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例えば立て看板1つで、人生が変わったりするかもしれない。 短編 | 冷やかし青年と銀河売り

お題 「銀河売り」から始まる小説・詩歌


「銀河売ります」
と書かれた立て看板を見かけた

どんな怪しい店だろう
期待して辿り着いたのは
奇妙な雑貨屋

童話に登場するような
まるで現実味がない外観
丸っこいドーム型の屋根は
「メルヘン」
でも意識してるのか

その店の名は
「Milky Way」

俺の趣味は
マニアックな店を探しては冷やかすこと

ドアノブに手をかける

薄暗い店内
中央に置かれているのは

異様な光を放つ
どでかい球体

近付いて思わず
息を呑む

星が集った渦
直径約10万光年
地球上に
在るはずの無い

「それ、
私たちが存在する
銀河なんですよ。」

突然 話しかけられて
心臓が止まった

「太陽系を含む、天の川銀河の"今現在"の姿を
"リアルタイム"で投影しているんです。
すごい技術でしょう?」

店員らしいが
小柄で一見少女のように見える
ハキハキとした高い声が
ドーム型の天井に反響する

「お客様は、どの銀河がお好みです?」

目が慣れてきて、店内の様子が見えてくる

銀河の投影されたスノードームのような置物
銀河の投影された壁掛け時計
銀河の投影されたローテーブル

銀河の投影された
様々なインテリアが置かれているようだ

銀河の投影されたどでかい球体に
視線を戻す

「投影している」
と言うが それ以上に

「存在している」

「ここに 銀河が存在している」
と感じた

「…銀河って、買えるのか」

値札にずらっと並ぶ「0」を見つめながら
自分にも聞こえないほどの声で
つぶやいていた



光輝こうきの渦が浮かぶ店内

ドアノブをひねる音

来店客の足音が 店の中央で止まる

一呼吸置いて 声をかける


「それ、
俺たちが存在する
銀河なんですよ。」


俺の仕事は
「銀河」を売ること


「冷やかし青年と銀河売り」 おわり


今回も参加させていただきました。
創作心がくすぐられる素敵なお題をありがとうございます!🥳


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