コンゴ民主共和国、後半3発で歴史的初勝利 ウィサ2得点で3位突破
コンゴ民主和国3-1ウズベキスタン。
前半を終えた時点では、0-1。
このままなら、グループステージ敗退だった。
開始20秒にゴールネットを揺らされる。
10分には、本当に先制点を奪われる。
16分、ナタナエル・ムブクが強烈なシュートを突き刺したが、VARで取り消された。
追いつけない。
時間だけが減っていく。
それでも、コンゴ民主共和国は止まらなかった。
68分、ヨアン・ウィサがPKを決める。
78分、途中出場のフィストン・マイエレが逆転弾。
90+1分には、再びウィサ。
低く鋭いミドルシュートが、ゴール右隅へ吸い込まれた。
後半だけで3得点。
コンゴ民主共和国が逆転でワールドカップ初勝利をつかみ、グループKを3位で突破した。
歴史が変わったのは、わずか23分の間だった。
第1章 勝たなければ終わる
試合前、コンゴ民主共和国とウズベキスタンは、ともに今大会未勝利だった。
コンゴ民主共和国は勝点1。
ウズベキスタンは勝点0。
コンゴ民主共和国には、勝てば各グループ3位の成績上位に入り、ラウンド32へ進める可能性があった。
引き分けでは足りない。
勝点1を守る戦いではなく、勝点3を奪いにいく試合だった。
一方のウズベキスタンも、初めて出場したワールドカップで歴史的な勝利を狙っていた。
どちらが先に大会初勝利をつかむのか。
どちらが次のステージへ進むのか。
両国にとって、ただの日程最終戦ではない。
自国のサッカー史を動かす90分だった。
第2章 開始20秒の衝撃
キックオフから、わずか20秒。
ウズベキスタンがゴールネットを揺らした。
相手ゴール前へクロスを送る。
こぼれ球へ反応したエルドル・ショムロドフが押し込んだ。
いきなり先制。
そう思われたが、判定はオフサイドだった。
得点は認められない。
コンゴ民主共和国は救われた。
ただし、この場面は偶然ではない。
ウズベキスタンは開始直後から迷わず前へ出ていた。
相手の守備が整う前に縦へ運び、ゴール前へ人数をかける。
コンゴ民主共和国は、試合への入り方で後手を踏んでいた。
取り消されたとはいえ、開始20秒のゴールは警告だった。
そして10分後、その警告が現実になる。
第3章 ショムロドフが歴史を刻む
10分。
ウズベキスタンが、今度こそ先制した。
中央から縦パスが入る。
アボスベク・ファイズラエフが、ワンタッチで前へ流した。
フリックと呼ばれるプレーだ。
ボールを止めず、軽く触って味方の進行方向へ送る。
この一手で、コンゴ民主共和国の守備ラインに隙が生まれた。
左側へ抜け出したショムロドフは、GKリオネル・ムパシの位置を確認。
左足でボールを浮かせる。
ループシュートはムパシの頭上を越え、そのままゴールへ落ちた。
0-1。
ショムロドフの判断は冷静だった。
力任せに打つのではなく、前へ出たGKの頭上を狙う。
しかも、この得点はウズベキスタンがワールドカップで初めて奪った先制点となった。
歴史を先に動かしたのは、ウズベキスタンだった。
第4章 ムブクの同点弾が消える
追いかけるコンゴ民主共和国も、すぐに反撃した。
16分。
ムブクが右サイドから中央へ切れ込む。
一度左へボールを預け、ペナルティーエリア手前でリターンパスを受ける。
迷わず左足を振り抜いた。
強烈なシュートがニアサイドへ突き刺さる。
1-1。
試合を振り出しに戻したかに見えた。
しかし、VARが介入する。
確認されたのは、シュートの場面ではない。
その前のドリブルだった。
ムブクが相手をかわした際にファウルがあったと判断され、得点は取り消された。
サッカーでは、ゴールへ至る一連の流れが確認される。
最後のシュートが完璧でも、その前に反則があれば得点にはならない。
喜びは一瞬で消えた。
開始20秒のウズベキスタンに続き、今度はコンゴ民主共和国のゴールが取り消された。
前半は、両国の歓喜がVARとオフサイドによって消える展開になった。
第5章 攻めても届かない前半
先制されたコンゴ民主共和国は、前へ出た。
サイドからクロスを入れる。
前線の選手へ縦パスを送る。
こぼれ球にも素早く反応する。
それでも、ゴールが遠い。
ウズベキスタンはアブドゥコディル・フサノフを中心に、ゴール前を固めた。
守備ブロックをつくり、危険な中央を閉じる。
クロスを入れられても、最後のところで跳ね返した。
コンゴ民主共和国がボールを持つ。
ウズベキスタンが耐える。
そんな時間が続いた。
コンゴ民主共和国に必要だったのは、ボールを持つ時間を増やすことではない。
相手の守備が整う前に仕掛けること。
ゴール前へ入る人数を増やすこと。
そして、攻撃の速度を変えることだった。
0-1で迎えたハーフタイム。
突破へ進むには、最低でも2得点が必要になる。
残された時間は45分だった。
第6章 51分の交代が流れを変える
後半開始時、両チームに交代はなかった。
コンゴ民主共和国は、前半と同じ選手で攻勢を強める。
左サイドからクロス。
ウィサがゴール前へ入る。
足を伸ばして合わせたが、シュートはわずかに左へ外れた。
ゴールの気配は強くなっていた。
そして51分。
コンゴ民主共和国は、セドリック・バカンブを下げ、マイエレを投入する。
かなり早い時間の交代だった。
監督からのメッセージは明確だ。
待っている時間はない。
前線へ新しい力を加え、相手守備へさらに圧力をかける。
交代は、疲れた選手を入れ替えるだけではない。
攻撃の形を変え、相手に新しい判断を迫るための戦術でもある。
このマイエレが、後に試合をひっくり返す。
第7章 ウズベキスタンが耐える
後半に入ると、コンゴ民主共和国が押し込む時間が増えた。
サイドから仕掛ける。
クロスを入れる。
跳ね返されても、セカンドボールを拾う。
セカンドボールとは、競り合いやクリアのあとにこぼれたボールだ。
ここを回収できれば、攻撃を終わらせずに続けられる。
コンゴ民主共和国は中盤の選手も高い位置を取り、ウズベキスタンを自陣へ押し込んだ。
ウズベキスタンは59分に2選手を同時に交代。
守備の強度を保とうとした。
フサノフを中心に、最後のところで体を張る。
クロスを跳ね返す。
シュートコースを消す。
時間は着実に減っていく。
コンゴ民主共和国に焦りが出てもおかしくなかった。
しかし、攻撃を急ぎすぎなかった。
横へ動かし、相手を揺さぶり、再びサイドから仕掛ける。
その積み重ねが、68分のPKにつながる。
第8章 ウィサが追いつく
68分。
コンゴ民主共和国が右サイドからクロスを入れる。
ゴール前へ飛び込んだのはウィサ。
足を伸ばしてボールへ触ろうとした瞬間、フサノフの足が入った。
ウィサが倒れる。
判定はPK。
コンゴ民主共和国にとって、ようやく訪れた最大の好機だった。
キッカーは、倒されたウィサ自身。
負ければ終わる試合。
外せば、残り時間はさらに苦しくなる。
重圧のかかる場面だった。
それでも、ウィサは冷静だった。
ゴールへ流し込み、1-1。
ついに追いついた。
ただ、喜んでいる時間はない。
引き分けでは突破できない。
コンゴ民主共和国に必要なのは、もう1点だった。
同点はゴールではなく、逆転へのスタート地点だった。
第9章 3枚替えで勝負に出る
72分。
コンゴ民主共和国は、一気に3人を交代させた。
残り時間は約20分。
監督は引き分けを受け入れなかった。
新しい選手を入れ、攻撃の強度をさらに上げる。
この交代でピッチへ入った選手の一人が、メシャク・エリアだった。
途中出場の選手に求められるのは、試合へゆっくり入ることではない。
最初のプレーから流れへ乗る。
疲れている相手へ仕掛ける。
走る。
勝負する。
この積極性が、わずか6分後に逆転弾を生み出す。
交代で入ったエリア。
51分から出場していたマイエレ。
途中出場の2人が、コンゴ民主共和国の歴史を動かした。
第10章 マイエレが逆転弾
78分。
エリアが左サイドから中央へ切れ込んだ。
右足を振り抜く。
シュートはウズベキスタンのDFに当たり、ゴール前へこぼれた。
そこへ最も早く反応したのがマイエレだった。
迷わず押し込む。
2-1。
コンゴ民主共和国が逆転した。
美しいパス交換から生まれたゴールではない。
相手に当たったボールを、途中出場の選手が押し込んだ。
だが、こうしたゴールこそ大きな意味を持つ。
攻撃の選手に必要なのは、ボールがこぼれる場所を予測することだ。
シュートが直接入らなくても終わりではない。
GKが弾く。
DFに当たる。
ゴール前に残る。
マイエレは、その可能性を信じて走っていた。
だから、逆転弾を奪えた。
采配と選手の反応が重なったゴールだった。
第11章 ウィサが試合を決める
逆転したコンゴ民主共和国は、守りに入ることもできた。
残り時間を使い、1点のリードを守る。
それでも、ウィサはもう一度ゴールへ向かった。
90+1分。
ペナルティーエリア左でパスを受ける。
ボールを少し後方へ運び、相手との距離をつくる。
腰をひねり、右足を振り抜いた。
シュートは地を這うような軌道で、ファーサイドへ吸い込まれた。
3-1。
勝負を決める一撃だった。
ウィサはPKだけで終わらなかった。
流れの中から、自分の技術で2点目を奪った。
ファーサイドとは、シュートを打つ選手から遠い側のゴールだ。
GKの手が届きにくい場所へ、低く正確に流し込む。
同点弾。
そして、試合を決める追加点。
ウィサが、この歴史的勝利の中心に立った。
第12章 初勝利で3位突破
試合終了。
コンゴ民主共和国は3-1で逆転勝利した。
ワールドカップでの歴史的初勝利。
そして、グループKを3位で通過。
ラウンド32進出を決めた。
前半終了時点では、敗退が迫っていた。
先制され、自分たちの同点弾は取り消される。
それでも、後半に3得点。
交代策が機能し、ウィサが2ゴールを奪った。
苦しい状況でも攻撃を続けたからこそ、歴史を変えられた。
次の相手はイングランド。
グループLを首位で通過した強豪だ。
コンゴ民主共和国にとって、簡単な相手ではない。
ボールを持たれる時間も増える。
守備で耐える時間も長くなるだろう。
それでも、失うものはない。
敗退寸前から逆転し、初勝利をつかんだ勢いがある。
イングランドにとっても、決して油断できる相手ではない。
第13章 ウズベキスタンの旅は終わる
ウズベキスタンは3連敗となり、グループステージで敗退した。
初めて出場したワールドカップは、ここで終わる。
結果だけを見れば、厳しい大会だった。
それでも、何も残らなかったわけではない。
ショムロドフは、ウズベキスタン史上初となるワールドカップでの先制点を奪った。
開始直後から前へ出る姿勢も見せた。
後半は押し込まれながら、フサノフを中心に長い時間を耐えた。
世界大会でしか得られない経験がある。
相手が攻撃の強度を上げたとき、どう試合を落ち着かせるのか。
リードした状態で、どこまで前へ出るのか。
交代選手をどう守備へ組み込むのか。
初出場で経験した悔しさは、次の大会を目指す土台になる。
この敗戦が、ウズベキスタンサッカーの終わりではない。
世界へ踏み出した最初の一歩だ。
コンゴ民主共和国3-1ウズベキスタン。
前半はウズベキスタンが歴史を動かした。
後半はコンゴ民主共和国が、試合そのものをひっくり返した。
PK。
途中出場選手の逆転弾。
アディショナルタイムのミドルシュート。
一つの交代。
一度のこぼれ球。
最後まで前へ出る意志。
そこに注目すると、ワールドカップは結果を見るだけでは終わらない。
なぜ流れが変わったのか。
なぜ途中出場の選手が得点できたのか。
なぜ1-1になっても攻め続けたのか。
試合の奥にある理由まで見えると、サッカーはもっと面白くなる。
📘 日本代表をもっと楽しむために
今回のワールドカップで、日本代表をもっと楽しむための本も書きました。
テーマは、日本代表はなぜ強くなったのか。
森保ジャパンの26人メンバー選考、戦術分析、そして2026年ワールドカップでベスト8へ進むための勝ち筋を、できるだけ分かりやすくまとめています。
「なぜこの選手が選ばれたのか」
「なぜこの形で守るのか」
「どこでボールを奪おうとしているのか」
そこまで見えると、日本代表の試合はもっと面白くなります。
▼日本代表を応援するための本はこちら
📚 ワールドカップ関連本もあります
開催国。
移動距離。
時差。
暑さ。
戦術。
AI。
データ。
試合が始まる前から、ワールドカップには面白いポイントがたくさんあります。
▼移動・時差・暑さから大会を読む一冊
▼48チーム時代の勝ち筋を戦術から読む一冊
▼AI・VAR・選手データから未来の観戦を楽しむ一冊
