口遊む

一角獣が御迎えに来たよ。退屈な毎日も此れっきりだ。マカロンみたいに色付く国に招いて貰ったら、仕事も勉強も睡眠も食事もおさらばだ。醜い欲求は花型の鋏で切り落とし、自分を卑下する気持ちは宝石の池に沈めてしまえ。将来が見えなくなったら涙腺から真ッ赤な夕焼けが漏出するから、絶対に大丈夫。ふんわりと綿飴に包まれて、町放送のノクターンに合わせた呼吸で素敵な映画を見よう。スタッフロールの頃には、君の生首も絶景の仲間入りだよ。

コンクリートに疲れ、虫鳴きにも弾かれ、失くした自信が六錠一間に縫い付けられて指先から順に鉛に変わり始めて暫く。目を投げ出した先の天井には蛸の模様が染み出して来ている。制限的なロマンティシズムが刹那主義の尻を叩くから、本望に駆けてゆく他の選択を失った。書きかけの歌詞はずっと、メモ帳で威嚇をしている。

クリームパンを齧った所から溢れてくる母性の象徴は世界でわたくしだけを置去りにして、駅前の乗り捨て違法駐車にいそいそと忍び込んだ。機嫌の悪い寝姿にも容赦なく、晴れ空はすっきりと鮮やかで、平等に動植物に対する差別姿勢を見せていた。けれど、手の中に有る雨雲の仔を守っているだけの感覚はいつ迄も消えずにいる。