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22年・1550万文字のライフログを「学術論文」に│地方公務員がSocArXiv投稿に挑んだ理由【第3話】

私は2004年1月10日から22年間、
日記やチャットのログを記録しています。
このうち、
2004~2014の10年間に関しては、
分単位で記録されています。

気づけば総文字数は約1,550万文字。
これらを日単位でスコア化・偏差値化することで、自分の「関心の変化」を22年間にわたって可視化できるようになりました。

(概要は第1話参照)

今回は、地方公務員である私が、
独学で論文を執筆・投稿した話です。


■ なぜ論文化しようと思ったのか

日々のライフログの記録はできます。
図も作れるし、考察も書けます。

しかし、22年分のログを「個人の気づき」だけで終わらせてよいのか。

この膨大なデータは、
学術的や社会的な還元ができないか?
そう考えたのが論文化の動機でした。

私は22年分の関心を、スコア化しています。

一方、地方公務員でもある私は、
各自治体がアンケート等を行い、
市民(社会)関心を長期間にわたり
調査・公開していることも知っています。

個人関心20年分と、市民関心20年分。
まったく異なるスケールのデータを、
同じカテゴリ体系で比較できれば、

  • 個人関心はどう変化してきたのか。

  • 市民関心はどう変化してきたのか。

  • 将来、それらがどう変化するのか。

こうした問いを、
同一フレームで扱えるようになります。

これは、少なくとも私が調べた限りでは、
誰も試みてこなかった視点です。

そう考えて、論文化に挑戦してみました。


■ 投稿先『SocArXiv』って?

私はSocArXiv、arXiv、Jxivの3か所に投稿しました。
このうちSocArXivは、米国メリーランド大学等が運営するプレプリントサーバーです。

査読前の論文を公開できる場所で、
研究成果を迅速に共有する仕組みです。
(ほか、Jxivは日本サーバー、
 arXiv
は米国サーバー)

SocArXiv: https://osf.io/preprints/socarxiv
arXiv: https://arxiv.org/
Jxiv: https://jxiv.jst.go.jp/index.php/jxiv

私はこれら3箇所に論文を投稿しました。
(個人研究であり、所属組織の公式見解を示すものではありません。)

これにより、
個人の22年分のログ研究が、
日本と米国の公的な学術アーカイブに残ることになります。


■ どんな論文を書いたのか

論文は日本語版と英語版を執筆しました。
(同じ内容)。

※日本語版タイトル
超長期N=1ライフログと市民アンケート(N=ALL)の接続による関心変動モデルの探索的構築
―高齢化社会における関心縮小仮説の検討―

https://doi.org/10.51094/jxiv.3174

※英語版タイトル
Modeling Interest Change Using a 22-Year N=1 Lifelog:
Connecting Ultra-Long-Term Personal Data with Population Survey Data

https://doi.org/10.31235/osf.io/tfxzb_v1

英語版論文(表紙)

■ この論文のポイント(4点)

① 個人ライフログ(22年・1,550万文字)のスコア化

著者の日記・チャット(ライフログ)を形態素解析し、
関心カテゴリごとに日・週・年単位でスコア化・標準化・偏差値化

日本語論文の抜粋

② 市民データ(市民アンケート19年分)

市民アンケート19年分(2.7万人分)を、上記①と同一カテゴリで集計し、年単位でスコア化・標準化・偏差値化

英語論文の抜粋

③ 2050年までの探索的将来推計

統計手法(AP分析)を用い、個人と社会の関心が2050年にどう変化するかを予測。

日本語論文の抜粋

結果、双方が「関心の再配分」に向かう兆しが見えてきました。
「加齢する私」と「高齢化する市民」の関心が、25年後にどう変化するのか。
その予測結果は、私にとっても驚きのあるものでした。

日本語論文の抜粋

現在40歳の私は、25年後(65歳)の将来推計では、
「子ども」「家族」「仕事」などの関心が大きく低下しました。

また2050年の市民全体の将来推計では、
趣味や娯楽などの関心が増加し、ボランティアや地域活動などの関心が低下しました。

関心の総量(平均値)に関しては、
個人・市民の両方で、わずかに低下する(関心縮小する)という推計結果
でした。

ただし論文では、
「厳密な因果推論ではなく探索的フレームワーク」と明確に書くとともに、
研究の「限界」を7点に渡り記載しました。

④ スコア異常値の因果検証(生ログ逆参照トレーサビリティ手法)

偏差値が相対的に高い期間(例:「友人・知人」偏差値が突出する日など)を抽出しました。
そのうえで、
日時ID等をキーに対象日の前後7日間の生ログを逆参照(トレーサビリティ)しました。

実際に抽出した期間を生ログで追うと、
偏差値が跳ね上がった日には、該当テーマに関する言及が確かに増えていました。
数値の「異常値」が、「生活の出来事」と結びつく瞬間を確認しました。

(参考)関心スコアの相対頻度算出式

■ 独学で論文を書くときに意識したこと

私は研究者ではなく、地方公務員です。
だからこそ、3つのことを意識しました。

  1. 一般化しない

  2. 限界をできるだけ明示する

  3. 方法をできるだけ透明化する

  4. 先行研究や関連分野をできるだけ調べる

具体的には、
「証明された」ではなく「示唆された」
・「事実である」
ではなく「探索的な試論」
・「新たな結論」
ではなく「枠組みの提示」
など。

つまり、
「言いすぎない」、「無理なことは無理」、「誠実」を意識。


■ 地方公務員が論文を書くということ

論文を書くのに、
特別な資格は必要ありません。

必要なのは、
問いを持ち、データを見つめ、
最後まで書き切る根気だけです。

地方公務員であっても、
日々の実務や経験から生まれる「問い」は、立派な研究の出発点になります。

むしろ、現場にいるからこそ見える“生活者としての視点”は、研究にとって大きな価値があります。

私はたまたま22年分のライフログを持っていましたが、
長期ライフログを持っていない人でも、今までの人生や仕事を振り返れば、
多くの人が新たな仮説を立てることができるのではないでしょうか?

仮説を立て、検証し、限界を認識する。
その繰り返しが重要だと考えています。

もし論文が無事に公開されて、
それを読んだ誰かが、
『自分の人生をデータ化してみよう』
という小さな好奇心のスイッチになれば嬉しいです。

こうした研究を今後も少しずつ続けていこうと思います。
もしよろしければ「フォロー」と「スキ」をいただけると、とても励みになります。


▼論文挑戦の裏話【第6話】

・「関心」をスコア化する方法【第4話】
 https://note.com/lifelog_lab/n/need6ac97f0ab

・「感情」をスコア化する方法【第5話】
 
https://note.com/lifelog_lab/n/n86d8695cf9d8

・論文の裏話【第6話】
 https://note.com/lifelog_lab/n/n1326c7339f7f

・人の興味の将来予測|3万人データで予測【第7話】
 https://note.com/lifelog_lab/n/n5e97a4e81362

・本シリーズの起点【第1話】
 https://note.com/lifelog_lab/n/n2f55c09c19bb


※特定の組織・自治体・企業を代表するものではありません。


▼日本ライフログ研究所 │ 公式サイト

・公式サイトURL:
 https://wide-spirit-498.notion.site/346b4484a04880e8b4b7dbd94f9e602a


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