第18回:幸せの「優先順位」を間違えない
前回の記事では、医師の働き方改革という制度の矛盾についてお話ししました。過酷な現場を支えるのは並大抵のことではありませんが、そんな激動の毎日の中で、ふと立ち止まって考えることがあります。「自分にとっての本当の幸せとは何だろうか?」と。
今回は、私が日々の生活と資産形成、そしてこれからのキャリアを見据える中で大切にしている「幸福のピラミッド」についてお話ししたいと思います。
幸せを積み上げる「正しい順番」
幸福を得るためには、守るべき「順番」がある。私はそう考えています。
健康と生活の安定(土台)
良好な人間関係(柱)
仕事の充実や名声(屋根)
この順序を間違えてしまうと、人生は脆く崩れてしまいます。 仕事の充実にばかり目を奪われ、がむしゃらに働いているうちに、ふと気づけば家庭が崩壊していたり、健康を害して「一体、何のために頑張っていたのか」と立ち尽くしたり……。そんな後悔の話は、残念ながら医療の現場でもよく耳にするものです。
屋根を豪華にする前に、まずは盤石な「土台」を固めること。これが、遠回りに見えて実は一番の近道なのです。
「安定した生活」の正体は、贅沢ではなく「見通し」にある
仕事が充実して名声を得れば、得られる金銭も増えます。それが「生活の安定」に繋がるという側面は確かにあるでしょう。しかし、多額の資産を持っていることと、幸せであることは必ずしも同義ではありません。
私が考える「安定した生活」とは、必ずしも贅沢な暮らしを指すわけではありません。むしろ、**「支出を抑え、身の丈に合った生活を送れている」という規律。そして、「将来への確かな見通しが立っている」**という安心感こそが、安定の本質です。
私自身、現時点で老後を悠々と過ごせるほどの資産をすべて築き終えているわけではありません。しかし、今のキャリアを継続し、インデックス投資を中心とした資産形成を続けていけば、子供たちの大学費用を払いながらでも、70歳頃には**「公的年金」と「4%ルールによる資産の取り崩し」**によって、資産を枯渇させることなくその後の生活を送れるだろう、という具体的な見通しが立っています。
「なんとかなるだろう」という根拠のない楽観ではなく、「このペースで進めば大丈夫だ」という確かな計算。この安心感があるからこそ、私は教育費の心配に振り回されることなく、日々の仕事に全力を注ぐことができています。
健康こそが、最強の「長期投資」である
そして、この「70歳まで働く」というプランを成立させるために欠かせない、もう一つの絶対的な条件があります。それは**「70歳まで働ける体を維持すること」**です。
いくら資産形成を頑張って数字上の目標を達成しても、それを享受する「体」というハードウェアが壊れてしまえば、すべては本末転倒です。健康を害してしまえば、せっかく築いた資産を味わうことも、愛する家族と時間を過ごすこともできません。
逆に言えば、日々の食事に気を配り、適度な運動を続け、**「健康を維持すること」は、どんなインデックスファンドへの投資よりも高いリターンをもたらす「最強の長期投資」**だと言えるでしょう。
幸いなことに、医師免許は終生有効です。働こうと思えば80歳でも現役でいられます。実際、私の周囲にも、80歳を超えてなお元気に外来に立ち、多くの患者さんを救っている偉大な先輩がいらっしゃいます。その背中を見るたびに、健康な体こそが、人生の後半戦における最大の「資本」なのだと身が引き締まる思いがします。
誰もが再現できる「幸せの土台」
資産形成も、健康維持も、**「過剰な負荷をかけずに長期間かけて行なっていく」**という点では共通しています。
短期間で劇的な結果を求めて自分を追い込めば、どこかで無理がたたり、心身の健康を損なうリスクが高まります。大切なのは、今の生活やキャリアを楽しみながら、細く長く、淡々と続けていくこと。
私が実践しているこの方法は、決して医師という特殊な職業だからできることではありません。
今の仕事を大切にしながら、キャリアを継続する。
過剰な負荷をかけず、時間を味方につけて資産を育てる。
70歳、80歳まで「打席」に立ち続けられる体を作る。
これらは、多くの人にとって再現性のある、極めて現実的な戦略です。 「もっと上へ」と屋根ばかりを見上げて焦る必要はありません。今日一日の健康に感謝し、安定した家計を守り、身近な人を大切にする。そんな当たり前の「土台」を丁寧に見つめ直すことが、人生100年時代を最後まで自分らしく歩み抜くための、一番確かな方法なのだと信じています。
【あわせて読みたい:人生の後半戦を「自由」に生きるための具体策】
今回お話しした「幸せの優先順位」を守り、盤石な土台を築くためには、抽象的な理想論だけではなく、現実を支える「具体的な数字と戦略」が不可欠です。
私自身、二人の子供の大学費用という大きな支出を抱えながら、いかにして「70歳以降の安心感」を手に入れる道筋を立てたのか。そこには、特別な才能や強運ではなく、忙しい本業の傍らで誰にでも実践できる、徹底して「再現性」にこだわった仕組み作りがありました。
別記事では、私が約6年間の試行錯誤を経て辿り着いた、以下の実践的なノウハウをすべて公開しています。
教育資金と資産形成を両立させる、独自のキャッシュフロー戦略
本業を疎かにせず、最小限の労力で「4%ルール」を目指すポートフォリオの作り方
50代からでも遅くない、将来の不安を「確信」に変えるためのステップ
「いつまでこの働き方を続けられるだろうか」という漠然とした不安を解消し、今の組織で誇りを持って打席に立ち続けるための、具体的なロードマップをまとめています。
本当の意味での「自由」と「心の安定」を手に入れ、人生の後半戦を自分らしくデザインしたい方は、ぜひこちらの詳細な解説も参考にしてください。
(もし今回の記事が少しでも参考になりましたら、下部にある『チップで応援する』より応援をいただけますと幸いです。いただいたサポートは、今後の分析環境(AIツールやデータ集計システム)の維持・向上のための資金として大切に活用させていただきます。今後とも Liberal Doctor をよろしくお願いいたします。)
