跳ねない雫
巨きなビルディングの麓で風見鶏が目を回し引繰り返って泡を吹いている。消失点はいつだって旅人だ。焦点の合う迄を利口に待ってくれはしない。不確かな気候には不確かな服装を。膝を露出し、裸足歩きでインヴァネス・コートを被って。太陽のキャラクターがサングラスを掛けて、君は一体何から己を守ろうっていうんだい。
機会があって触らせてもらった性格診断の結果を薄らと思い出しては救われている。かのショパンも眉目秀麗に酷い神経質を隠していたと云う話に勝手に同調して肩の力を抜いている。あの時入力した情報が、土竜の餌の其のまた餌になるとは知りもしないで。あの時液晶画面に向けた、然も興味は御座いませんと言いたげに装った表情が、スライスされて料理教室の中途退場者に持たせる土産にされていたと想像すらせずに。黄鶲に啄まれて腫上がった自尊心は、今に目出度く弾けてしまいそうだ。
到頭、夜を噛み切ることは出来ませんでした。空から逃げ切ることも出来ませんでした。積木に囲まれて胎児に擬態し、指をしゃぶり乍らせめて呼吸を浅くすることで抵抗している、何かに。内内なる攻撃性は、嫉みの羽根を抱え込んで離さない。
