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【番外編】祖父との思い出

私は母方の祖父母の家が大好きだった。

大好きなおじいちゃんと
大好きなおばあちゃんのいる家は

いつも穏やかで
いつもちょっとだけ
ひんやりした空気が流れてて
落ち着いた。

———

私が5人兄弟で
しかも1番上ということもあって

私の実家は当時
小さい子供たちで騒がしかった。

なので余計に
祖父母の家の静けさが

とても好きだった。

———

祖父は家にいる時

だいたい春秋は浴衣姿で
真夏は甚平を着ていた。

冬はちゃんちゃんこを
羽織っていたのを覚えている。

———

祖父母の家に行くと

両端に大きなスピーカーの付いた
ステレオがある応接間の
1人掛けのソファで
新聞を読んでいる祖父が

私を出迎えてくれた。


———

「またみおさん来たのかぁ」

新聞を畳みながら
浴衣姿の祖父が
私に話しかける。

「だっておじいちゃんち
 好きなんだもん」

———

小学校の帰りも
通学路を破って
祖父母の家に寄った。

「今日は風が強かったから
 おじいちゃんちに来たの」

全然意味不明な理由も
笑って聞いてくれた。

———

だいたい学校帰りに寄ると

祖母は行きつけの喫茶店に
お茶をしに出掛けていて

祖母が帰ってくるまでは
祖父と2人の時間だった。

———

祖父の家の庭の小さな池には
鯉がいて


鯉を眺めたり

庭にある柿の木の柿を
フルーツナイフで
切ってくれて食べたり

おじいちゃんとの時間を
占領した。

この鯉のことを
「昔お母さんが小さい頃、
 お祭りで取った金魚を池にはなしたら
 こんなに大きくなったんだよ」
と祖父に言われ

私は結構大きくなるまでそれを信じてた…

辰年生まれの弟なんかは
「このまま鯉を上手く育てると龍になるんだよ」
と言われかなり喜んでパンのかけらをあげていたのを覚えている。

———

休みの日も
教育ママ全開の母から
逃げるように

祖父母の家に遊びに行った。

———

祖父は碁が好きで

午後の決まった時間に
NHKの碁の番組を見るために
自分の部屋にこもる。

そしてでてきて
応接間に碁盤を並べて
打ち始める。

その隣で簡易的な碁盤を並べて

棋譜並べの合間合間で
私と五目並べをしてくれるのだ。

———

どんなに教えてもらっても
あんまりよくわからない私は
いつも祖父に負けた。

「みおさんは下手だなぁ」

と笑うおじいちゃんが好きで

上手くならなくてもいいかと
思っていた。

———

祖母はお世辞抜きに
とても綺麗な人で

祖父より9個下にあたる。

いつも天真爛漫の
可愛らしい人。

———

おばあちゃんがお茶目に笑いながら
おじいちゃんを弄ると

「おまえさん
 いい加減にしなさいよ」

とムッとした顔をする祖父に
祖母は嬉しそうに笑った。

———

そんな二人が大好きで

その二人がいる家が
大好きでした。

———

祖母は今年で88歳。

腰ひとつ曲がらず
相変わらずお化粧もして
とても綺麗。

そしていつも
お茶目に笑っています。

———


だからね、おじいちゃん。

どんなにおばあちゃんに
会いたくなっても
まだ絶対
連れていかないでね。



毎回お仏壇にそう言って
私は話しかける…


#創作大賞2026
#エッセイ部門

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