愛すべき古いクルマたち117 輝く初代[21]三菱パジェロ
今年も二か月終わろうとしてるのに今年初の古いクルマです。雪に映える車をと思ってパジェロにしたが、だらだら描いてたら立春をとうに過ぎて桃の節句直前だ、申し訳ない。
パジェロは5年前に生産終了してしまい、三菱はすっかり電気自動車やプラグインHVの会社になってしまってるが昔を知る人にとってパジェロはRV・クロカン方面では特別の存在よね。パジェロが出る前は未舗装路や道じゃない場所を走るのにはウィリス・ジープをライセンス生産していた三菱ジープやその同列亜種であるランクルそれに軽のジムニーぐらいしか選択肢がなかった。社会がみるみる豊かになって生活水準があがると車に対しても当然贅沢な要求が募っていったが、乗用車のそれと違いクロカン方面は命の危険や安心感に対する生々しい改善が急そがれた。三菱ジープなどのあまりにも必要最低限な設えでは悪路や過酷な気象環境では仕事でそういう場所に出入りする人たちの体力を奪い肝心の仕事のパフォーマンスを削いだり、空調装備の性能が悪いと風邪ひいたりしもやけや凍傷のリスクもあった。改善は時代の変化ってより当然の要求だったんで、自動車メーカーの方もライセンス生産じゃなく自社開発でイイやつを造れるぞとばかり、82年にこのパジェロの登場とあいなったようです。初代、すごくカッコよかった。ショートボディーが先行販売され、この分野らしく布屋根版もあったが、従来のクロカンから劇的な進化っていう商品力はメタルトップ車により強く表された。従来クロカンの、鉄道の貨車のようなメタルトップとちがい、乗用車のような滑らかな面質のデザインはむちゃくちゃ進歩的に見えた。で、本命は83年に加わったワゴン規格のメタルトップのロングボディ5ドア。それまでは商用規格のモデルだけだったがここから終売までに至るあいだ馴染まれた乗用ワゴンタイプの歴史が始まった。当時はクロカン車のワゴン版てのがとても斬新な品物だったようで、全モデルに「WAGON」て字のでかいステッカーが車体後部に貼られていた。また、ロング5ドアで最初に商品化されたワゴンは標準屋根ではなくハイルーフで出たのも面白い。めちゃくちゃ車内広かっただろう。ワンボックス車に迫る容量だったのではないでしょうか。絵のように大きな笠をかぶったままの虚無僧でも乗れそうだ。そんなでかくても5ナンバーサイズのボディだったんだけどね。エンジンも5ナンバー規格内のディーゼルだけだったから、5ナンバーとは思えない威容の車だった。
絵はその最初期のロング5ドアのエステートワゴン。もちろんハイルーフ。のちのビッグマイナーチェンジでミドルルーフ仕様で高級な内外装にしたグレード「exceed」が登場したりそれには3000ccV6が搭載されワイドフェンダーになった3ナンバー車が登場、高級クロカンというかRVという新ジャンルを象徴する車種としてこのハイグレードなパジェロは歴代で人気を博した。さらに初代晩年には「これでもか」っていう三菱らしい贅沢装備の「ロイヤルexceed」なるものまで登場、パジェロの成功に倣って同様のRVモデルをリリースした他社の追随を許さないような王者の風格だったわね。
パジェロの大成功は製造現場にも大きな影響があり、岐阜にパジェロ専用製造ラインとして「パジェロ製造」なる工場を建立。あまりに売れ続けたから乗用車と同じような製造設備では仕事にならなくなって、おおぶりな車体を能率よく製造できる工場が必要になったんでしょう。そこまでしたのに終売してしまったのはまことに残念。
