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「星を抱いて生きていく」と八月の読書 #シロクマ文芸部

 星を買うためにあちこち走り回った。のびやかで澄んだ空はどこまでも青い、そんな夏だった。娘が十八歳の誕生日を迎える日まであと数日しかなかった。その上、そのあとすぐに彼女は日本を離れることになっていた。

 星を持たせてください。

 夢の中で、多分、夢の中で、そんな手紙を受け取ったのはひと月前のことだった。もともと、家族の元を離れる娘にお守りのようなものを持たせるために、あれこれ思案していたところだったから、もしかしたらそのせいで見た夢なのかもしれない。

 本物の星をその辺の無人島のように買うことはできない。そんなこと夢のお告げも望んでいないはずだ。そしてあまりに短絡的だけれど、星の形のネックレスをプレゼントしようと思い立った。ところが、探してみると星のネックレスが案外とない。あっちへ行ったりこっちへ行ったり、見つからずに右往左往しているうちに時間はどんどん流れ焦りが募り始めた頃のことだった。あっけなく星と出会った。そうして娘は銀色の小さな星を胸に抱いて出発していった。

 それから二年後、娘が二十歳になったときに、小さなダイアモンドのついたプラチナのネックレスを一緒に買いに行った。下世話な話だが、四万円のネックレスと二万円のネックレスのどちらにしようか迷っていたとき彼女はこういった。

「どっちも好きだから二万円の方にする」
 
 母の財布を気遣うようになったのだとじんとしていた私に娘は続けてこういった。

「その代わり、もうひとつ買って」

 ピアスも欲しいの?と、なかなか賢いなと思いながらきくとこんな答えが返ってきた。

「違う。ママも自分のネックレスを買ってよ」

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 あれから五年が経った。今も、娘の胸もとには星のようにキラキラひかる小さなダイヤモンドが揺れている。そして私の胸もとにも。


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シロクマ文芸部に久しぶりに参加させていただきました。

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八月最後の一日ですね。読書記録が止まってしまっておりますが、今、読んでいる本のことをちょっと書いてみます。

「1984」ジョージ・オーウェル

1984年、世界は〈オセアニア〉〈ユーラシア〉〈イースタシア〉という3つの国に分割統治されていた。オセアニアは、ビッグ・ブラザー率いる一党独裁制。市中に「ビッグ・ブラザーは見ている」と書かれたポスターが張られ、国民はテレスクリーンと呼ばれる装置で24時間監視されていた。党員のウィンストン・スミスは、この絶対的統治に疑念を抱き、体制の転覆をもくろむ〈ブラザー連合〉に興味を持ちはじめていた。一方、美しい党員ジュリアと親密になり、隠れ家でひそかに逢瀬を重ねるようになる。つかの間、自由と生きる喜びを噛みしめるふたり。しかし、そこには、冷酷で絶望的な罠がしかけられていたのだった

あらすじ(Amazonより引用)

 日本に帰ってきてから、慌ただしくて全く読書ができておりません。創作大賞の皆さんの作品も読みたいものはブックマークされているのですが、じっくり腰を落ち着けて読めずにおります。でも逃げないもんね!ゆっくり楽しませていただく予定です。

 この本もまだ途中。もともと、トラオさんにこれは読んでなかったら読んだ方がいいと思うよと勧められて読み始めました。(っていうか知らないって言ったら驚愕された)読み始めて本当に驚いたことは、この本が1949年に発売されたこと。読んでいると、なんだか私たち、こんな世界にどんどん近づいているような気がしてしまったのでした。(なんて悲観的)ですが、とても深く考え込んでしまって、なかなか進まないのです。かといって、読まなきゃよかったとも思わず、むしろ、これは読むべきだと思っています。

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 まだまだ暑い日が続きそう。皆様どうぞお身体お気をつけてお過ごしくださいね。

イタリアにて。
トラオさんがいつの間にかとっていた
謎のダンス。