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日本、95分に散る 佐野海舟の代表初ゴールもブラジルに逆転負け

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ブラジル2-1日本。

あと少しだった。

本当に、あと少しだった。

29分。

佐野海舟がブラジルのパスを奪い取り、自らボールを運び、右足を振り抜いた。

シュートはゴール左下隅へ一直線。

世界最高峰のGKアリソンでも届かない。

最高のコースへシュートが決まり、日本が先制した。

後半、ブラジルの猛攻を受ける。

冨安健洋がゴールライン上でカゼミーロのヘディングを止める。

鈴木彩艶がゴールを守る。

日本全体が体を張る。

56分に追いつかれても、崩れなかった。

延長戦が見えた。

日本が、また一つ歴史の扉へ手をかけた。

だが、90+5分。

ガブリエウ・マルティネッリのシュートが、ゴール右隅へ吸い込まれた。

試合終了。

日本は、またしてもノックアウトステージ初戦の壁を越えられなかった。

悔しい。

あまりにも悔しい。

それでも、この敗戦は「何もできなかった敗戦」ではない。

日本はブラジルから先制した。

世界王者候補を最後まで追い詰めた。

だからこそ、この1点差は重い。


第1章 一発勝負

ラウンド32。

ここからは、負ければ終わり。

引き分けはない。

90分で決まらなければ延長戦。

それでも決着がつかなければPK戦へ進む。

日本は過去4度、ワールドカップのノックアウトステージへ進出してきた。

しかし、一度も最初の壁を越えられていない。

トルコ。

パラグアイ。

ベルギー。

クロアチア。

あと一歩。

あと数分。

あと一本。

日本サッカーは、何度もベスト8の扉へ手を伸ばしてきた。


今回の相手はブラジル。

5度の優勝を誇る、サッカー王国だ。

簡単な相手ではない。

それでも、日本は勝つためにピッチへ立った。


第2章 ブラジルにボールを持たせる

試合は、予想どおりブラジルがボールを持つ展開から始まった。

ただ、日本は慌てなかった。

相手がパスを回しても、簡単に飛び込まない。

中央を閉じる。

サイドへ追い出す。

ゴール前では人数をそろえる。

守備ブロックをつくり、ブラジルの攻撃を正面から受け止めた。

守備ブロックとは、選手同士の距離を近く保ち、危険な中央を組織で閉じる守り方だ。

ブラジルはシュートまで持ち込む。

それでも、決定的な形にはさせない。

日本はボールを持てなくても、試合を失ってはいなかった。

我慢しながら、奪ったあとの一瞬を狙っていた。


第3章 佐野海舟が隙を突く

29分。

ブラジルに、ほんのわずかな隙が生まれた。

ハーフウェイライン付近でダニーロがパスをずらす。

佐野海舟が反応した。

ボールを奪う。

前を見る。

味方を探すのではなく、自ら運ぶ。

ブラジル陣内の中央を一直線に進む。

相手DFが寄せる。

それでも止まらない。

ペナルティーエリア手前。

右足を振り抜いた。

シュートはゴール左下隅へ向かう。

アリソンが手を伸ばすが、届かない。

0-1。

日本が、ブラジルから先制した。


第4章 代表初ゴールがW杯のブラジル戦

佐野にとって、これが日本代表初ゴールだった。

その舞台がワールドカップ。

相手はブラジル。

しかも、ノックアウトステージだ。

これ以上ない大舞台で決めた。

この得点は、偶然こぼれてきたボールを押し込んだものではない。

相手のパスを予測する。

奪いに行く。

奪った瞬間に前へ出る。

自分で運ぶ。

シュートコースを見つける。

最後はアリソンからゴールを奪う。

すべてを一人で完結させた。

守備の選手として評価されることの多い佐野が、世界を驚かせる一撃を放った。

日本のカウンターが、ブラジルの守備を切り裂いた。


第5章 1-0で前半終了

先制したあと、日本は守りに入りすぎなかった。

ブラジルへボールを持たせながらも、奪えば前を狙う。

伊東純也の速さを使う。

相手のサイドバックが上がった背後へボールを送る。

ブラジルに「好きなだけ攻めていい」とは思わせなかった。

前半終了。

0-1。

日本がリードしたまま、ハーフタイムへ入った。

あと45分。

いや、ノックアウトステージでは追加時間もある。

まだ何も決まっていない。

それでも、ブラジル相手にリードして後半へ入る。

日本が歴史を動かす可能性は、確かに目の前にあった。

相手が王国ブラジルだが、この瞬間までは日本がブラジルをW杯で撃破する
そんなことが現実になるかもしれない。

日本中が期待と希望に満ち溢れていたように感じた。


第6章 ブラジルが一気に加速

後半開始。

ブラジルの攻撃速度が上がった。

パスが速い。

ボールを受ける位置も高い。

日本が守備ブロックをつくる前に、次の選手へボールを動かしてくる。

ブルーノ・ギマランイスがシュート。

さらに、サイドからクロス。

日本は自陣へ押し込まれた。

ブラジルは前半のように様子を見ていない。

球際への寄せが早くなり。

その意志が、プレーの強度に表れていた。

日本にとって、最も苦しい時間が始まった。


第7章 冨安健洋がゴールを守る

54分。

ガブリエウ・マガリャンイスのクロスに、カゼミーロが飛び込む。

至近距離からヘディング。

決まった。

そう思った。

だが、冨安健洋がいた。

ゴールライン上で顔面でボールを弾き出す。

GKを越えたボールを、最後の最後で止めた。

死守とはこのことだった。

あれは、得点と同じ価値を持つ守備だ。

相手がシュートを打ったあとも、プレーをやめない。

ゴールラインまで戻る。

ボールの軌道を読む。

体を投げ出す。

冨安の一歩が、日本のリードを守った。

まだいける。

日本中が、そう思ったはずだ。


第8章 カゼミーロの攻撃は続く

しかし、その2分後だった。

56分。

再びブラジルが左サイドからクロスを送る。

また、カゼミーロがファーポストへ入ってきた。

ファーポストとは、ボールがある位置から遠い側のゴールポストだ。

日本の守備がボール側へ寄った背後に、カゼミーロが入る。

強烈なヘディング。

今度は鈴木彩艶も止められない。

1-1。

ブラジルが追いついた。

同じ選手。

似た位置。

二度続けて危険な場所へ入られた。

一度は冨安が救った。

二度目は防げなかった。

ブラジルは、ゴールが生まれるまで同じ弱点を狙い続けた。

これが世界トップレベルのしつこさだ。


第9章 ポストにも救われた

同点直後。

ブラジルは一気に逆転を狙った。

ヴィニシウスがボールを運ぶ。

日本の守備をかわし、シュート。

ボールは右ポストを叩いた。

日本は救われた。

ブラジルの攻撃は止まらない。

一人を止めても、次の選手が来る。

中央を閉じれば、外から仕掛ける。

サイドを警戒すれば、中央へ入ってくる。

それでも、日本は崩れなかった。

失点直後にもう1点を奪われれば、試合は一気にブラジルへ傾いていた。

日本は耐えた。

もう一度、試合を落ち着かせた。


第10章 ワンチャンスを待つ日本

後半は、ブラジルが主導権を握り続けた。

日本は守る時間が長くなる。

ボールを奪っても、前へ運ぶ前に囲まれる。

味方を押し上げる時間がない。

それでも、カウンターの可能性は残っていた。

サッカーでは、ずっと攻め続けなくても勝てる。

一度のボール奪取。

一本の縦パス。

一人の抜け出し。

その一瞬で試合は動く。

日本は我慢した。

ブラジルの攻撃を受けながら、最後のチャンスを待った。

時計は80分を過ぎる。

85分。

90分。

延長戦が近づいていた。


第11章 95分の残酷な一撃

90+5分。

あと少しだった。

日本がボールを奪い切れず、ブラジルの攻撃が続く。

ブルーノ・ギマランイスが、絶妙なパスを出した。

ペナルティーエリア左で受けたのは、途中出場のマルティネッリ。

日本の守備が寄せる。

マルティネッリは慌てない。

ゴール右隅を狙い、冷静に流し込んだ。

2-1。

ブラジルが逆転した。

延長戦を意識した、その時間。

一瞬だけ生まれた守備の隙。

ブラジルは見逃さなかった。

あまりにも残酷だった。

日本が90分以上積み重ねてきたものが、たった一度のパスとシュートで崩れ落ちた。


第12章 途中出場選手が決める意味

決勝点を決めたマルティネッリは、途中出場だった。

ノックアウトステージでは、先発11人だけで試合は決まらない。

後半、相手が疲れた時間に入る選手。

スピードを加える選手。

一対一を仕掛ける選手。

最後の一撃を担う選手。

ブラジルには、ベンチにも世界トップクラスがいる。

マルティネッリは、ピッチへ入ったあとも試合へ入り続けた。

そして95分、最後の決定機を仕留めた。

日本があと一歩まで追い詰めたからこそ、ブラジルもベンチの力を必要とした。

この差は小さく見える。

だが、ノックアウトステージでは、その小さな差が勝敗を分ける。


第13章 また越えられなかった壁

試合終了。

ブラジル2-1日本。

日本は、またしてもノックアウトステージ初戦を突破できなかった。

先制した。

前半をリードして終えた。

後半の猛攻にも耐えた。

延長戦まで、あとわずかだった。

それでも、勝てなかった。

「惜しかった」で終わらせるには、あまりにも悔しい。

ベルギー戦でも、2点を先行しながら逆転された。

クロアチア戦では、PK戦で敗れた。

そして今回は95分。

日本はベスト8へ近づいている。

それは間違いない。

ただ、近づいていることと、扉を開けることは違う。

世界の強豪は、苦しい試合でも最後に一点を奪う。

その差を、日本はまた突きつけられた。


第14章 勝利まではあと一歩

この敗戦を「やはりブラジルは強かった」で終わらせたくない。

日本は十分に戦えた。

ブラジルの攻撃を前半無失点に抑えた。

佐野が中盤でボールを奪い、アリソンからゴールを奪った。

冨安がゴールライン上で失点を防いだ。

鈴木彩艶も、世界トップクラスの攻撃を受け止めた。

日本はブラジルを恐れて、自陣に閉じこもっただけではない。

自分たちの守備から得点を生み出した。

勝つための形を持っていた。

だからこそ、悔しい。

何もできずに負けたのなら、諦めもつく。

手が届きそうだった。

歴史が変わりそうだった。

その景色を見たから、簡単には気持ちを切り替えられない。

もっと日本代表を見たかった。
(今回は、くじ運が悪すぎたことへの不満も心のどこかにずっと残った。)


第15章 この敗戦を次へ

ワールドカップは終わった。

日本の2026年大会は、ベスト32で幕を閉じた。

だが、この試合で見えたものは多い。

世界王者候補を相手に、どう守るのか。

奪った瞬間に、どこへ運ぶのか。

リードしたあと、どこでラインを上げるのか。

終盤、疲労がある中でどう守り切るのか。

ベンチから誰を入れ、どう流れを変えるのか。

ベスト8へ進むために必要なのは、精神論だけではない。

最後の5分を守る設計。

相手のクロスへ対応する立ち位置。

ボールを奪ったあとに時間をつくる選手。

試合を終わらせる技術。

一つひとつを積み上げる必要がある。

ブラジル2-1日本。

佐野海舟の一撃は、日本が世界を驚かせられることを示した。

マルティネッリの95分弾は、世界を倒す難しさを示した。

歓喜と絶望。

希望と現実。

すべてが詰まった90分だった。

悔しい。

それでも、日本代表を応援していてよかった。

次こそは。

今度こそは。

この敗戦が、ベスト8への最後の授業だったと信じたい。


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