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短編 | 海砂糖を、まぶして

お題: 「海砂糖」から始まる小説・詩歌


海砂糖をまぶします

レシピの最後の工程に
手が止まる

海 砂糖 ?

このレシピ本は
私のような「調味料オタク」たちの間で
噂になっていた

"検索しても詳細が出てこない"

ある日ネットのオークションで
このレシピ本に出会えた
高値だったが貯金をはたき
気合を入れて入手した

独特な調味料が頻繁に登場するが
自他共に認める「調味料オタク」は
日常的にページを開いた

大抵の調味料は持っている

世界中の調味料を知っている

…つもりだった

焼かれたケーキをほっぽり出して
即座に調べ始める

見つからない

何度調べても
検索にヒットすらしない

うそ なんで

私の知らない
「調味料」がまだあったなんて

私はそれから数年をかけて
「海砂糖」を探し求めた

長い長い時間をかけても
見つからなかった

単なる 誤植だったの?

レシピ本を何度も何度も読み直し
そんなことを思い始めていた頃

一つの考えがよぎった

この世界に無いのなら


私が「海砂糖」を作り出そう


「調味料オタク」
だからこそ
国内いや世界中の

砂糖も 塩も スパイスも ハーブも

知っている

そこから数年をかけて
配合を研究した

イメージの中の「海砂糖」に出会うために


月日が流れ
完成したその「新しい調味料」は
世界中の料理人から称賛された


久しぶりに
あのレシピ本を眺めていた

高価だったけれど
「海砂糖」のおかげで一生好きなことをして
暮らせるようになった

そうだ「海砂糖」でシフォンケーキを作ろうと
ページをめくった

その時 はじめて気づいた

そのレシピ本の初版発行日は

3年後の未来だった



-短編 | 海砂糖をまぶして- おわり



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