折り返されたボールに、アッ=タアマリーが走り込んだ。
スライディングで合わせる。
ボールはゴールへ吸い込まれた。
1-2。
ヨルダンが1点差へ迫る。
この得点で、試合の空気が変わった。
アルゼンチンにとっては、主導権を握りながら失点した形だ。
先発を大幅に入れ替えている。
ピッチ上の連係も、いつものメンバーとは違う。
ヨルダンがもう1点を奪えば、スタジアムの熱はさらに高まる。
試合を落ち着かせる必要があった。
そこでアルゼンチンは、ベンチにいる背番号10を動かす。
第9章 60分、メッシ登場
60分。
アルゼンチンは3選手を同時に交代させた。
メッシがピッチへ入る。
スタジアムの空気が変わる。
ヨルダンの守備は、メッシの位置を確認しなければならない。
誰が寄せるのか。
ドリブルをどこへ誘導するのか。
パスを出したあと、誰が追うのか。
メッシを意識する選手が増えれば、ほかの味方にはスペースが生まれる。
これが、世界最高峰の選手が持つ影響力だ。
ボールへ触れていない時間でも、相手の守備を動かす。
アルゼンチンは、メッシを投入して試合の速度を調整した。
攻め急がない。
ボールを失わない。
必要な瞬間に、ゴールへ向かう。
そして80分、その瞬間が訪れた。
第10章 メッシの低弾道FK
メッシがペナルティーエリア手前で倒される。
アルゼンチンがフリーキックを獲得した。
キッカーはメッシ。
ゴールまでの距離は近い。
壁もつくられている。
高く曲げれば、クロスバーを越える可能性がある。
メッシが選んだのは、低い軌道だった。
左足をコンパクトに振る。
シュートは壁の横を抜け、低く鋭くゴールへ向かう。
GKが反応する。
届かない。
1-3。
途中出場のメッシが、試合を決めた。
大きく助走を取るわけではない。
力いっぱい振り抜くわけでもない。
壁とGKの位置を見て、最も通る可能性の高い場所へ蹴る。
技術だけではない。
相手の準備を読み切った一撃だった。
第11章 W杯通算19ゴール
この得点で、メッシはワールドカップ通算19ゴールとなった。
自身が持つ歴代最多記録を、さらに更新した。
今大会は3試合で6得点。
ワールドカップでは7試合連続ゴール。
数字が現実離れしている。
ワールドカップは、毎週行われるリーグ戦ではない。
4年に一度。
対戦相手も、試合会場も、気候も変わる。
国を背負う重圧もある。
そこで7試合続けてゴールを奪う。
しかも、この日は先発ではない。
60分から出場し、20分後には直接フリーキックを決めた。
出場時間が短くても、試合を決める。
メッシのすごさは、長くプレーすることではない。
限られた時間の中で、最も重要な仕事を完了させることだ。
第12章 3連勝で首位突破
試合は1-3で終了した。
アルゼンチンはグループステージ3連勝。
勝点9。
8得点1失点。
グループJを首位で通過した。
先発9人を変更しても勝利。
ロ・チェルソが先制。
ラウタロが追加点。
途中出場のメッシが試合を決める。
主力。
控え。
途中出場。
それぞれが役割を果たした。
長い大会を勝ち上がるには、先発11人だけでは足りない。
疲労。
ケガ。
出場停止。
相手との相性。
さまざまな状況に対応できる選手層が必要になる。
ヨルダン戦でアルゼンチンが見せたのは、メッシの記録だけではない。
誰が出ても勝利へ進める、チーム全体の強さだった。
第13章 次はカーボベルデ
ラウンド32で、アルゼンチンはカーボベルデと対戦する。
ワールドカップ初出場ながら、グループステージを突破したチームだ。
アルゼンチンが優勝候補であることは間違いない。
それでも、ノックアウトステージに簡単な試合はない。
一度負ければ終わる。
相手は守備ブロックを組み、アルゼンチンの攻撃を中央から遠ざけようとするだろう。
メッシへボールを入れさせない。
奪った瞬間に速く攻める。
セットプレーを狙う。
カーボベルデにも、勝つための道筋はある。
アルゼンチンが必要とするのは、グループステージと同じ冷静さだ。
ボールを持っても焦らない。
相手を動かす。
空いた場所へ入る。
そして、勝負どころで仕留める。
ヨルダン戦では、その最後の仕事をメッシが担った。
第14章 ヨルダンが残した一歩
ヨルダンは3連敗で大会を終えた。
初めて出場したワールドカップ。
勝点を獲得することはできなかった。
それでも、アッ=タアマリーのゴールは残った。
後半開始から選手を入れ替え、世界王者アルゼンチンから1点を奪った。
守るだけではなかった。
サイドバックの裏を狙う。
途中出場の選手が仕掛ける。
ゴール前へ走り込む。
自分たちから得点を奪いにいった。
初出場の大会では、世界との差を感じる場面も多い。
パスの速度。
守備の寄せ。
ゴール前の精度。
それでも、世界の舞台で得た経験は次につながる。
ヨルダンのワールドカップは終わった。
だが、この3試合が次の世代にとってのスタートになる。
ヨルダン1-3アルゼンチン。
先発9人を変更しても、アルゼンチンは勝った。
メッシがいない時間は、ロ・チェルソとラウタロが得点する。
ヨルダンに追い上げられれば、メッシが途中出場する。
そして、直接フリーキックで試合を決める。
一人のスーパースターだけではない。
スーパースターを休ませても勝てる選手層。
必要な時間に投入し、結果を出させる試合運び。
そこまで見えると、アルゼンチンの強さはもっと深くなる。
そしてワールドカップは、ゴールの瞬間だけでなく、そのゴールが必要になった理由まで面白くなる。
📘 日本代表をもっと楽しむために
今回のワールドカップで、日本代表をもっと楽しむための本も書きました。
テーマは、日本代表はなぜ強くなったのか。
森保ジャパンの26人メンバー選考、戦術分析、そして2026年ワールドカップでベスト8へ進むための勝ち筋を、できるだけ分かりやすくまとめています。
「なぜこの選手が選ばれたのか」
「なぜこの形で守るのか」
「どこでボールを奪おうとしているのか」
そこまで見えると、日本代表の試合はもっと面白くなります。
▼日本代表を応援するための本はこちら
📚 ワールドカップ関連本もあります
開催国。
移動距離。
時差。
暑さ。
戦術。
AI。
データ。
試合が始まる前から、ワールドカップには面白いポイントがたくさんあります。
▼移動・時差・暑さから大会を読む一冊
▼48チーム時代の勝ち筋を戦術から読む一冊
▼AI・VAR・選手データから未来の観戦を楽しむ一冊
