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モロッコ、91分の同点弾からPK戦制覇 守護神ブヌがオランダを止める

オランダ1-1モロッコ。

PK戦は2-3。

モロッコは何度もゴールへ迫った。

ハキミのシュートがクロスバーを叩く。

ラヒミの決定機はGKに止められる。

それでも、先に得点したのはオランダだった。

72分。

ベグホルストが前線でロングボールをフリック。

サマーフィルが守備ラインの背後へ抜け出す。

モロッコが体を寄せたこぼれ球を、ガクポが叩き込んだ。

残り時間は減っていく。

モロッコの攻撃は、なかなかシュートまで届かない。

このまま終わるかと思われた90+1分。

前線へ上がっていたイッサ・ディオプが、左からのクロスへ飛び込んだ。

力強いヘディング。

1-1。

モロッコが土壇場で追いついた。

そして延長戦を耐え、PK戦へ。

最後は守護神ヤシン・ブヌがオランダ5人目のシュートを止め、イスマエル・サイバリが勝利を決めた。

オランダ敗退。

モロッコが120分の死闘を制し、ベスト16へ進んだ。


第1章 一発勝負

ラウンド32。

ここから先は負ければ終わる。

90分で決まらなければ延長戦。

それでも決着がつかなければPK戦へ進む。

オランダは、ボールを保持して相手を押し込むことができるチームだ。

モロッコは、中央に選手を固めてスペースを消し、奪った瞬間に縦へ出る。

オランダがボールを支配するのか。

モロッコが守備から主導権を奪うのか。

試合は、ボール保持率だけでは測れない攻防になった。


第2章 オランダは3バック

オランダは、この試合で3バックへシステムを変更した。

最終ラインに3人を並べ、両サイドの選手を高い位置へ押し上げる。

ボールを持つ人数を増やし、ピッチの横幅を使う狙いだ。

オランダは中盤でパスをつなぐ。

左右へ展開する。

モロッコの守備ブロックを動かしながら、中央へ入るスペースを探した。

だが、ボールを持っていることと、相手を崩していることは同じではない。

モロッコは無理に飛び込まない。

外側へ誘導する。

中央へパスが入れば、複数の選手で寄せる。

オランダはポゼッションで上回った。

それでも、ゴール前では自由になれなかった。


第3章 モロッコが決定機

前半、より危険な場面をつくったのはモロッコだった。

20分。

コーナーキックから、ニール・エル・アイナウイがヘディング。

21分には、アクラフ・ハキミが強烈なミドルシュートを放つ。

オランダのGKバルト・フェルブルッヘンを立て続けに脅かした。

モロッコはボールを長く持っていない。

それでも、奪ったあとの前進が速い。

相手の守備が整う前にサイドへ運ぶ。

ハキミが高い位置へ駆け上がる。

ゴール前へ人数をかける。

ボール保持率ではオランダ。

決定機の数と鋭さではモロッコ。

試合の主導権は、一つの数字だけでは判断できなかった。


第4章 中央を消す守備

モロッコの守備は、中央に選手を集めてスペースをなくしていた。

オランダが外側でボールを持っても、簡単には飛び出さない。

中央へ入れようとした瞬間に寄せる。

パスコースを消す。

相手が後ろへ戻せば、守備の位置を整え直す。

選手同士の距離も近い。

一人が外されても、次の選手がカバーに入る。

これが組織的な守備ブロックだ。

オランダはボールを持った。

しかし、前線の選手が良い状態で前を向けない。

ペナルティーエリア周辺でパスを受けても、すぐにモロッコの選手が体を寄せる。

オランダの攻撃は、ゴールへ近づくほど窮屈になった。


第5章 ブヌが立ちはだかる

44分。

オランダがようやく鋭い攻撃を見せた。

ミッキー・ファン・デ・フェンが前へ出る。

左足を振り抜く。

強烈なシュートがモロッコゴールへ向かった。

だが、GKヤシン・ブヌが立ちはだかる。

ボールの軌道を読み、正面で止めた。

ブヌはPK戦だけで突然現れたわけではない。

前半から集中力を切らさず、オランダのシュートを止めていた。

GKが安定していると、守備の選手は迷わず相手へ寄せられる。

背後へボールが入っても、最後にはブヌがいる。

その安心感が、モロッコの守備を支えていた。


第6章 ハキミの一撃はバー

後半に入ると、モロッコはさらに球際への寄せを速くした。

ボールを奪えば、迷わず前へ出る。

52分。

ハキミが守備ラインの背後へ抜け出した。

スルーパスを受け、シュート。

ボールはフェルブルッヘンを越えた。

だが、クロスバーを叩く。

あと数センチ。

モロッコが先制していてもおかしくない場面だった。

ハキミの強さは、右サイドで待つだけではない。

相手の背後へ走る。

中央にも入る。

自らシュートを打つ。

オランダは、ハキミの立ち位置を最後まで捕まえきれなかった。

それでも、ネットは揺れない。

この外した決定機が、後に重くのしかかる。


第7章 ベグホルストが流れを変える

ハイドレーションブレイク後、オランダが交代カードを切った。

投入されたのはボウト・ベグホルスト。

高さと強さを持つストライカーだ。

オランダは、短いパスだけでモロッコの守備を崩すことに苦しんでいた。

そこで戦い方を変えた。

後方から前線へロングボールを送る。

ベグホルストが競る。

周囲の選手がこぼれ球を拾う。

中央をパスで突破するのではなく、空中戦から守備ラインの背後を狙った。

交代で入った選手を、ただ前線に置いたわけではない。

ベグホルストの高さを生かすために、攻撃方法そのものを変えた。

その判断が、72分の先制点につながる。


第8章 ガクポが仕留める

72分。

オランダが後方からロングボールを送った。

ベグホルストが頭でフリック。

フリックとは、ボールを大きく止めず、軽く触って味方の進行方向へ流すプレーだ。

ボールはモロッコの守備ラインの背後へ落ちた。

サマーフィルが抜け出す。

モロッコの守備陣が体を寄せ、シュートを打たせない。

それでも、ボールはこぼれた。

走り込んでいたガクポが右足を振り抜く。

1-0。

決定機を多くつくっていたのはモロッコだった。

しかし、先に得点したのはオランダ。

サッカーは、攻めた時間ではなく、最後にネットを揺らした回数で決まる。

ガクポが少ない好機を仕留めた。


第9章 モロッコが動く

失点したモロッコは、次々と交代カードを切った。

前線へ新しい選手を入れる。

ゴール前へ入る人数を増やす。

サイドからクロスを送る。

ただ、オランダも中央に選手を固め、スペースを消していた。

ボールを持っても、シュートまで届かない。

時間は80分を過ぎる。

85分。

90分。

ハキミのシュートがバーを叩いた場面が、頭をよぎる。

前半から決定機をつくっていた。

それでも、負ければ終わり。

内容が良くても、結果が出なければ大会を去る。

モロッコに残された時間は、ほとんどなかった。


第10章 ディオプが救う

90+1分。

モロッコが左サイドからクロスを送った。

前線へ上がっていたイッサ・ディオプが、ゴール前へ走り込む。

相手DFより先に落下地点へ入る。

高く跳ぶ。

頭で強く叩く。

ボールはゴールへ突き刺さった。

1-1。

試合終了まで、あとわずか。

モロッコが土壇場で追いついた。

ディオプは本来、守備を担う選手だ。

だが、負けている終盤には前線へ上がり、空中戦のターゲットになる。

モロッコは、流れの中から細かく崩すことに固執しなかった。

高さを加える。

クロスを送る。

ゴール前の人数を増やす。

必要な一点を奪うために、配置と役割を変えた。

その勝負手が当たった。


第11章 延長戦も攻める

土壇場で追いついたモロッコは、延長戦でも前へ出た。

96分。

サイバリがボールを運び、スフィアン・ラヒミへつなぐ。

ラヒミがDFをかわす。

ゴール前で決定機。

だが、フェルブルッヘンが素早く前へ出た。

シュートコースを狭め、体で止める。

オランダのGKも、最後の一線を越えさせない。

延長戦では、両チームに疲労が見えた。

球際への一歩が遅くなる。

パスがずれる。

味方が押し上げるまで時間がかかる。

それでも、モロッコはボールをキープしながら攻撃を続けた。

オランダも耐える。

120分が終わっても、スコアは動かなかった。


第12章 再びPK戦

1-1。

勝負はPK戦へ持ち込まれた。

PK戦では、蹴る技術だけでなく準備が問われる。

相手の助走。

軸足の向き。

蹴りやすいコース。

過去のデータ。

GKは、ほんのわずかな動きからシュートコースを予測する。

ただし、このPK戦は簡単には終わらなかった。

オランダも失敗する。

モロッコも失敗する。

両チームとも、4人を終えた時点で2人ずつが外していた。

一度の成功。

一度の失敗。

そのたびに流れが揺れる。

120分走ったあと、国の期待を背負ってボールを置く。

普段のPKとは、重圧が違う。


第13章 ブヌが止める

オランダの5人目はサマーフィル。

決めなければ、敗退が近づく。

助走を取る。

右足を振り抜く。

ブヌが方向を読む。

迷わず飛ぶ。

両手でボールを止めた。

モロッコの選手が声を上げる。

ベンチが動く。

守護神が、再びチームを救った。

ブヌの強さは、先に動きすぎないことだ。

キッカーの動きを最後まで見る。

蹴る瞬間に反応する。

一度方向を決めれば、体を大きく伸ばす。

PKストップは運だけではない。

分析。

判断。

反応。

そして、失敗できない場面で動じない精神力。

すべてが必要になる。


第14章 サイバリが決める

モロッコの5人目はサイバリ。

決めれば勝利。

外せば、PK戦は続く。

120分の疲労。

オランダサポーターの声。

国中の期待。

簡単な一本ではない。

それでも、サイバリは落ち着いていた。

GKの動きを見て、確実にネットを揺らす。

PK戦2-3。

モロッコ勝利。

選手が一斉にサイバリへ駆け寄る。

追いついたのは90+1分。

延長戦では決定機を止められた。

PK戦でも2人が失敗した。

それでも、最後まで勝利を手放さなかった。

モロッコがオランダを倒し、ベスト16へ進んだ。


第15章 ボール保持だけでは勝てない

オランダはボールを支配した。

3バックへ変更し、両サイドも使った。

ベグホルストを投入し、ロングボールから先制点を奪った。

それでも、勝ち切れなかった。

終盤のクロスを跳ね返せない。

ディオプのゴール前への侵入を止められない。

PK戦では、最後の一本をブヌに止められた。

一方のモロッコは、ボールを持たない時間でも試合を失わなかった。

中央に選手を固める。

奪った瞬間に前へ出る。

ハキミのスピードを使う。

追い込まれれば、ディオプを前線へ上げる。

試合の状況に合わせて戦い方を変えた。

ボール保持率ではなく、勝つために必要なプレーを選び続けた。

オランダ1-1モロッコ。

PK戦2-3。

モロッコは次のラウンドで、共催国カナダと対戦する。

カナダにはデイヴィスのスピードがある。

自国開催の勢いもある。

ただ、モロッコには世界の強豪を倒してきた守備と勝負強さがある。

最後まで耐える。

必要な時間にゴール前へ人数をかける。

PK戦ではブヌが止める。

このチームは、簡単には倒れない。

ワールドカップでは、ボールを持ったチームが必ず勝つわけではない。

守る場所。

奪う場所。

前へ出る瞬間。

交代選手の役割。

そこまで見えると、1-1というスコアの中に詰まった120分の攻防が、もっと深く見えてくる。


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