もなかの今日も異常なし!239「ゆっくり流れる朝の理由」
私が毎朝、外を見ていることを、ママさんは「ニャルソック」と言う。別に何かに注意を払っているわけではない。ただ、今日はどんな天気なのだろう・・・と眺めているだけである。
以前、パパさんが話していた「梅雨」というもののせいなのだろうか。なかなか眩しく爽やかな朝はやって来ない。今日も空は白い雲に覆われ、風だけが静かに流れていた。
そんな空を眺めていると、パパさん達が起きてきた。
しかし、いつもの朝とは違う。誰も慌てない。時計だけが進んでいるのに、家の中の時間はゆっくりと流れているようだった。
今日はお休みらしい。
私はパパさんと一緒にベランダへ出る。湿った風は少しひんやりしていて、遠くから雨の匂いも運んでくる。
しばらくすると、小町先輩もベランダへやって来た。
あちらへ歩き、こちらへ歩き・・・何やらパパさんに用事がありそうである。
その様子を少し離れた場所から見つめているのが雅先輩。相変わらず慌てることはなく、落ち着いた表情で景色を眺めている。
私は思う。
パパさん達がお休みの日の朝は、とても好きである。
誰も急がず、誰も慌てない。
そんな空気が家中に広がるだけで、不思議と私達まで安心してしまうのである。
しばらくして、にーちゃんとねーちゃんが起きてきた。
支度を始める音が聞こえ、いつもの朝らしい空気も少しずつ戻ってきた。
それでもパパさんとママさんだけは変わらない。
ゆったりとした時間を楽しむように笑いながら過ごしていた。
二人が出かけたあと、パパさん達も買い物へ出発した。
「行ってくるね。」
その声を聞きながら、私は小町先輩、雅先輩と一緒に窓辺でお留守番である。
夕方になる頃、パパさん達が帰ってきた。
袋の中からは、色々な匂いがする。
検品スタート。
特に「これ」といったものはなかった。
夜は、みんなで、お魚ご飯。
みんな揃って夢中になって食べる。
小町先輩も、雅先輩も、もちろん私も、お皿が空になるまで一心不乱だった。
美味しいご飯を食べ終えると、今度は遊びの時間。
パパさんが猫じゃらしを取り出した瞬間、私達三人の目が一斉に輝く。
飛んだり、走ったり、隠れたり。
小町先輩は優雅に狙いを定め、雅先輩は力強く飛び込み、私は負けじと夢中で追いかける。
部屋中に笑い声が響き、雨続きの空なんて忘れてしまうほど賑やかな夜になった。
たくさん遊び、満足した頃。
いつもの優しい声が聞こえてくる。
「寝るよー。」
私はその声を聞くと、いつものようにキャットハウスの三階へ向かう。
途中でパパさんが私をそっと抱き上げ、そのままお気に入りの場所まで運んでくれた。
今日も穏やかな一日だった。
明日の朝もきっと私は外を見る。
晴れていても、曇っていても、雨でも構わない。
その向こうには、今日と同じような優しい時間が待っているような気がするのである。
今日も異常なし。
