初夏の九州に行きまっしょい! ー務川慧悟2025年5月九響との2公演ー
2025年5月10日(土)11日(日)、務川慧悟さんと鈴木秀美さん指揮九州交響楽団との公演が福岡県福岡市並びに北九州市で行われ、私も遠征して2公演を堪能してまいりました。公演が素晴らしかったのはもとより、福岡の町があまりに楽しかったので、各公演と旅の備忘録も兼ねた感想記事を書いてみました。いつも同様素人目線の感想、さらに今回は少々長めのこぼれ話などもあります(笑)。
九州交響楽団の人気シリーズ2公演は大変充実したプログラムだったのですが、そこはもうすみません。今記事はもう完全に務川慧悟さんの推し活に特化して振り切ってますので、毎度のことではありますがご容赦ください。
1.天神でクラシック音楽発見!ラボ#9鈴木秀美のロマン派
・日時:2025年5月10日(土) 午後3時開演
・場所:FFGホール
・出演:(指揮) 鈴木 秀美 (ピアノ )務川 慧悟 (管弦楽)九州交響楽団
・曲目:メンデルスゾーン/劇付随音楽「夏の夜の夢」作品 61 よりスケルツォ、夜想曲
メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲 第 1 番 ト短調 作品 25
シューマン/交響曲 第 4 番 ニ短調 作品 120(1841 年原典版)


拍手とともに現れた務川さんは、まさに公演ポスター通りの、モーニング上下の中は黒、胸元に白のチーフというお姿。着席し鈴木秀美マエストロと目線を交わすと、プログラム2曲目メンデルスゾーン「ピアノ協奏曲第1番」の演奏が始まった。
オーケストラの短い序奏に続き、直ぐにピアノが両手オクターヴで駆け上がり、続いて16分音符のアルペジオが上行していく。力強い打鍵。
プログラム1曲目のオーケストラだけで演奏されたメンデルスゾーン「夏の夜の夢」で、どちらかというと響きが短めのホールだなと感じたが、ピアノの音もそのままダイレクトに客席まで飛んでくるように聴こえてきた。
「ピアノの音数が非常に多く、演奏が大変」と鈴木マエストロが途中のトークで話されたように、ピアノは細かなアルペジオやフレーズが次から次へと連続するテクニカルな内容。務川さんはペダルを抑えめに、ノンレガート風に素早く弾いていく。高速走行しつつ繊細なアーティキュレーションで曲の細かな変化に対応する務川さん。粒立ちよいフレーズが次々と現れ、その分厚い音の奔流が会場を覆っていく。
曲はそのままアタッカで第2楽章へ。務川さんはハイテンションのゲージを一気に落としたかのようにテンポを抑え、ゆったりとした時が流れる静謐な世界の帳を開ける。対抗配置のオーケストラの中心部に位置したヴィオラやチェロ、コントラバスが主題を奏で、それを受けたピアノが静かに落ち着いた演奏でぐっと会場を引き込む。「音数が多い」第1、3楽章とは異なる、どちらかというと「音数が少ない」第2楽章の世界。務川さんはここではレガートを効かせながら、珠のようなアルペジオと煌めくトリルで会場を魅了する。
そのまま第3楽章プレスト - モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェへ。
メンデルスゾーンは裕福なユダヤ人家庭に生まれ育ち、グランドツアーで各国を巡り、美術の才能にも恵まれ、多くの友人達に囲まれていたという。この日のプログラム3曲目のシューマン「交響曲第4番」はメンデルスゾーンが初演で指揮する予定だったほどに、シューマン夫妻とも信頼関係にあった。育ちが良く誰からも愛される存在。今でもメンデルスゾーンはピュアな存在として語られることが多い作曲家だと思う。
鈴木マエストロは「メンデルスゾーンは残念ながら若くして亡くなってしまった天才」で、その音楽は「わかりやすく楽しい」と仰っていた。
その言を借りるなら、ピアノがその特性を生かして華々しく活躍する第1&第3楽章は音楽の楽しさに溢れているし、第2楽章はメンデルスゾーンのピュアな魂が紡ぎ出されているように感じられる。この日の務川さんの演奏からもそんな楽しさとピュアの両面が伝わってきた。
今回注目したのは第3楽章の終盤、ピアノのソロからTuttiでジャン! のカットインまでの間に務川さん自作部分が追加された小カデンツァが挟み込まれていたことだ。(前回2023年にお聴きした時はなかったと思う)。サイン会でお聴きしたら「(カデンツァの挿入を)マエストロと決めた」と仰っていたが、まさにメンデルスゾーンのシンプルな魅力が活かされたカデンツァで、協奏曲としての魅力をさらに引き立てていた。
その後はオーケストラと一体となっての疾走感あふれるエンディング! 会場は拍手に包まれた。
非常に個人的な感想となるが(まあ全編そうですが)、務川慧悟という人は、繊細な音色と響きの多彩さ、アーティキュレーション、曲の解釈が魅力なのはもちろんだが、一方で〈決然たる音、姿勢〉というのも捨てがたい魅力だと思うのよね。そしてオーケストラという強力な共演者がいるとき、その魅力がより発揮される。この日の演奏は響きの幅が抑えめだったホールならではの、打鍵の迫力が際立った演奏だった。
アンコールはメンデルスゾーン「無言歌集」よりOp.19-3「狩人の歌」とOp.19-4「信頼」。宴の後に奏でられるピアノだけの世界。自分の部屋に戻った感溢れる務川さんのアンコールはいつも特別な雰囲気をまとっている。この日会場を包んだ空気は今も忘れられないなあ。
5/10(土)天神でクラシック #9
— 九州交響楽団 Kyushu Symphony Orchestra (@KyushuSymphony) May 2, 2025
5/11(日)第78回北九州定期演奏会
ピアニスト務川慧悟さんに話を伺いました!
・演奏するピアノ協奏曲について
・鈴木秀美さんとの共演について など
5/10は残席僅少!
5/11北九州公演は販売中!
本編は九州交響楽団公式YouTubeへ!
#九州交響楽団
#務川慧悟 pic.twitter.com/aHynpPJXsz
九響さんとのとても楽しく刺激的なメンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番、初日終わりました。写真は鈴木秀美マエストロと@打ち上げ😄
— 務川 慧悟 Keigo MUKAWA (@keigoop32) May 10, 2025
明日は15時 北九州芸術劇場にて、2公演目です。北九州の方、是非いらして下さいね〜!(当日券が出ます) pic.twitter.com/gDD1AzaYF6
☆第1日目のこぼれ話☆
会場がある天神に来たのは初めてでワクワクだったが駅周辺や商店街、大通りなどは人も多く賑わっていてさすが天神! そんな町のパワーをコンサートでも感じた。天神て名前もいいよね。
天神駅からホールまでは地図アプリを頼りに歩いたがあれ福岡銀行? ああどうやら「FFGホール」というのは福岡銀行内にあるホールのことなのかも、とその時点で気づく(笑)。

「入口→」という表示に従いさらに半周したところ、屋外カフェの奥にまるで秘密の入口のような地下階段が! いやまあ、逆から回れば通りからすぐだったという話なんだが。スタッフの方の案内で階段を下り、ようやくロビー着。地下なのに全面ガラスを通して吹き抜けの中庭が見渡せる開放的な空間で、柔らかい日光に包まれた明るい雰囲気が素敵だった。
スタッフさんに①九響のコンサートはいつも開場は1時間前、②マエストロのお話が曲間にあると伺う。なるほど九響コンサートあるあるですね。会場に多くいらした九響スタッフのみなさん、温かくてホスピタリティ高かったです。
終演後は務川さんのサイン会もあり、多くのファンが並んだ。私もサインをいだたき外に出るとまだ17時半!明るい! ということでその後はフォロワーさんと中洲の屋台に行ったり、もつ鍋やゴマサバといった九州名物を堪能しました。
務川さんも鈴木マエストロと博多の夜を楽しまれたようですね♪
九響さんとのとても楽しく刺激的なメンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番、初日終わりました。写真は鈴木秀美マエストロと@打ち上げ😄
— 務川 慧悟 Keigo MUKAWA (@keigoop32) May 10, 2025
明日は15時 北九州芸術劇場にて、2公演目です。北九州の方、是非いらして下さいね〜!(当日券が出ます) pic.twitter.com/gDD1AzaYF6

2.九州交響楽団第78回北九州定期演奏会
・日時:2025年5月11日(日) 午後3時開演
・場所:J:COM北九州芸術劇場 大ホール
・演奏者、曲目は5/10と同じ

九州シリーズも第2日目。
この日の務川さんはタキシードにブラックタイ! シュッとしていて素敵です。
前日とは異なり音が長く残るというか、いわゆる響きが良いホール。ピアノとオーケストラとの絡みや響きが昨日と全く違うのを感じる……同じプログラムを異なるホールで連日聴く醍醐味ですよね。今日も務川さんはノンレガートの打鍵と抑えめのペダリングだが、昨日より音がまろやかで長めに感じられた。
それを強く感じたのはやはり第2楽章。務川さんも昨日よりたっぷりと時間をかけて演奏し、各楽器との音の重なりをより深く味わっているような印象を受けた。ゆったりとしたテンポで音の響きを聴かせ、各楽器が現れるとそちらに目線を配り同期する。進行するにつれ曲は次第に内面に分け入っていく。外で見せている陽気なキャラとは違う、自分の世界に戻ってきて初めて開く胸襟。昨日はまだ打ち解けられなかった思いを今日ようやく吐露できた、そんな第2楽章だった。
第3楽章のカデンツァは昨日よりも少し長めだったと思う。今回は第2楽章を思わせる雰囲気が終盤に現れ、それが「僕もここにいるよ」と小さく強く存在をアピールするピュアな内面の声のように感じられた。
アンコールは「無言歌集」より、この日はOp.67-2「失われた幻影」とOp.67-3「巡礼の歌」。染み入る演奏に会場はうっとり。
改めてプログラム全体を考えてみると、メンデルスゾーンとシューマンというのは珠玉の組み合わせではないですか。
メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」は、鈴木マエストロの「この曲は一般的に考える夏ではなく、季節は実は4月30日から5月1日を描いたものです」というお話によると、まさにこの季節に合った曲。またメンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番ト短調とシューマンの交響曲第4番ニ短調は関係調だし、ともに全曲切れ目なしのアタッカで演奏されるという共通点もある。前述したとおりシューマン「交響曲第4番」の初演にはメンデルスゾーンも当初関わっていたそうだし(※メンデルスゾーン体調不良で実現しなかった)。九響のシーズン始め、初夏の九州にふさわしい爽やかなプログラムだったと思う。
務川さんは両日ともにサイン会をこなし、そこでも多くのファンを魅了していたことは言うまでもない。
福岡での九響さんとのメンデルスゾーン1番×2日間!終えました。鈴木秀美マエストロに導かれ、生きた音楽ができた!と感じる、刺激多き数日間でした。
— 務川 慧悟 Keigo MUKAWA (@keigoop32) May 11, 2025
この機会に乗じてメンデルスゾーンのピアノ曲を色々遊び弾きしていたので、アンコールは2日とも無言歌集を弾いたよ:)
1日日:Op.19-3,4
2日目:Op.67-2,3 pic.twitter.com/qkmXrAEbPs

☆第2日目のこぼれ話☆
博多駅から約1時間。今回の舞台は北九州市の西小倉。初めて伺ったのだが、会場である〈J:COM北九州芸術劇場〉は、〈リバーウォーク〉というショッピングモールも含む大きな商業施設の中にあるのですね。いやあ、どこから入ればいいのか……今日も迷いました(笑)。エスカレーターを乗り継ぎ、右往左往してなんとかたどり着いた6階ホワイエからは眼下に小倉城を眺めることができ、見晴らし最高だった。
遠征組の皆さんも小倉の町や近くの門司港を訪れたようですね。ホールは最寄りの西小倉駅か徒歩10分足らずだし、道中にはおしゃれなカフェなどもあり散策も楽しかった。
こうして演奏はもちろん観光や食も楽しめて、非常に実り多い九州遠征となりました。出会った皆様、九州の皆様、ありがとうございました。そして何よりこんな機会を与えてくれる我が推し、務川慧悟氏には感謝ですね!

