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ハートランド・ジャパン、欧米豪に向け、山陰ツアーを販売開始。「なぜ、山陰なのか」その魅力を徹底解説します!

こんにちは。リベルタ株式会社です。

私たちは、「ハートランド・ジャパン」のブランド名で、訪日外国人旅行客に向け、アドベンチャートラベルサービスを提供しています。

 このたび、ハートランド・ジャパンは欧米豪の顧客に向けて、島根・山口を巡る「山陰ツアー」を開発のうえ、販売を開始しました。

 このnoteでは、ツアーの開発を担当した、リベルタ代表の澤野啓次郎(以下、ケイジ)に、ツアーのねらいや見どころ、さらには山陰の魅力をとくと語ってもらいました。


山陰は資源の宝庫

 ――まずは、山陰をフィールドにツアーを造成しようと考えたきっかけを教えてください。

もともと自分のアイデンティティは山陰地方にあります。ですので、以前から出身地である山口県萩市を組み込んだツアーをつくりたいと思っていました。

ハートランド・ジャパンを始めた2017年当初にもツアーをつくり、グループや個人のお客様に提供していたのですが、今回はそれをブラッシュアップした形になります。

2018年、萩往還を案内した当時のスナップ。地元の人たちとともに。

なかでも、「萩往還」は、地元ということもあり、必ず盛り込みたいと思っていたコンテンツの一つです。萩往還は、160年前の幕末期に10代20代の若い侍たちが日本に革命をもたらすために精力的に歩いた古道で、江戸時代につくられた石畳の道がいまも残されています。地元ではシニア世代のボランティアの方々が、これを利活用しようと一生懸命整備を続けています。

他方、欧米のハイカーの多くは、「日本に来て歩き旅がしたい」と、こぞって中山道や熊野古道を訪れています。ここ山陰にも歴史的ストーリーを持ついい古道がいくつかありますので、それを地域資源として活かし、地方誘客につなげたいと思ったのがきっかけです。

萩往還は、江戸時代に萩城下と、いまの防府市にあたる「三田尻」を結ぶ53kmの道として整備された。

加えて、古民家の空き家問題の解決に取り組んでいる「解く」への参画も大きかったですね。運営元である株式会社エブリプラン(本社:島根県松江市)とは以前から協業関係にありますが、「古民家のリノベーションを行うワークショップ」を旅のプログラムとして盛り込むことで、そのお役に立てるのではないかと思いました。

――このワークショップは、リベルタがテーマにしている「日本の地域の課題解決」「地域の活性化」とも、まさに符合していますよね。

日本の空き家は増える一方なので、山陰エリアに限らず全国的に利活用を本気で考えていかなければなりません。そのなかでも、とりわけ古民家には、日本の伝統建築の技術や、いまでは入手できない貴重な建材が使われています。これら資産の継承を目指すうえで、ピッタリな取り組みだと思っています。なにしろ茅葺屋根や土間のつくりかた、土壁の塗りかたを知っている日本人は、いま、ほぼいませんから。

その一方、欧米人は日本の文化や精神への関心が高いので、訪日外国人旅行客を通して、日本人にその取り組みや価値に気付いてもらい、自分ごととしてとらえてもらいたい思いもあります。

茅葺屋根の改修の様子。屋根の上からは風光明媚な島根の景色を臨むことができる

――それにしても、「空き家問題の解決」と「旅行」がこうしてつながるとは、なかなか思い付かないですよね。

そうかもしれません。けれども、「日本人のサステナブルな精神に触れる」というテーマを用いれば、この二つをつなぐことができます。全く異なるカテゴリであっても、ツアーという形にして、然るべきお客さんに届けることができれば、そこに価値が生まれるんだと、私も改めて感じています。

――なお、ワークショップ当日の宿泊先は、「解く」のメンバーである大工のワイルズ一(はじめ)さんがリノベーションした宿「輪島屋」(島根県出雲市)です。参加者は自分が体験した古民家リノベーションが、その後どうなるのか、ここで想像を膨らませられる点がいいですよね。

そうですね。古民家をどのように修復・再生したのか、どこに古材が活かされているのか、一さんの解説を聞きながら、眺めて過ごす時間も面白いでしょうし、大工さんをはじめ、地元の職人さんや活動家に会えることもまた、このツアーの価値なので、つながっていく楽しさを感じ取ってもらえるとうれしいです。

築200年の古民家をリノベーションして生まれた「輪島屋」。ここで過ごす時間は旅のハイライトの一つになるはずだ

日本で「サステナブルトラベル」というと、学生向けの教育旅行の文脈で捉えられてしまうからか、すぐに「SDGs」や「サステナブルツーリズム」のように、アカデミックでお勉強チックな概念で語られがちです。

しかし、旅行はあくまでもレジャーです。お客様は日本にお勉強ではなく、余暇を楽しみにきているので、「お勉強」にしてしまわないことが大切です。

だから、私たちは、「観光」「挑戦」「学び」の三つの要素を上手に配合し、お客様に ”心のお土産” を持って帰ってもらいたいと思っています。

そのためには「楽しい体験」「気分が上がる体験」であることが必須だと考えています。お客様は何にお金を払ってくれるのか? その視点が重要なのです。

ちなみに、鷺浦は出雲大社から15分とほど近く、エメラルドグリーンの海と茶色い石州瓦の屋根の家が建ち並ぶ古い町並みで、日本の漁村の雰囲気を深く感じることができます。まさに、外国人の求めるオーセンティシティがここにあるといえるでしょう。

日本海に面した鷺浦地区の美しい景色。「輪島屋」はこの一画にある。


 島根・山口を巡る山陰の旅。その見どころは?

――このほかの旅の見どころを、ハートランド・ジャパンが大事にしている「アウトドアアクティビティ」「異文化体験」「交流」の切り口からそれぞれ聞かせてください。

 まず、アウトドアアクティビティは、先述した「萩往還」はもちろん、「銀山街道」(島根県大田市)を歩くことです。

銀山街道は、世界最大級の銀山として知られる「石見銀山」(島根県大田市)で産出された銀を、日本海や瀬戸内海に運ぶために使われた古道で、美しい竹林と魅力的な古木を楽しめます。この旅では、瀬戸内海側の尾道に抜ける「やなしお道」のコースの一部を数時間かけて歩きます。

それから、世界で最も小さい火山である「笠山」(萩市)のハイキングも外せません。ここは、椿の群生林が見せる幻想的な雰囲気を味わえるのが醍醐味です。そして、頂上からは日本海に転々とする島々を臨むことができます。いずれも笠山の噴火によってできた島ですが、どれも平たんな形なのが興味深く、この景色は萩市以外ではなかなか見られないのではないかと思います。

ちなみに頂上にはコーヒーショップもあるので、絶景を見ながらひと息つく時間が取れるのもまたいいですね。

笠山の椿の群生林。冬から春にかけて椿のじゅうたんが広がると、いっそう幻想的な雰囲気に。

――続いて、異文化体験はいかがですか?

 二つの伝統芸能を鑑賞できる点です。一つは、温泉津(ゆのつ)(島根県大田市)での「石見神楽」です。神楽は豊穣を祈願して神々に捧げる儀式的な踊りとして始まりましたが、石見地方(島根県西部)では、速いテンポに合わせたアグレッシブな踊りへと独自に進化していて、その力強いスペクタクルを間近で感じられる点は、旅のハイライトになると思います。

壮大で荘厳な「石見神楽」。息をのむダイナミックな踊りは、外国人旅行客に大好評だ

もう一つは、どじょうすくいでも知られる「安来節」(島根県安来市)です。こちらは、宿に踊り手の方を呼んで、プライベート上演してもらう予定です。その少しコミカルなパフォーマンスを見て、盛り上がっていただきたいですね。

――石見神楽と安来節は、同じ伝統芸能でもまったく違いますよね。緩急ある二つを鑑賞できるとは見ものですね。

ちなみに、安来節は北前船の船乗りが、いろいろな地域の伝統芸能を混ぜ込んでつくったもので、宴席の余興で踊ってみんなを楽しませるような本当にユニークな踊りなのですが、担い手は年々減っています。
今回、プログラムに盛り込むことで、伝統継承の一助になれればと思っています。

見る人を楽しい気持ちにさせてくれる「安来節」。鑑賞者が踊り手に回ったりも。

そして交流ですが、先述した「解く」のワークショップ、「輪島屋」への宿泊に加え、かつて津和野藩だった地域で食べられている「うずめ飯」を地元の方と一緒につくって食べるコンテンツが挙げられます。

うずめ飯とは、お椀の底に魚や野菜を入れて、その上にご飯が盛られた郷土料理です。このようにして食べるのには、「質素倹約の時代に贅沢なものを食べていることが悟られないように」「粗末な食事を他人に見られるのが恥ずかしいから」のように諸説あるそうです。こうした話を聞きつつ、伝統的な料理を味わう時間もまた、特別な体験になると思っています。


山陰ツアーに対する海外の反響は?

――このツアーを紹介するウェビナーを、先日、欧米豪の旅行エージェント向けに開催しましたが、その後、反響はいかがですか?

 ウェビナーには海外のエージェントや旅行会社62社の応募があり、最終的には計21名の参加がありました。反応はとても良かったと感じています。

なかでもアメリカの旅行会社の女性オーナーが、「日本人にはMOTTAINAIというサステナビリティの精神があるにもかかわらず、空き家が多く放置されているのは、非常に悲しいことだ。けれども、「解く」の取り組みを通じて、利活用されていくのであれば、それは素晴らしい」って言ってくれたのは、印象的でしたね。
彼女は日本文化を深く掘り下げるツアーを扱っているので、そういう専門家の琴線に触れられた点は、まずは良かったと思っています。

このほか、「輪島屋」のオーナーである、ワイルズ一さんに「個別に連絡したい」というリクエストも複数ありました。一さんのような、取り組みや考え方を持つ人のいることもまた、山陰エリアの魅力だと思います。

 ――改めて、外国人旅行客を誘致するねらいを聞かせてください

 欧米は、日本と比べてサステナビリティの文化が進んでいます。そして、日本の旅にオーセンティシティ(本物らしさ)を求めています。先ほどの「もったいない精神」にも通じますが、日本の文化、日本人の精神性に興味を持つ人が多いんですよね。そこが訪日外国人旅行客に向け、提案する理由の一つです。

そして、もう一つは、このnoteでも繰り返し話題にしているとおり、東京も京都もすごく混雑しています。そこからエスケープしたい訪日外国人旅行客は一定数存在しており、その受け入れ先となる新しいオルタナティブ(代替案)として、山陰エリアは有効と私たちは考えています。

京都から約4時間という地の利の良さもそうですが、日本国の成り立ちを語るうえで、山陰は重要な役割を果たしているんですよね。それが訪日外国人旅行客の「訪れる理由」になります。

――山陰エリアは神話の舞台ですからね。

あとは、出雲大社(島根県出雲市)も、伊勢神宮と並んで二大神社といわれるほど格式のある神社で、国造りの神である大国主神(おおくにぬしのみこと)が祀られています。

それから、玉造温泉(松江市)をはじめ、温泉津や萩、そして最終目的地である山口の湯田温泉と、山陰は温泉も豊富なので、日本の温泉文化も楽しめます。

そして、津和野町や萩市には素晴らしい日本酒の酒蔵があり、松江市には小泉八雲の名で知られる、ラフカディオ・ハーンのストーリーがあり、安来市には日本一の日本庭園と評される「足立美術館」があります。とにかくこの地域には、外国人が求めるものがたくさん詰まっているんです。

安来市にある「足立美術館」の日本庭園。美術館では、横山大観や北王子魯山人の作品を鑑賞できる。

――なるほど。まさに「旅行資源の宝庫」ですね。

けれども、これらはインバウンドではまだ触れられておらず、東京と京都しか知らない訪日外国人旅行客にとっては、未知なるアドベンチャラスなデスティネーションです。
宮島(広島県)まで足を運ぶ人も増えてはいるものの、“ その先 ” となる地方に、いかに分散送客するのかという文脈においては、とても価値ある取り組みになると思っています。

そして、これは山陰エリアに限ったことではありません。人気観光地の先には、訪れる価値のある地域がたくさんあります。外国人がその地域を面白がってくれることで、地域の人も自分たちの暮らすまちの価値を再発見でき、誇りを持つようになれます。

日本の旅行者も「そこに何があるんだろう」と興味を持ち、当地を訪れ、また来たいと思うようになるでしょうし、もしかしたら当地の文化を継承したり、自分の出身地を省みて古道の保全に乗り出したりと、アクションを起こす人が出てくるかもしれません。

このサイクルが回り出すことを切に願いながら、私たちは引き続き、地域を元気にし、日本中が活力を取り戻すきっかけをつくるための活動を続けていきます。