虚しさにすら見放されて
眠れないなら林檎のジャムを煮詰め乍ら網膜に乳液をすり込みましょう。壊れていても構いません。廃品回収業者もそう言っておりました。俄雨が怖いならとっておきのバームを鼓膜に塗り込みましょう。柔かい香りが限りなく正気に近い狂気に誘なってくれることでしょう。夜の縫い目がほつれていては、心が腐りたがっちゃって、いやだね。香り付きのアイマスクもそう言っております。
無根拠なデジャ・ヴュより超現実を操る頭の部品の方が屹度幾らか理に叶っているように認めております。昨今では誰かの無責任な角の丸い言葉が有り難がられる様子ではありますが、時折、そいつからパステルカラーの拳で一方的に殴られている気持ちがします。SNSの皆んなにおやすみを告げてから、暫く居なくなった態で自分の悪口を探している時間の優しさといったら。
〝うつくしい〟と〝あいしてる〟を使いこなせないまんま成人式のスーツを脱ぎ、以来素敵な出会いが二、三あったとて何が好転するでもなく、其れは辞書を開いて偶然目に飛び込んだ言葉で出鱈目な詩擬きを書くよりも難しい。さて、林檎のジャムが出来たら、無理矢理で投げ遣りの就寝から起き上った時に早速、焼きたての後悔に塗って食べちゃいましょう。
