ニンゲニウム含有率
苺味の飴が懸命に神経の興奮を鎮める頃、雨濡れの錆トタンは寒暖差で風邪を拗らせた。果糖を齧っても晴れない倦怠感はまるで素敵な嘘。冷房を働かせておき乍ら薄い毛布の中で大切に無精卵を温めている最中にも、欠けてしまった所から順に良心が炭酸水で溶け腐ってゆく。窓に張り付いた蛾の腹はペイズリー柄だし、車が開けた大きな口にはびっしりと歯が生えているし、今日という今日こそは全てに優しくなれちまいそうだ。
蜥蜴の揚物を箸で突いている反地球生命体は、スナック菓子の袋の中で満腹になれる時を心待ちにして。彼等の内から無作為に選んだ心を切り取った寫眞が傾斜を転がり落ちる際に感じた責任が宙を切る。坂の下にひらけた商店街の入口に佇む回転抽選機の中には、二個だけ〝犬死に賞〟があったらしい。無為に息絶える事は或る種のこの上ない幸福だと考えているけれど、きみはどう思う? 冗談でない答えをして欲しい。知らない間に口角が切れていたから、今は上手く笑えないんだ。一文字に結んだ唇だけでは何一ツ伝えられやしない。
指を鳴らすと、希望が降ってくるよ。試しにどうぞ、人生に嫌気がさしたら、いち、に、ぱちん。
