全員が間違えた? 240−160の落とし穴
「おさいふに240円入っています。160円のおかしを買いました。おつりは何円でしょうか。」
以前、ある研修会でこの問題に出会いました。一見すると、ごく普通の引き算の文章題です。しかし、よく考えると、とても良い問題だと感じました。
そこで、さっそくクラスの子どもたちにも出してみました。
すると、子どもたちは全員が迷うことなく、
240−160
という式を書きました。そして、「できた!」という表情で満足そうにしています。
そこで私は、「本当に、この式しかないのかな?」と問い返してみました。
すると教室の空気が変わりました。
「200円を出したら?」
「210円を出してもいいよね。」
「160円ちょうど持っていたら、おつりはないよ。」
そう言いながら、子どもたちは次のような式を書き始めました。
240−160
210−160
200−160
160−160
ここで気付かされるのは、子どもたちは文章題を見ると、問題文に書かれている数字をそのまま使って式を立てようとする傾向があるということです。
しかし、実際の買い物ではどうでしょう。
財布に240円入っていたとしても、レジで240円すべてを出すとは限りません。160円のお菓子を買うなら、160円ちょうどを出すこともあれば、200円を出すことも、210円を出すこともあります。
つまり、この問題で考えられる支払い方は、160円、200円、210円の3通りです。(240円をそのまま出すことは、通常の買い物では考えにくいでしょう。)
この問題の面白いところは、「財布に入っている金額」と「実際に支払う金額」は必ずしも同じではないことに気付けるかどうかです。
仕組みが分かってしまえば難しいことではありません。しかし、問題文にある数字だけを見て式を立てようとする子どもにとっては、まさに目からうろこの問題ではないでしょうか。
文章題で本当に大切なのは、数字だけを見ることではなく、問題場面を頭の中で具体的にイメージすることです。
だからこそ、このような「問題場面を想像しないと解けない良問」に、子どもたちにはたくさん触れてほしいと思います。数字だけではなく、生活場面を思い浮かべながら考える力こそ、文章題を解く土台になるのです。
