満月が悪いんだ
洗濯物達の会話を聞いた時間はあるかい。Tシャツ、下着、タオル、鯵の開き、へなちょこキリン、キュビズム仕立ての引っ掻き傷。揃って人間の悪口に花を咲かせるが、徐々に互いがなんとなく気まずくなって、何れからともなく風に靡く布に擬態する。そうあるからお日様の香りが決して彼等の表皮を焦げ付かせないのだ。
家主の束ね髪を食い千切る鼠は盗癖が治らず、床下では六色の顔を引き摺って自分の頭に嵌めようと躍起になって泣いており、軈て抱き込んだ罪の深さに落っこちてそいつの首巻が頸動脈を締め上げてきた。こいつァいけないなと、悲鳴が消えていった深淵には香草を散らしておくとする。
恋がしたい。依存をされてみたい。否。君は唯、他者からの承認を欲している。一寸息をしているだけで、名前を呼んで頬を撫で、背中を抱いてくれるなら誰でも良い。そうだろう? 肩を竦めて訊ねる、其の大きな蟻が相手ですら構わなかったのかもしれない。
気の利かない絆創膏は歯列や他責を辞めない舌に確りと巻き付いてはくれず、武器ならば研ぐ方が正解なのか、判らず終いで今日と云う日もお終いだ。口を閉じれど画面を睨んで親指をすいすいと踊らせているようでは、成してやれる術もないのだけれど。
