LP研究ノート 第9回 なぜ、このお店に行ってみたくなるのだろう
――お手本から「魅力の見つけ方」と「伝え方」を学ぶ
前回の第8回では、AIを使ってお手本となるお店を探し、お客様との出会いの接点を調べて、集めた情報を「情報の地図」に整理しましたね。
そして最後は、実際にお店へ足を運んでみました。
自分の目で見る。
商品を手に取る。
店内の空気を感じる。
そして、できれば店長さんにお話をうかがう。
ここまでが、第8回でお伝えした内容でした。
さて、集めた情報を、これからどう使っていきましょうか。
ここからが、いよいよ研究の本番です。
今回いっしょに考えたいのは、こんな問いです。
「まだこのお店を知らない人が、なぜ『一度行ってみたい』と思うのだろう。」
1.今回研究するのは「新規のお客様」です
お店を繁盛させるために、リピーターはとても大切な存在です。
「あの店のパンが好きでたまらない。」
「また食べたい。」
そう思って何度も来店してくださるお客様は、お店にとってかけがえのない存在ですよね。
けれど、リピーターだけに頼っていると、お客様の数はいずれ少しずつ減っていくかもしれません。
転居する方もいます。
生活環境が変わる方もいます。
年齢を重ねる方もいます。
だからこそ、新しいお客様との出会いも必要になってきます。
今回の研究では、いったんリピーターについては脇に置いておきましょう。
テーマはこちらです。
「まだこのお店を知らない新規のお客様に、どうやって来店してもらうか。」
そのために、お手本となるお店から、次の三つのことを学んでいきます。
① 何を魅力としているのか
② その魅力をどう表現しているのか
③ それをどこで発信しているのか
今回は、この三つに絞って研究していきましょう。
2.STEP1 まず「伝えたくなる魅力」を探してみる
まず、第8回で作った「情報の地図」をもう一度開いてみてください。
そこには、
Googleマップ、
ホームページ、
Instagram、
口コミ、
商品、
店主さんのお話、
現地で感じたこと……
といった、さまざまな情報が並んでいるはずです。
今回は、それをただ眺めるだけでは終わりません。
一つの問いを持って、あらためて見直していきます。
「この店をまだ知らない人に、何を伝えれば『行ってみたい』と思ってもらえるだろう。」
これが、今回最初の作業です。
例えばパン屋さんなら
こんなものが見つかるかもしれません。
「地元で採れた小麦を使っている。」
「毎朝、店内で焼き上げている。」
「創業以来作り続けている看板商品がある。」
「季節限定でしか作らないパンがある。」
「店主が長年研究して完成させた製法がある。」
「遠くからわざわざ買いに来るお客様がいる。」
どれも、その店らしい特徴ですね。
ただ、ここで一つ、気をつけたいことがあります。
特徴がある=魅力になる
とは限らないのです。
こんな簡単な方法で確かめてみます
見つけた特徴が、本当に新規のお客様にとって魅力になるのか。
迷ったら、身近な人に話してみます。
例えば、
「このパン屋さん、地元の○○農家の小麦を使って、毎朝店内で焼いているらしいよ。」
それを聞いた相手から、
「へえ、それいいね」
「ちょっと食べてみたい」
「どこにあるの?」
こんな反応が返ってきたら、新規のお客様を動かす魅力になる可能性があります。
反対に、
「ふーん。」
で終わったら、特徴ではあっても、そのままでは魅力として伝わりにくいのかもしれません。
もちろん、一人の反応だけで正解とは決められません。
でも最初のチェックとしては十分です。
「自分がすごいと思うか」ではなく、「まだ知らない人が反応するか」。
ここを見るだけでも、「特徴」と「魅力」の違いが少し見えやすくなります。
私たちが探したいのは、
「それを知った新規のお客様が、ちょっと気になる、食べてみたい、行ってみたいと思うもの。」
なんですね。
店長さんへの質問が、ここで生きてきます
第8回で私は、現地へ行ったら店長さんやオーナーさんに、
「このお店で、一番おすすめの商品は何ですか?」
と聞いてみることをおすすめしました。
そして、そこからもう一歩。
「なぜ、その商品がおすすめなのですか?」
とも聞いてみてください。
すると、単なる商品説明では終わらず、
「このパンは創業当時から作っています。」
「この材料だけは変えていません。」
「実は、お客様の一言から生まれた商品なんです。」
といったお話が出てくることがあります。
そこにこそ、
ネットを調べるだけでは見つけられなかった魅力
が隠れているかもしれません。
3.STEP2 その魅力を「どう表現しているか」を調べる
ここからが、今回とくにじっくり研究したいところです。
魅力を見つけたら、それで終わりではありません。
そのお店は、
その魅力を、お客様にどう伝えているのでしょうか。
ここを見ていきます。
例えば、
「地元産小麦を使っています。」
という特徴が見つかったとしましょう。
これを、
「地元産小麦使用」
とだけ書く方法もあります。
一方で、
「地元○○農園から届く小麦を使い、毎朝店内で焼き上げています。」
と伝える方法もありますよね。
さらに、
農家さんの写真を載せているかもしれません。
小麦畑の写真を見せているかもしれません。
店主が、
「なぜ、この小麦を使うのか」
というお話をしているかもしれません。
同じ商品。
同じ材料。
同じ事実です。
それでも、
どう表現するかによって、受け取る印象は大きく変わってきます。
「何を言っているか」だけを見ない
ここで研究したいポイントは、
「何を言っているか」+「どう言っているか」
です。
例えば看板商品なら、
商品名だけを載せているのか。
大きな写真を使っているのか。
「当店人気No.1」と書いているのか。
なぜその商品が生まれたのかという物語まで紹介しているのか。
お客様の感想を一緒に載せているのか。
こうしたことを、一つずつ見ていきます。
これが、お手本から学ぶということなのだと思います。
商品を真似するのではありません。
魅力を「伝わる形」に変える方法を学ぶのです。
4.STEP3 その魅力を「どこで伝えているか」を調べる
もう一つ、見ておきたいことがあります。
その店は、その魅力を
どこで伝えているのでしょうか。
ここで、第8回で調べた「お客様との出会いの接点」が、もう一度登場します。
例えば、
Instagram。
Googleマップ。
ホームページ。
店頭POP。
看板。
地域情報誌。
広告。
口コミ。
いろいろありますよね。
そして、よく見ていくと、それぞれで伝え方が違っていることに気づきます。
Instagramなら
焼きたてのパンを写真で見せる。
季節限定商品を紹介する。
「本日焼き上がりました」と発信する。
これは、
「おいしそう。今日行ってみようかな。」
につながりやすい伝え方です。
ホームページなら
店主の想い。
素材へのこだわり。
商品の誕生物語。
お店の歴史。
写真一枚では伝えきれない情報まで、じっくり説明できますね。
Googleマップなら
場所や営業時間だけではありません。
実際に来店したお客様が、
「焼きたてがおいしかった。」
「店員さんが親切だった。」
「遠いけれど、また来たい。」
と書いてくれています。
お店自身ではなく、
お客様が魅力を伝えてくれている
ということになりますね。
店頭POPなら
実際に来店した人に、
「これを食べてみたい。」
と思ってもらう、最後の一押しになります。
同じ魅力でも、
伝える場所によって、役割が違うんです。
これも、お手本から学べる大切なことですね。
5.実際に「魅力発信研究シート」を作ってみましょう
ここまでの要点
お手本から学ぶのは、商品そのものではありません。
魅力を見つけ、どう表現し、どこで発信しているかを見る。
ここまで整理できれば、自分のお店に応用する準備が整います。
ここまで調べたら、一枚にまとめていきます。
今回作る成果物を、
「お手本店・魅力発信研究シート」
と呼ぶことにしますね。
例えば、パン屋さんならこんな形になります。
お手本店・魅力発信研究シート
魅力① 地元産小麦
どう表現している?
→ 生産者や小麦の背景まで紹介している。
どこで伝えている?
→ ホームページ。
新規のお客様には?
→ 「素材にこだわったパンなんだ。一度食べてみたい。」
魅力② 毎朝焼きたて
どう表現している?
→ 焼き上がったパンの写真と「毎朝7時焼き上がり」。
どこで伝えている?
→ Instagram。
新規のお客様には?
→ 「焼きたてを食べてみたい。」
魅力③ 創業以来の看板商品
どう表現している?
→ 大きな商品写真と、商品が生まれた物語。
どこで伝えている?
→ ホームページ・店頭POP。
新規のお客様には?
→ 「この店に行ったら、まずこれを食べてみたい。」
魅力④ お客様からの高い評価
どう表現している?
→ 「遠くても買いに行きたい」「また来たい」という実際の口コミ。
どこで伝わっている?
→ Googleマップ。
新規のお客様には?
→ 「そんなに違うなら、一度行ってみようかな。」
これなら表を使わなくても、noteでそのまま掲載できます。
そして読者の方も、この形式をそのまま真似していただけます。
6.ここでAIにも手伝ってもらいましょう
情報が増えてくると、自分一人で整理するのはなかなか大変です。
そこで、AIを研究助手として使ってみましょう。
例えばChatGPTに、次のようにお願いしてみます。
私は、繁盛しているお店から、新規のお客様を来店につなげる方法を研究しています。
以下は、お店について調べた情報です。
この情報から、
①新規客に伝えたら「行ってみたい」と思う可能性のある魅力
②その魅力をどのように表現しているか
③どこで発信しているか
④新規客にどのような印象を与える可能性があるか
の4項目に整理してください。
勝手に情報を付け加えず、私が提供した情報を根拠にしてください。
AIに答えを決めてもらうわけではありません。
見落としているものがないか、一緒に整理してもらう。
私は、こういう使い方が大切だと思っています。
7.私たちが真似るのは「商品」ではありません
ここで、一番大切なことをお伝えしておきますね。
例えば、お手本のパン屋さんが、
「地元産小麦」
を売りにして成功していたとします。
だからといって、
「では、私の店も地元産小麦を使おう。」
ではないんです。
それでは、単なる真似になってしまいます。
私たちが学びたいのは、
その店の商品ではなく、考え方です。
つまり、
自分たちの中にある魅力を見つける。
それを、お客様に伝わる形にする。
そして、新規のお客様と出会う場所で発信する。
この考え方を学んでいきます。
これなら、パン屋さんだけに限りません。
和菓子店でも、
美容室でも、
飲食店でも、
工務店でも、
地域の小さなお店でも、応用していただけます。
8.今回の研究で得られるもの
今回の目的は、
「繁盛しているパン屋さんを知ること」
ではありません。
手元に残したいのは、
一枚の「魅力発信研究シート」
です。
そこには、
魅力
↓
表現
↓
発信場所
↓
新規のお客様が感じる価値
が並びます。
ここまで見えるようになると、お手本店がどのように自分たちの魅力を新規のお客様へ届けているのか、その仕組みが少しずつ見えてくるはずです。
9.では、自分のお店なら何を伝える?
ここまで、お手本を研究してきました。
次はいよいよ、
自分のお店の番です。
自分のお店にも、
商品があります。
技術があります。
経験があります。
歴史があります。
店主の想いがあります。
お客様から評価されていることもあります。
けれど、そのすべてを伝えることはできません。
では、
何を選べばいいのでしょうか。
そして、
どう表現すれば「この店に行ってみたい」と思ってもらえるのでしょうか。
ここで、次の大きな研究テーマが必要になってきます。
それが、
USP――「選ばれる理由」を見つけ、言葉にする考え方です。
ただ、USPについても、簡単な用語説明だけで終わらせるつもりはありません。
この考え方を生み出し、実際に成果につなげてきた人たちから、
どう見つけるのか。
何がUSPになり、何がならないのか。
成立するための条件は何か。
どう言葉にするのか。
これから、一つずつ一緒に学んでいきたいと思います。
今回の実践
今回、やっていただきたいことは一つです。
お手本のお店を一店選んで、
「魅力発信研究シート」を一枚完成させてみてください。
見るのは4項目です。
魅力 → 表現 → 発信場所 → 新規客に伝わる価値
最初から正解を求める必要はありません。
まず一枚作ってみる。
そこから、研究が始まります。
第9回のまとめ
今回学んだ流れは、とてもシンプルです。
魅力を見つける
↓
どう表現しているかを見る
↓
どこで発信しているかを見る
↓
新規のお客様の「行ってみたい」につながっているか考える
お手本を探す目的は、その店を真似することではありません。
うまくいっている店が「何を、どう伝えているのか」を学ぶこと。
そして、その考え方を自分のお店に生かしていく。
それが、この研究の目的です。
【今回の研究の約束】
魅力があるだけでは、伝わらない。
伝えただけでも、届かなければ意味がない。
「何を」「どう伝え」「どこで届けるか」。
そこまでを一つとして研究する。
次回からは、この研究結果を持って、いよいよ「自分のお店なら、何を選ばれる理由にするのか」という深掘りへ進んでいきます。
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