見出し画像

【第1回】龍は合成獣なのか?|世界の合成獣あれこれ&要素組み換え合成獣

よせばいいのに、またシリーズ的なことをはじめてしまいました。
今まで、中途半端に終わっているものがいろいろあるのに、懲りないねぇ。
メタな私が頭の斜め上から、そう囁いています。


■龍の正体が気になった■

ということで、この前、下記の記事を投稿しました。

手水舎にいる、あの龍の「いつから」を調べたのですが、今度は「そもそも龍とは何者なのか?」が気になりました。

いちおう、龍は合成獣に含めていいのではないかと思います。
合成獣をとりあえず次のように定義しておきます。

「複数の実在動物のパーツ組み合わせた、想像上の生き物。」

英語だとキメラ
ギリシア語のキマイラが語源です。
キマイラは固有名詞で、やはり合成獣(怪物)のひとつですが、今回は深入りしません。

では、龍はどのような合成獣なのか?
中国の後漢時代の人物・王符おうふが、三停九似さんていきゅうじ」説というのを説きました。
なにか、落語家の名前を思わせるような説の名称です。
これは龍のパーツを以下のように分析したものです。

①角→鹿
②頭→ラクダ
③眼→兎
④うなじ→蛇
⑤腹→ハマグリ
⑥鱗→鯉
⑦爪→鷹
⑧てのひら→虎
⑨耳→牛

厳密には、龍の各部分が、どの動物のパーツに似ているかという説なのですが、いやいやちょっと待ってくれ! です。

ハマグリの腹って何?
百歩譲って、いや五百歩譲って、ハマグリの身のどこかしらを腹だと認めたとしても、龍の腹ってハマグリ要素ゼロなんですけど。

図解してみますね。

龍のパーツ。

ウサギの目も、蛇のうなじも、ラクダの頭も、虎の手のひらもわかりにくいです。
大丈夫か、後漢の人?

■人間は「混ぜる」のが好き■

もんじゃ焼きも、ナムルも、ゴーヤチャンプルも混ぜます。
いろいろなものを混ぜる食べ方は世界中に存在。

基本的に、人間の本能に「くっつけたい」、「混ぜたい」という欲求があるのではないかと、勝手に思っています。

ではなぜ、合成獣という、想像の世界にまで「混ぜる」ことを広げたのか?
仮説を三つあげます。

1.強さの合算(最強パーツの寄せ集め)
2.聖性・異界性の表現(この世にいない=神の側の存在)
3.境界の侵犯への畏れ(分類できないものは怖い/尊い)

こう考えれば、「某ブラック企業(業界)」の方々が背中に龍を描きたがったりすることは1から、龍の吐水口や龍の絵が神社にあることは2から、結界に龍神が封印されているなどという伝承は3から説明できます。

■世界の合成獣めぐりダイジェスト■

龍の他にも、東アジアには玄武げんぶ(蛇と亀が絡んでいるだけという気もしますが…)、ぬえ(猿+狸+虎+蛇)、いちおう麒麟きりん(いろんな動物+ビール)も入るのかな? など、さまざまな合成獣が伝えられています。

神話の宝庫・ギリシアでは、キマイラ(ライオン+ヤギ+蛇)、グリフォン(鷲+ライオン)、ケンタウロス(人間+馬)など。
スフィンクス(人間+ライオン+鷲)もそうか。

メソポタミアには、ムシュフシュ(蛇+獅子+鷲+蠍)なんてのもいたようです。
ちょっと、龍っぽいイメージ。

インドには、マカラ(象+ワニ+魚)という合成獣がいて、インドの寺院では吐水口で、でぼでぼと水を吐いています。

インドの寺院の、マカラの吐水口。

考えてみると、シンガポールのシンボル・マーライオン(獅子+魚)だって合成獣。
いちおう伝承はありますが、あの形で定着したのは1964年。
合成獣は今も作られているんですね。

■ならば、自分で考えるのもアリ!■

後漢の人が、龍を9つの動物のパーツに分解するなら、その9つの動物の他のパーツを組み合わせてみたらどうなるのでしょうか?

仮に次のような組み合わせで、想像上の合成獣の画像を生成してみました。

【龍の本来の(?)構成要素】
①角→鹿
②頭→ラクダ
③眼→兎
④うなじ→蛇
⑤腹→ハマグリ
⑥鱗→鯉
⑦爪→鷹
⑧てのひら→虎
⑨耳→牛

【新たな龍(?)の構成要素】
①角→牛
②頭→鹿
③眼→蛇
④うなじ→虎
⑤腹→鯉
⑥甲羅(New!)→ハマグリ
⑦翼(New!)→鷹
⑧こぶ(New!)→ラクダ
⑨耳→兎

結果はこちら。

ほんと、AIって便利です。
ちゃんと、注文通りに画像を生成してくれました。
もう背中がてんこ盛り!

龍を構成する動物のパーツを変えると、まったく違う合成獣になりました。
これこそ、新たな龍新龍しんりゅう

そのまんまでは芸が無いので、尾鹵侖(おろろん)と命名します。
意味は無いです。
なんとなく音感と、日本であまり使わない漢字を組み合わせただけ。

さきほど、人間が合成獣を生み出してきた理由について、三つの仮説をあげました。
その三つとは無関係な視点から、
「動物のかわいいパーツを集めたらどうなる?」
という発想で、新たな合成獣を作ってみました。

要素は以下の通り。

①猫の頭
②トムソンガゼルの角
③ペンギンの体
④カンガルーの袋
⑤ウサギの耳
⑥カピバラの足
⑦レッサーパンダの尾

結果はこちら。

おお!
予想外にかわいくないですか?
猫の顔が、人間っぽすぎる気はしますが許容しましょう。

AIの生成サービス(?)で、カンガルーの袋の中に勝手にどんぐりが描き足されました。
かわいさアップを狙ったようです。やるなあ。

直感的なイメージで、この合成獣は符若(ぷにゃ)と命名します。

■現実世界に実在する「合成獣」たち■

現実世界にも合成獣っぽい生き物は存在します。
とはいえ、交配によって誕生した生き物ですから、基本は二種類、しかも種の近いものだけ。

なので「○○+△△」ではなく、「○○×△△」という表現の方が適切かと思われます。

ライガー(ライオンの父×虎の母)、タイゴン(虎の父×ライオンの母)、レオポン(ヒョウの父×ライオンの母)など。

レオポンは、甲子園球場の隣にあった遊園地兼動物園「甲子園阪神パーク」で、人工的に生み出されました。

5匹誕生しましたが、繁殖能力が低くていずれも一代限りで終わり。
千年以上語り継がれる、想像上の合成獣との大きな違いです。

あげくに、レオポンは剥製にされて展示されていたのに、コロナ禍で展示施設が閉鎖したため、「居場所」を失い、今はどこかにひっそりと存在しています。

また、2006年に発見された、「グロラーベア」などと呼ばれる熊は、ハイイログマとホッキョクグマの雑種。

気候変動の影響で、二種類の熊が交配して生まれたのではないかなどとも言われています。
いずれ詳しく調べたいと思います。

想像上の合成獣と違って、現実の合成獣(単なる雑種でもありますが)には、さまざまな現代社会の課題が潜んでいるようです。


いいなと思ったら応援しよう!