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自己採点で「落ちたかも…」と不安なあなたへ【第120回医師国家試験】|データで見る"その不安"の正体【リーフェ医学情報】


このブログは次の内容を解説しています。

  • 新卒合格率は95%前後で安定——統計的に、不安を感じている人の大半は合格している

  • 自己採点には「割れ問」「採点除外」「SNSの生存者バイアス」など複数の落とし穴がある——今の点数が最終結果ではない

  • ボーダーラインは毎年変動する——試験が難しければボーダーも下がるため、自分の得点だけで悲観するのは早計


第120回医師国家試験の全日程が終了しました。

自己採点で「落ちたかも…」と不安を感じている方へ、過去の合格率データやボーダー推移をもとに、その不安の正体を解き明かします。

結論から言えば、新卒合格率は例年95%前後——今あなたが感じている不安は、多くの場合"感じすぎ"です。


著者(編者):原田
所属:株式会社リーフェホールディングス 経営企画室 部長
資格・経歴:
法学部卒|政治学研究科 修士・博士|政治学教員 

自己紹介:
幼少期より病気がちで、こんにち無事に生活できているのは、医療とそれに関わる人たちのお陰です。将来の医師として、社会に貢献できる医学生の方を積極的にサポートしていきます。


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はじめに

第120回医師国家試験、2日間の全日程おつかれさまでした。


この記事を開いたということは、おそらく今、こんな状態ではないでしょうか。


「講師速報に入力してみたけど、思ったより点が低い」 「必修が怪しい…80%ギリギリかもしれない」 「SNSではみんな余裕そうなのに、自分だけ不安」


まず、結論からお伝えします。


今あなたが感じている不安は、多くの場合、"不安であること自体"が最大の敵です。


この記事では、過去の合格率データ・ボーダー推移・自己採点の精度といった客観的事実をもとに、あなたの不安を一つひとつ解きほぐしていきます。感情ではなくデータで、今の状況を整理しましょう。


結論:新卒受験者の95%は合格している

まず、最も重要な数字を確認します。


直近(昨年)の第119回医師国家試験(2025年2月実施)の結果は以下の通りです。

  • 全体合格率:92.3%(受験者10,282人 → 合格者9,486人)

  • 新卒合格率:95.0%(受験者9,507人 → 合格者9,029人)

  • 既卒合格率:59.0%


この数字が意味することは明確です。新卒で受験したあなたが不合格になる確率は、統計的にわずか5% です。


さらに過去5年間を振り返っても、全体合格率は91〜92%台で極めて安定しており、新卒の合格率は一貫して95%前後を維持しています。
つまり「今年だけ急に合格率が下がる」という事態は、制度的にも極めて考えにくいのです。


もちろん、統計は個人の合否を保証するものではありません。
しかし、「自分は落ちたかもしれない」と感じている人の大半が、実際には合格している ことは、過去のデータが繰り返し証明しています。


自己採点の不安が"過大評価"になる3つの理由

試験直後の自己採点で不安を感じるのは、ある意味で当然のことです。しかし、その不安には構造的な「バイアス」が含まれていることを知っておいてください。


理由①:解答速報はあくまで「非公式」である

講師速報やみんこれなどの採点サービスは非常に精度が高く、第117回の講師速報では予想ボーダーと実際のボーダーの差がわずか1点以内という実績もあります。


ただし、あくまで非公式の速報解答です。厚生労働省による公式の正答発表は、例年試験の1〜2か月後です。毎年、速報段階と公式発表で解答が異なる問題(いわゆる「割れ問」)が複数存在します。


つまり、今の自己採点が最終結果ではない のです。割れ問の結果次第で数点は動く可能性があります。ボーダー付近にいる方にとって、この数点は合否を分ける大きな差になりえます。



理由②:「採点除外問題」が毎年存在する

医師国家試験では、出題内容に不備があった場合、その問題を「採点除外」とする措置がとられます。第119回でもE問題の第28問が「複数の選択肢を正解として採点する」という取り扱いになりました。

採点除外問題が出ると、分母が変わるため、ボーダーラインの実質的な得点率が変動します。
あなたが間違えたと思った問題が採点除外になれば、その分ダメージは消えるわけです。この決定は合格発表時まで分かりません。



理由③:SNSとの比較は「生存者バイアス」の罠

試験後のSNSには、「余裕だった」「自己採点90%超え」といった書き込みが目につきます。しかし、これは典型的な 生存者バイアス です。


自信がある人ほどSNSに点数を書き込み、不安な人ほど黙ります。あなたが目にしているのは「書き込む余裕がある層」の声だけであり、受験生全体の声ではありません。Xやネット掲示板の空気感と、実際の得点分布はまったくの別物です。


SNSを閉じてください。 これは冗談ではなく、合格発表までのメンタルを守るために最も効果的な行動のひとつです。


意外と知られていない"驚きの事実"

ここで、受験生が見落としがちな意外な事実をいくつかご紹介します。


驚き①:ボーダーラインは「固定」ではなく、毎年変動する

必修問題の合格基準は80%で毎年固定ですが、一般・臨床問題の合格基準は 相対評価 で毎年変動します。つまり、試験全体の難易度が高ければボーダーも下がるのです。


第118回では一般・臨床のボーダーが76.7%(230点/300点)と過去最高水準でしたが、翌年の第119回では73.7%(221点/300点)へと大きく下がりました。たった1年でボーダーが9点も下がった のです。


つまり「今年の試験が難しかった」と感じたなら、それはボーダーも下がる可能性が高いということ。自分の得点だけを見て悲観するのは早計です。


驚き②:合格率92%は「簡単な試験」を意味しない

「合格率92%なんだから簡単でしょ」と言われがちですが、これは大きな誤解です。受験資格を持っているのは、厳しい医学部入試を突破し、6年間の医学教育を修め、各大学の卒業試験をクリアした人だけ。つまり、受験者全員がすでに高い学力を持つ集団 です。


そのハイレベルな集団の中で92%が合格しているということは、合格者と不合格者の差は実はごくわずかだということを意味します。逆に言えば、あなたがボーダー付近にいるということは、合格者の多くと学力的に大差がない ということです。


驚き③:「自己採点で落ちたと思った人」が受かるケースは珍しくない

ある国試浪人経験者の体験記には、こんなエピソードがあります。

「講師速報で自己採点したら225点。受かった!と喜んだのに、夜中にみんこれのボーダーが跳ね上がって絶望した。でも最終的には…」というように、試験直後の自己採点は感情のジェットコースターを引き起こします。


重要なのは、速報サービスに入力する層は成績上位層に偏る傾向がある ということ。

全受験生が入力しているわけではないため、ボーダー予測は高めに出やすいのです。実際のボーダーが速報予測より低かったケースは過去に何度もあります。


必修が不安な人へ:冷静に計算し直そう

必修問題は200点満点中160点以上(80%以上)が絶対基準で、ここが最も不安を感じやすいポイントです。


ただし、以下の点を冷静に確認してください。


必修臨床問題は1問3点配点です。 一般問題が1問1点なのに対し、臨床問題は3倍の配点です。つまり必修50問(一般)+50問(臨床)=100問ですが、配点は一般50点+臨床150点=200点満点となります。


この配点構造を正しく理解せずに「100問中○問間違えた」とカウントしていると、実際の得点と大きくズレます。もう一度、一般と臨床を分けて丁寧に再計算してみてください。思ったより点数が高かった、というケースは少なくありません。


合格発表までの過ごし方:今やるべきこと・やらないほうがいいこと

やるべきこと



まず、自分を労ってください。 6年間の医学部生活、卒業試験、そして2日間の国家試験。あなたの体と脳は、自分が思っている以上に消耗しています。


  • 信頼できる友人や家族と話す(「不安だ」と口に出すだけで楽になることがあります)

  • 十分な睡眠と食事をとる

  • 試験のことを一度忘れて、好きなことをする

  • マッチング先の手続きなど、前を向いた準備を進める


やらないほうがいいこと

  • 何度も自己採点をやり直す(結果は変わりません。不安が増すだけです)

  • SNSでボーダー予測を追い続ける(情報は刻々と変わり、そのたびに心が揺れます)

  • 「医師国家試験 落ちた」で検索する(今まさにこの記事にたどり着いた方、もうこれ以上は検索しなくて大丈夫です)

  • すぐに浪人の準備を始める(合格発表は3月16日です。それまでは何も確定していません)


【補論】"不合格"を経験した医師たちが語る、あの日の自分



ここからは補論として、少し違った角度からお話しします。本編ではデータと事実で不安を解きほぐしてきましたが、この補論では 「実際に不合格を経験した先輩医師たちの声」「合格発表までの"待ちの期間"をどう乗り越えるか」 について掘り下げます。


不合格経験者の多くが語る「意外な共通点」

国試浪人を経験した医師たちの体験記を読むと、ある共通点が浮かび上がります。それは、 「試験直後は"受かった"と思っていた」 というケースが決して少なくないということです。


ある体験記では、講師速報での自己採点結果を見て「受かった!」と確信し、その夜はお酒を飲んで祝ったそうです。ところが深夜になってボーダー予測が急上昇し、一転して眠れない夜を過ごすことになった——そんなリアルなエピソードが綴られています。


逆もまた然りです。 「絶対に落ちた」と確信していたのに蓋を開けてみれば合格だった という声も、毎年のように聞かれます。


つまり、試験直後の「手応え」は、合否の予測因子としてはあまり信頼できないのです。
人間の記憶は、不安な状態では「間違えた問題」を過大に記憶し、「正解した問題」を過小に評価するようにできています。
これは認知心理学で ネガティビティ・バイアス と呼ばれる現象であり、試験後に不安を感じやすい人ほど、このバイアスに強く影響されています。


あなたが今「できなかった問題」ばかり思い出しているとしたら、それは記憶の偏りである可能性が高い。「できた問題」は意識に残りにくいだけで、ちゃんと存在しています。

「待ちの期間」に効く、医学的にも根拠のある対処法

合格発表までの約5週間は、多くの受験生にとって精神的に最も辛い期間です。ここで医学生であるあなただからこそ理解できる話をしましょう。


不安や反すう思考が続くと、扁桃体の過活動と前頭前皮質の機能低下が起こり、ますます不安に囚われやすくなる悪循環に陥ります。この悪循環を断ち切るために、エビデンスのある方法を3つ紹介します。


1つ目は、身体を動かすこと。 有酸素運動がコルチゾールの調整やBDNFの分泌を通じて不安を軽減することは、あなたも学んだはずです。30分の散歩でも構いません。机の前で合否を考え続けるより、外に出てください。

2つ目は、「不安を書き出す」こと。 筆記開示(エクスプレッシブ・ライティング)の有効性は多くの研究で示されています。漠然とした不安を言語化することで、前頭前皮質の機能を回復させ、感情を客体化できるようになります。スマホのメモでもノートでも、「今自分が何を恐れているのか」を書き出してみてください。

3つ目は、人と話すこと。 同じ試験を受けた仲間と不安を共有するだけで、オキシトシンの分泌により安心感を得られます。ただし、注意点があります。 点数の比較は避けてください。 話す目的は「採点のし直し」ではなく、「感情の共有」です。「不安だよね」「お互いおつかれさま」——その一言で十分です。


この経験は、あなたを強くする

最後に一つ、先輩医師からのメッセージを紹介します。

ある国試浪人を経験した医師はこう書いています。 「医師国家試験に不合格になった経験は、大きな挫折に直面した患者さんに共感して頼ってもらえる大きな武器になるはずです」 と。


そしてこうも言っています。「受かった人たちの多くもギリギリでボーダーを超えただけで、皆さんと学力では大差なかったのだろうと思います」と。

合格であれ、万が一の不合格であれ、この経験が無駄になることは絶対にありません。今あなたが感じている痛みも不安も、将来患者さんの前に立ったとき、必ず力に変わります。


それでも不安が消えないあなたへ

ここまでデータや事実を並べてきましたが、それでも不安が消えないという方もいるでしょう。それは当然のことです。


6年間の努力が1つの試験に集約され、その結果を1か月以上待たなければならない。これほどのプレッシャーは、人生でそう何度も経験するものではありません。不安を感じること自体は、まったく異常なことではないのです。


ただ、1つだけ覚えておいてほしいことがあります。


医師国家試験は「皆が解ける問題を確実に解いた人」が合格する試験です。 難問を解けなかったからといって不合格になるわけではありません。あなたが解けなかった問題は、おそらく周りの多くの受験生も解けていません。

そして万が一、結果が望まないものだったとしても、それは人生の終わりではありません。国試浪人を経て医師になった先輩は数多くいます。挫折を経験したからこそ患者さんの痛みに寄り添える、そんな医師になれるという声も実際にあります。


ただし、それは3月16日以降に考えればいいことです。今は、ただ休んでください。


合格発表のスケジュール

最後に、今後のスケジュールを確認しておきましょう。


  • 合格発表:2026年3月16日(月)午後2時

  • 厚生労働省ホームページ「資格・試験情報」ページにて、合格者の受験地・受験番号が掲載されます

  • 合格後は速やかに免許申請の手続きを行いましょう(免許証が届くまで2〜3か月かかります)



おわりに

第120回医師国家試験を受験されたすべての方に、心からの敬意を表します。


今この瞬間、不安を抱えているあなた。その不安は、6年間真剣に医学と向き合ってきた証拠です。本気で取り組んだからこそ、結果が怖い。それはとても人間らしい、健全な感情です。


データは「あなたはおそらく大丈夫」と言っています。だからどうか、今日は少しだけ肩の力を抜いて、自分を褒めてあげてください。

あなたは、もう十分がんばりました。


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📌 合格発表後の手続きガイドや、初期研修に向けた準備記事も順次公開予定です。

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