漆喰シック

誰にも内緒で開けた綿飴の包装は毳毳しく、警備を任せた幾つもの尾鰭が忙しなく宙で円を描いている。竈馬の切れ端を帳面に挟んで、普段より多く滲んだ汗を吸取るのは度を過ぎた几帳面を誇る千鳥格子。御丁寧に玄関からいつもの柴犬が呼んで来るもので、何時間も台所から動けないでいる。線香着火に適したアーク・ライターは電線に縛られて逃げ場を失くすし、嘔吐く程に喉が荒れてもいる。今ばかりはエフェドリンの退屈な自慢話も真面目に受け止めてやるとしよう。

仄赤い錆を纏った文鳥だか象だか定かでない影絵を情操教育に用い、散らかした物を散らかし切った所で血相を変えて色画用紙を喰み始める姉妹の為に買った籐籠に防水シーツを敷き巡らせよう。4LDKの鳥小屋では副交感神経が留守をして長い面子が雀卓を囲み、各々からだやこころの痛みを訴えている。幻視が八角形だったとか、譫妄こそが現実の指揮を取るのだとか、そう云う話だけをしていてください。

図工の時間に粘土で拵えた架空の数字を、気持ちの悪い化け物だと悲鳴を上げて金槌で砕かれて仕舞ったトラウマの所為でずっと老婆の背中が苦手だ。克服するには母子手帳を遥か遡って羊の落書きを見付け、味方に付ける為にそいつへ説得を重ねるしかないのだろう。