ざわり、目障り

ドパミンと引換えに徐々に思考が衰えてゆく。八ツ裂きにされたシナプスが咀嚼するのはペトリコールの物語。未だ名前も持たない新しい元素が小躍りをしては山羊の首元を飾るベルに羨望の眼差しを向けている。どんなにあれが嫉ましくなっても、鳴らしに行く事は村の因習で決して赦されなかった。

季節はヒュッと喉笛鳴く暇も許さず鈴虫の首を斬り離した。今日も代表作の題名すら見た事もない知らない奴が地道にフライヤーを風に舞わせている。途轍もなく下賎な謳い文句はまるで欲という欲の権化。見窄らしい鼠も其の極彩に目眩を訴えた。

制限時間内でこんなにもの回数に至って頭を鉄扉に打ち付けたぞとやけに自慢気な芸術家が言うので、へえ、それはそれは、才能がお羨ましいのでわたくしも今夜是非、と無難な返しをしておいた。暗くなった頃には痛みを伴う何かを行うでもなく、美味しいステーキを平らげてゆっくりと風呂に浸かり、朝迄たっぷりと良い夢を見た。ですからわたくしには才が無いのでしょう、だなんて、勿論感じるでもない。

新築の憐憫は主要駅へ自転車で二分程。部分的に腫れ上がった街に喰われないよう、慎重に、どうか慎重に、真っ直ぐ前だけを見て行先を目指して欲しい。