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欅坂46は、なぜ欅坂46のまま世代交代できなかったのか。

乃木坂とも、日向坂とも違う。櫻坂46が5年かけて作った「世代交代」の形
※2026年8月時点の情報をもとにしています。
※欅坂46・櫻坂46の結成、加入、卒業、フォーメーション、キャプテン交代などの確認済み事実と、それらを並べた上での筆者の考察を分けて記述しています。

2020年10月14日。
欅坂46は櫻坂46になった。
歴史だけを短くまとめれば、この一文で済む。
欅坂46としての活動を終え、新しい名前で再出発した。
でも、メンバー編成を最初から追ってみると、この日を境に旧グループが消え、新しいグループへ一気に入れ替わったわけではないことが分かる。
櫻坂46として始動した時点で、欅坂46一期生は11人残っていた。
キャプテンも菅井友香。
それでも、最初の表題曲センターに立ったのは二期生の森田ひかるだった。
その後も一期生が在籍する中で、キャプテンは二期生・松田里奈へ移る。
三期生が表題曲へ入る。
表題曲から一期生がいなくなる。
三期生センターが生まれる。
二期生と三期生が表題曲を半分ずつ占めるようになる。
そして、そのあとで最後の一期生が卒業する。
順番が少し変わっている。
普通に「一期生から二期生へ世代交代した」と見るだけでは、この流れはうまく説明できない。
櫻坂46では、
名前。
センター。
キャプテン。
表題曲の席。
在籍メンバー。

それぞれが別々のタイミングで入れ替わっている。
一つの世代が去ったあと、新しい世代がそこへ座ったのではない。
古い世代がまだいるうちに、役割だけを先に渡している。
ここに、櫻坂46の世代交代の面白さがある。


1|乃木坂とも、日向坂とも少し違う

比較すると分かりやすい。
グループ
世代交代の特徴
乃木坂46
名前と器を残したまま、中の世代を入れ替える
日向坂46
けやき坂から続く共同体を広げ、その後に制度を変える
欅坂46→櫻坂46
人を残したまま、グループの仕組みを先に組み替える
乃木坂46も、新しい世代を前へ出すのは早い。
二期生の堀未央奈。
三期生の大園桃子、与田祐希。
四期生の遠藤さくら。
五期生の中西アルノ。
加入からそれほど時間を置かずに表題センターを経験したメンバーは何人もいる。
だから、「後輩を早くセンターにする」という点だけなら、櫻坂46が特別なわけではない。
違うのは、その間も乃木坂46という名前と器は変わっていないことだ。
一期生が卒業しても乃木坂46。
二期生がいなくなっても乃木坂46。
次の世代は、新しいグループを作るのではなく、すでにある乃木坂46へ入っていく。
日向坂46も改名を経験している。
ただし、けやき坂46から日向坂46への改名は、欅坂46から櫻坂46への改名とは意味が違う。
けやき坂46として活動を積み上げたメンバーが、自分たちのグループ名を得て単独デビューした。
それまでを終わらせるというより、それまでを持ったまま独立したと見る方が近い。
日向坂46はデビューから10枚目まで基本的に全員で表題曲を作り、選抜制が始まったのは11thからだった。
まず共同体があり、メンバーが増え、そのあと制度が変わった。
櫻坂46は、そのどちらとも少し違う。
人をかなり残したまま、器の方を先に変えた。
そして、その始まりは2020年より前にある。

2|欅坂46は、一度「欅坂46のまま」変わろうとしていた

2018年末。
欅坂46に二期生9人が加入した。
森田ひかる。
田村保乃。
藤吉夏鈴。
松田里奈。
山﨑天。
後に櫻坂46の中心となる名前がここで入ってくる。
ところが、加入直後に発売された8th「黒い羊」の表題曲に二期生は一人もいない。
二期生は活動を始めていたが、表題曲の欅坂46とはまだ分けられていた。
そして次の9thで、欅坂46は初めて選抜制度を導入する。
17人。
一期生10人。
二期生7人。
二期生が表題メンバーの**41.2%**を占める編成だった。
全員選抜も終わる。
二期生はフロントにも入る。
それまで続いていた、
「欅坂46にいるメンバー=表題曲を歌うメンバー」
という関係を、初めて切ろうとした。
今から見ると、ここには後の櫻坂46で定着する仕組みがいくつも出ている。
一期生と二期生を混ぜる。
選抜と非選抜を分ける。
二期生を前へ出す。
欅坂46は一度、欅坂46という名前のまま次の形へ進もうとしていた。
ただし、センターは平手友梨奈だった。
そして、その9thシングルは発売されなかった。

3|変えようとした欅坂46は、そこで一度止まった

2019年末、9thシングルの発売延期が発表される。
翌2020年1月。
平手友梨奈が脱退。
織田奈那、鈴本美愉もグループを離れる。
ここから欅坂46は、メンバーを入れ替えながら続けるだけでは済まない状態へ入っていく。
当時キャプテンだった菅井友香は、欅坂46の活動終了を発表した際、メンバーやスタッフと何度も話し合ったこと、前へ進むために大切なものと別れる選択を受け入れたことを書いている。
少なくとも当事者にも、
このまま同じ形を守るだけでは前へ進めない
という感覚があった。
だから欅坂46は終わった。
ただし、人まで全部入れ替えたわけではない。
櫻坂46として始まったとき、
一期生11人。
二期生15人。
26人の多くは、そのまま欅坂46から移ってきた。
最初に変えたのは、人ではなかった。
名前だった。

4|一期生には7席残した。それでも真ん中は森田ひかるだった

櫻坂46の1stシングル「Nobody’s fault」。
表題曲は14人。
一期生7人。
二期生7人。
半分ずつだった。
一期生を一気に表題から外し、二期生中心のグループにしたわけではない。
それでもセンターは森田ひかる。
ここが面白い。
席は一期生にも残した。
でも、一番大きな一席だけは二期生へ渡した。

全面的な世代交代ではない。
最初に「顔」だけを渡している。
そして森田本人は、櫻坂46を「真っ白なグループ」と捉えていた。
欅坂46一期生が11人もいる。
欅坂時代の曲も記憶も残っている。
それでも、新しいセンターは「真っ白」から始めようとしている。
ここで変わったのは、単なるエースの名前だけではなかった。
欅坂46では、1st「サイレントマジョリティー」から8th「黒い羊」まで、発売された8枚すべてで平手友梨奈がセンターだった。
8作中8作。
櫻坂46になると、
森田ひかる。
森田ひかる。
田村保乃。
山﨑天。
守屋麗奈。
藤吉夏鈴。
最初の6枚だけで5人がセンターを経験する。
その後も山下瞳月、的野美青、村井優へ広がっていく。
だから、
平手友梨奈から森田ひかるへ交代した。
だけでは足りない。
結果として櫻坂46では、センターという役割の使い方そのものが変わった。

5|櫻坂46には「4つの時計」がある

ここまでの変化を並べると、世代交代が一度に起きていないことがよく分かる。

2020年に顔を変えた。
2022年に組織のトップを変えた。
2024年に表題曲から一期生が消えた。
2025年に、ようやく一期生そのものがいなくなった。
5年かかっている。
改名した日を境に一気に世代交代したのではない。
それぞれの時計が、少しずつずれて動いている。
キャプテンも、2年かけて渡した
センターを二期生にしたからといって、組織のトップまで同時に変えてはいない。
櫻坂46になってもキャプテンは菅井友香だった。
2021年。
二期生・松田里奈が副キャプテンになる。
一期生の菅井と、二期生の松田。
いきなり交代させず、二人を並べる期間を作った。
そこから約2年。
2022年11月、菅井友香が卒業。
松田里奈がキャプテンになる。
つまり、
2020年 センターを二期へ。
2021年 副キャプテンを二期へ。
2022年 キャプテンを二期へ。

顔と組織のトップすら、同じタイミングでは渡していない。
櫻坂46は、次の世代へ丸ごとバトンを渡したわけではない。
バトンを細かく分けた。

6|「Start over!」は、新世代の始まりではなく、その前の総決算だった

2023年。
三期生11人が加入する。
世代交代の歴史だけを見れば、
「ここから三期生時代が始まった」
と書きたくなる。
でも実際の編成は違う。
5th「桜月」。
三期生は表題曲に入らない。
6th「Start over!」。
ここでも入らない。
「Start over!」の表題曲に参加したのは、その時点で活動していた一期生と二期生の17人だった。
三期生はすでにいる。
それでも表題は一期・二期だけ。
さらに、この6thではそれまでの櫻エイト制度がなくなり、一期・二期の活動メンバー全員が表題曲に入った。
タイトルだけを見ると、
Start over!=新しい世代の始まり
に見える。
でも世代編成だけを見ると、少し違う。
三期生をまだ混ぜず、それまで櫻坂46を作ってきた一期・二期だけを一度全員集めている。
初期櫻坂の総決算と見ることもできる。
そして次の7th「承認欲求」。
ここで初めて三期生が表題曲へ入る。
4人だけ。
ところがフロント3人は、
谷口愛季 三期生
森田ひかる 二期生
山下瞳月 三期生


三期生が2席を取った。
16人中4人しかいない。
でも前の3人では2人。
この2作は、続けて見た方が面白い。
Start over!で、それまでの櫻坂を一度並べる。
その直後、
承認欲求で、次の世代を一気に前へ置く。
三期生が加入した日より、この2作の間の方が、編成上は大きな境目だった。
三期生は「次世代」から「櫻坂そのもの」へ変わった
7thで初めて表題曲へ入った山下瞳月は、当時まだ、自分がその場所にいていいのかという不安を持っていた。
その山下が9th「自業自得」で三期生初の表題センターになる。
そこで言葉が変わる。
先輩から学んだものを使い、
櫻坂46のために何ができるか。
そう考えるようになる。
加入した後輩が、自分の立場ではなくグループ全体を考える側へ変わっている。
そのころ、一期生はまだ櫻坂46にいた。

7|一期生は、卒業する前に表題曲からいなくなった

ここが、この10年を追っていて特に面白い。
8th「何歳の頃に戻りたいのか?」。
この時点でも一期生は在籍している。
でも表題曲を見ると、
一期生は0人。
二期生と三期生だけで作られている。
一期生は、実際に卒業するより先に表題曲からいなくなった。
次の9th。
山下瞳月が三期生初センター。
11th「UDAGAWA GENERATION」。
表題14人は、
二期7人。
三期7人。

完全に半分ずつ。
それでも最後の一期生・小池美波はまだ在籍していた。
そして2025年3月。
小池が卒業する。
ようやく一期生が0人になる。
順番は、
一期生卒業
→ 新世代へ

ではなかった。
実際には、
表題から一期生が消える
→ 三期生センターが生まれる
→ 二期と三期が半分ずつになる
→ 最後に一期生が卒業する

だった。
本人が残っていても、役割はすでに次の世代へ渡っている。
これが、櫻坂46の世代交代を卒業一覧だけでは読めない理由だ。

8|四期生にも、また同じ流れが始まった

2025年。
四期生が加入する。
12thでは四期生曲。
13thでも四期生曲。
まだ表題には入れない。
そして14th「The growing up train」で、四期生3人が初めて表題曲へ入る。
この流れは三期生とよく似ている。
加入
→ 期別活動
→ 期別活動
→ 一部が表題へ

新人を最初から既存メンバーの中へ完全には混ぜない。
一度、その期だけで活動する時間を作る。
そのあと本隊へ入れる。
ただし、三期生と四期生では前へ出す速度が違う。
三期生は初参加の「承認欲求」で、4人中2人がフロントに入った。
四期生は14thで3人入ったが、フロントにはまだ一人もいなかった。
三期生加入時には一期生の卒業が進み、次の主力を作る必要があった。
四期生加入時には、二期・三期にすでに複数のセンター経験者がいる。
同じように育てながら、同じようには使っていない。
2026年、二期・三期・四期が同じ列に並んだ
15th「Lonesome rabbit」。
フロントは、
浅井恋乃未 四期生
森田ひかる 二期生
山下瞳月 三期生


三世代が一人ずつ。
中央は森田ひかる。
2020年、櫻坂46最初のセンターだった人物だ。
一方、もう一方のA面「What’s “KAZOKU”?」は、二期生11人と三期生11人の22人で作られている。
四期生はいない。
一枚のシングルの中に、
これまで櫻坂を作った二期・三期
と、
四期まで入った次の櫻坂
が両方ある。
2026年の櫻坂46も、まだ途中にいる。

9|欅坂46から、何を残したのか

ここまで追うと、櫻坂46を「欅坂46を全部捨てて作り直したグループ」と見るのも違う。
欅坂46の名前は終わらせた。
全員選抜もなくなった。
一人が表題センターを続ける形も変わった。
一方で、メンバーは残した。
キャプテンもすぐには変えなかった。
新人を既存メンバーとすぐ混ぜず、一度その世代だけで見せてから本隊へ入れる流れも、欅坂二期生から三期生、四期生まで形を変えながら繰り返されている。
全部捨てたわけではない。
全部守ったわけでもない。
残すものと、変えるものを分けた。
そして、その判断を改名の一度だけで終わらせなかった。
三期生が入ったときにも変えた。
四期生が入った今も、また変えている。

10|欅坂46は、なぜ欅坂46のまま世代交代できなかったのか
本当の理由を外から断定することはできない。
幻の9thが予定通り発売されていたらどうなったのか。
平手友梨奈が残っていたらどうなったのか。
それは分からない。
ただ、起きたことなら追える。
欅坂46は二期生を入れた。
選抜制度を導入しようとした。
二期生を前へ出そうとした。
欅坂46という名前のまま、次の形へ進もうとしていた。
その9thは世に出なかった。
その後、欅坂46という名前を終わらせた。
櫻坂46になると、一期生を一度に外すのではなく、
まずセンターを二期生へ。
そのあとキャプテンを二期生へ。
三期生にはフロントを渡す。
さらにセンターを渡す。
表題曲から一期生がいなくなる。
そのあとで最後の一期生が卒業する。
そして今度は四期生が入ってくる。
こうして並べると、櫻坂46には「ここで世代交代が完成した」と言える日がない。
2020年の改名も途中だった。
2022年の菅井友香卒業も途中だった。
2024年の三期生センター誕生も途中だった。
2025年に一期生がいなくなった直後には、四期生が入ってきた。
一つの完成形を守るというより、
次の世代が入るたびに、また組み直してきた。
欅坂46から櫻坂46になって、一番大きく変わったのは、名前でもセンターでもなかったのかもしれない。
「この形でなければならない」と決めることをやめた。
少なくとも、この10年の編成を追っていると、そう見える。
そして四期生が入った今も、櫻坂46はまた次の形を作っている途中にいる。

参考・確認資料について

本稿では、欅坂46・櫻坂46・乃木坂46・日向坂46の公式サイトに掲載されたメンバー加入・卒業情報、シングルフォーメーション、キャプテン就任情報、公式ブログなどを中心に、各時点の編成を照合した。
「器」「4つの時計」「初期櫻坂の総決算」などの表現は公式による分類ではなく、編成の変化を比較するために本稿で用いた考察上の表現である。

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