植物性頭痛

不意に鼻から転がり落ちた頭痛のタネを育ててみようと思った。約七ミリメートルで、向日葵の種子と似ている。少々検索しただけでは正体しか知れなかった。育成方法も要領を得ず、悪い噂ばかりが目に付く。それもそうだ、体外に出てしまった瞬間から、何年も抱えてきた慢性頭痛が嘘の様にきれいさっぱりと治ったのだ。自分の様な数寄者には、なかなか出会えそうになかった。

園芸店を訪ねてみるとグミの木が特売品になっていた。上手く育てれば、ブドウ、パイン、オレンジ、コーラのグミが実るのだと云う。丁度自転車に跨って何処かへ行こうとする、首にタオルを巻いた店主らしき年配の男性に声を掛けると、此方に首を向けるや顔面の表皮がみるみる青い粘性の液体と化し、ぼたりぼたりと厭な音を立てて地面に吸い込まれてゆくではないか。顔面のパーツが数秒前に在っただけの洞穴状のツラは、何か用かいと訊ねなすった。妖怪はお前だろう。しかも、御丁寧に溶解までしている。

しようもない自分の思いにも眼前の有様にもすっかり呆れ、持ってきた筈の用を落としてしまった。ああ、頭が痛い。おや、どうしてさっきまで痛くなかったんだっけ。