㉞ 今更恥じても仕方がない。創作大賞応募 七話 天草四郎時貞 総大将
小説の書き方なんて何もわからないままに、創作大賞に応募するなんて無謀でした。
ただ、挑戦者とはそういうものです。
今更恥ずかしがっても仕方がありません。
書き殴るだけ。キーを叩くだけ。
まだ始まったばかり。
七話 天草四郎時貞 総大将
板倉重昌という人物が幕府方の総大将らしい。
天草からも島原からもいろんな情報が入ってくる。
「四郎、幕府は本気だ」
絵門がにじり寄ってくる。
「交渉をするんだ。戦闘はだめだ」
「わかっている。でもどのようにして?」
「わたしが行こう」
「お前には荷が重い」
絵門は侍衆に信頼されていない。
特に父親甚兵衛は幕府と繋がっていると思っている。
合意がとれるはずがない。
かと言って好戦的な天草衆を使者に出すと、まとまる話もぶち壊しになる可能性が高い。
「では監物か?」
絵門は私を睨んだままだ。
縦でもなく横でもない。
「よし、宗意軒の意見を聞こう」
宗意軒の陣屋では忠右衛門と竹蔵さんも酒を酌み交わしていた。
「合戦の談義をしていた」
宗意軒は不敵な笑みを浮かべながら語りかける。
「九州の武将の動きは緩い。板倉なにがしなど聞いたことのない名だ。恐れるに足らんぞ」
「左様ではありますが、幕府の出方次第です」
「と言うと?」
「幕府は合戦を望んでいるのか和議を望んでいるのか」
「ばかやろう、和議とは即ち降伏だろう。百姓以外皆殺しにされるに決まっている」
竹蔵さんは少し酔っている。
「うむ、だが我らはすべてキリシタンじゃ。その意味をよく考えろ。おそらく幕府は武士と百姓を分ける事ができないじゃろう。要するに降伏とは百姓も殺される」
忠右衛門らしい論理だ。
この一揆の落とし処に振れがない。
「有家監物を使者として送りましょう。相手の腹が読めなくては対応の仕様がございません」
「ならば、腹の中が分れば戦に勝てると申すのか?」
宗意軒が気を昂ぶらせる。
「我らの戦いは我らの国を作ること。そうではございませんか?」
「何を小僧!」
宗意軒は刀に手を掛けた。
しばし私を睨んだ後にゆっくりと嘆息した。
「もはやこの一揆の大将はお前だ。お前の軍令がなければ天草の侍さえも動かんだろう。交渉の件、そなたに任す」
どっかと座って宗意軒が酒をあおった。
監物は重い足取りで帰ってきた。
