フランス、粘るパラグアイをPKで突破 エムバペ7点目でモロッコとの準々決勝へ
パラグアイ0-1フランス。
派手なゴールショーではなかった。
圧倒的な崩し合いでもなかった。
それでも、これがワールドカップの決勝トーナメントだ。
ラウンド32でドイツをPK戦の末に破ったパラグアイは、この日も簡単には崩れなかった。
中央を閉じ、ゴール前に人数をかけ、フランスの攻撃を外へ外へ追い出していく。
フランスはボールを持つ。
でも、ゴール前には入れない。
その重たい試合を動かしたのは、やはりキリアン・エムバペだった。
69分、VARを経てフランスがPKを獲得。
エムバペが冷静に沈め、これが決勝点。
今大会7点目。
ゴールデンブーツ争いでも首位に浮上。
さらにワールドカップ通算得点記録にも迫る一撃となった。
フランスが1-0でパラグアイを下し、準々決勝へ。
次に待つのは、カナダを3-0で下したモロッコだ。
第1章 パラグアイは守る覚悟を持っていた
この試合のパラグアイは、最初から狙いがはっきりしていた。
まず中央を閉じる。
フランスの攻撃を、できるだけ危険なエリアに入れさせない。
エムバペに前を向かせない。
デンベレに自由な仕掛けをさせない。
中盤から縦パスを入れられても、すぐに寄せる。
これは、ただ引いて守った試合ではない。
守備ブロックの中で、どこを消すかが整理されていた。
フランスがボールを持つ時間は長い。
しかし、パラグアイは慌てない。
ゴール前に人数を残し、ライン間を狭くする。
サイドにボールが出れば、タッチライン側へ誘導する。
クロスを上げられても、中央で跳ね返す。
前半のフランスは、遠めからのシュートが多くなった。
つまり、パラグアイの守備が「そこからなら打っていい」という場所へ追い込んでいたということだ。
第2章 フランスはボールを持ちながら苦しんだ
フランスは主導権を握っていた。
でも、主導権と決定機は同じではない。
ボールを持つ。
パスを回す。
相手陣内に入る。
それでも、最後のところでパラグアイの壁がある。
エムバペが左で受けようとすると、すぐに複数人が寄せる。
中央へ入れようとすれば、パラグアイの中盤がコースを切る。
ゴール前に入る前に、攻撃のスピードが落ちる。
フランスにとって一番嫌だったのは、相手を動かしきれなかったことだ。
守備ブロックを崩すには、横に揺さぶるだけでは足りない。
縦パスを入れる。
3人目が飛び出す。
逆サイドへ展開する。
相手の目線をずらす。
前半のフランスは、その崩しの一歩手前で止まっていた。
パラグアイからすれば、前半0-0は狙い通り。
フランスからすれば、少しずつ焦りが生まれる展開だった。
第3章 ヒルが立ちはだかった後半の入口
後半に入ると、フランスの圧力が少しずつ増していく。
きっかけは、ウスマン・デンベレだった。
素早いコーナーキックからサイドネットを揺らす場面を作る。
ゴールにはならなかったが、パラグアイの守備に「一瞬も休めない」と思わせるプレーだった。
さらにマヌ・コネの強烈なミドルシュート。
これは完全に枠を捉えた。
しかし、GKオルランド・ヒルが体を伸ばし切って弾き出す。
この試合、ヒルはパラグアイの粘りを象徴する存在だった。
フランスが外から打つ。
パラグアイが寄せる。
こぼれ球にも体を投げ出す。
最後はヒルが止める。
パラグアイは、守備の集中を切らさなかった。
ただ、フランスの圧力は確実に上がっていた。
ボールがパラグアイ陣内に滞在する時間が長くなり、クリアしても回収される。
セカンドボールを拾われ、また押し込まれる。
この時間帯から、試合の針は少しずつフランス側へ傾いていった。
第4章 69分、VARで生まれたPK
そして69分。
試合を動かしたのは、ペナルティーエリア内での接触だった。
途中出場のデジレ・ドゥエがボックス内で倒される。
VARの確認を経て、フランスにPK。
パラグアイからすれば、あまりにも痛いワンプレーだった。
ここまで組織で耐えてきた。
中央を閉じてきた。
遠めのシュートに追い込んできた。
GKヒルも止めてきた。
それでも、押し込まれ続けると、守備は少しずつ苦しくなる。
対応が半歩遅れる。
足を出すタイミングがずれる。
エリア内で相手に先に体を入れられる。
PKは突然生まれたように見えて、実はフランスが後半に積み上げた圧力の結果でもあった。
第5章 エムバペは逃さない
PKスポットに立ったのは、もちろんエムバペ。
この場面で、彼は揺れなかった。
ヒルの逆を突き、冷静にゴールへ流し込む。
フランス先制。
スコアは0-1。
これがエムバペの今大会7点目。
ゴールデンブーツ争いで首位に立つ得点となった。
しかも、ただの1点ではない。
ワールドカップのノックアウトステージ通算11得点目。
さらに3大会連続でベスト16の試合で得点した史上初の選手となった。
数字がすごい。
でも、それ以上に怖いのは、試合の重さを消してしまうことだ。
なかなか崩せない。
相手GKが当たっている。
時間だけが過ぎていく。
そんな試合でも、最後はエムバペが決める。
フランスが強い理由は、そこにある。
第6章 パラグアイは敗れたが、強度は落ちなかった
パラグアイは敗れた。
それでも、このチームの戦いは胸を張れるものだった。
ドイツを破った勢いは本物だった。
フランス相手にも、守備の規律は崩れなかった。
球際で戦い、セカンドボールにも食らいついた。
失点はPKの1点だけ。
流れの中で大きく崩されたわけではない。
最後まで試合を簡単には渡さなかった。
ただ、決勝トーナメントでは、その「あと少し」が大きい。
押し込まれた時間に、どう逃げるか。
前線でどうボールを収めるか。
カウンターで相手を押し返せるか。
守備だけでなく、攻撃で時間を作れるか。
パラグアイは守れた。
でも、フランスを後ろ向きに走らせる回数は足りなかった。
そこが、勝敗を分けた。
第7章 次はフランス対モロッコ
これで準々決勝は、フランス対モロッコ。
これは面白い。
フランスは、エムバペを中心に個の力で試合を動かせるチーム。
デンベレ、ドゥエ、コネと、局面を変える選手もいる。
一方のモロッコは、カナダ戦で前半苦しみながらも、後半にウナヒの2ゴールとラヒミの追加点で3-0。
守って耐え、トランジションで刺す力がある。
フランスがボールを持つのか。
モロッコが守備ブロックを組んで待つのか。
エムバペの背後への抜け出しを、モロッコがどう消すのか。
逆にモロッコは、ボールを奪った瞬間にどこへ出すのか。
準々決勝は、ただの強豪対決ではない。
「個の破壊力」と「組織の粘り」がぶつかる試合になる。
第8章 1-0の試合こそ、見方が面白い
この試合は、スコアだけなら1-0。
でも中身を見れば、かなり濃い。
パラグアイがどこを閉じたのか。
フランスはなぜ前半に決定機を作れなかったのか。
後半、なぜ圧力が高まったのか。
VARのPKは、どんな流れから生まれたのか。
エムバペはなぜ大舞台で決め切れるのか。
こういう視点で見ると、ワールドカップは一気に深くなる。
「強い国が勝った」で終わらせるのは、もったいない。
守備ブロック。
ライン間。
セカンドボール。
ファイナルサード。
トランジション。
PKにつながるエリア内の駆け引き。
そこが見えてくると、1-0の試合も熱くなる。
日本代表の試合も同じです。
なぜ中央を閉じるのか。
なぜサイドへ誘導するのか。
ボールを奪った後、最初にどこを見るのか。
交代選手が、どの時間帯で何を変えるのか。
そうした視点を持つと、代表戦はもっと面白くなります。
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