残像スクラロース
無精卵の尻尾を踏ん付けたら、ギヤッと高く跳び上がった。幸い、朝から抱えてきた倦怠感が割れるには至らなかった。教科書を見せてねとせがむ円錐の繊維を断ち切った記憶の端の方で、空調にべたべたと触られているスカーフが靡く。場違いで三枚に卸されてしまった千羽鶴の言う事には、三十メートル四方では隕石の打上げが中止されてしまったのだという。
タッチタイピングを行なう両手の、掌辺りにある空白には何を詰めて差し上げましょう。彩りにお野菜? 寂寥の町? 灰の降る屋根? 笑い袋? 失恋の為にくれてやった目蓋? いづれを選んだとて、自分は自分に変わりはないし、此の手の下には何もない。餌を欲しがるのみであり、空洞です。証拠に、不揃いのアバターが肩を組んで、指を一本ずつ奪わせます。
約束してたのに。画策してたのに。水星逆行の夜に、瓦解してゆく瘡蓋。後指から差される身丈の中には沢山の節足動物を飼っているから、理性にはきっと何も判らない。何も此処に在りゃしない、だから何も判らないのだと、正直に書けば感想文としての最低評価を貰った。殊に、推察をした処に関しては、縦線で心がすっかり引き裂かれてしまった。双曲線のレモネードは、場飾りの葉っぱからそう溢して止まらない様子でした。
古紙の還り際に、祠には体液を引っ掛けてはならないよと狐が照れ臭げに尻をくねらせて告げるから、季節は終わった。宿題も終わった。朝顔とミニトマトの機嫌取りも終わった。全てから解放された八月は、邪な手口での足元すくいを怠らないから、終わっても終わらせてもまた廻るのです。其れは屹度、我々が死んでも、春と秋が死んでも、まだ。
