まばたきが色付く頃
小学生の頃にクラスが同じだった女子の誕生日だったと、0時を過ぎてから気付く。彼女に恋をしていたとか意地悪をされただとかの直接的な関係は特別結んでいない。ランドセルの名札に血液型(A型)と共に添え書きされていた数字を、なんとなくずっと憶えていただけだ。
横断歩道の向う。蜻蛉を肩に乗せた、性別の定かでない子どもが立っている。手招きをしているふうにも見えたし、〝あっちいけ〟の仕草をされているようにも窺えた。あの姿が視えたとき、決まってじきに激しい雷を伴う豪雨がやってくる事だけは確かだった。土砂降りは、何処にでも簡易的な三途の川を拵える。台風の日に畑へ誘なわれる爺さんを呼んでいたのは、本当に農作物であったろうか。疑わしくっても触れることはおそろしいから、誰もが口を噤んだ儘屋根の下で耳を塞ぎ、軈て来る晴れ空に幾度も謎を溶かし続けている。
憎めない怪異から三番目の扉に匿われた花子さんは放課後をたいへんに嫌悪しており、児童等の気配を察したさいには必ず蹲って息を殺しているんだ。不意で出会えた時には悲鳴なんて上げずに、影が棲んでおり明かりの一ツも点いていない保健室迄連れていってあげなくちゃあいけないね。
