唐木順三『現代史への試み』

1945年12月7日、筑摩書房が総合誌『展望』を1946年1月号(3円50銭)で創刊した。
1948年2月25日発売の『展望』3月号(25円)に、44歳の唐木順三(からき・じゅんぞう、1904年2月13日~1980年5月27日)「型の喪失:鷗外をめぐつて」が掲載された。
1949年3月25日、45歳の唐木順三著『現代史への試み』(筑摩書房、130円)が刊行された。
一 近代精神 三人稱世界の成立
二 ドストイェフスキイ 三人稱世界から二人稱世界へ
三 型と個性と實存 現代史への試み
附錄
一 近代と現代(河上肇と夏目漱石)
二 假説の神(太宰治)
あとがき
「型の喪失:鷗外をめぐつて」は「型と個性と實存 現代史への試み」の第1節となった。

1959年9月20日、54歳の臼井吉見(うすい・よしみ、1905年6月17日~1987年7月12日)編集・解説『現代教養全集』(筑摩書房)(全25巻+別巻)第13巻、『日本の近代』(320円)が刊行された。
唐木順三「現代史への試み」を収めた。
1963年10月15日、「筑摩叢書」、59歳の唐木順三著『新版 現代史への試み』(筑摩書房、380円)が刊行された。
一 現代史への試み 型と個性と實存
二 近代日本の思想文化
三 近代と現代 河上肇と夏目漱石
四 自殺について 日本の断層と重層
五 教養といふこと
六 虚構の魔術化
七 殘るもの
八 途中の喪失
九 新しい幸福論のために
あとがき


1965年2月15日、『現代日本思想大系』(筑摩書房)(全35巻)、第32巻、52歳の福田恆存(ふくだ・つねあり、1912年8月25日~1994年11月20日)編集・解説『反近代の思想』(450円)が刊行された。
唐木順三「現代史への試み」を収めた。
1967年8月25日、『唐木順三全集』(筑摩書房)(全12巻)第3巻、唐木順三著『增補 現代史への試み 自殺について 近代日本文學』(1,500円)が刊行された。
『增補 現代史への試み』、第3章「現代史への試み」に「附錄」として、もともと『現代史への試み』第11節として書かれた「媒介と象徴:田邊哲學について」を追補し、「言葉の囘復」「デカルトと現代」「顔貌」の3章を増補した。
新版に収めた「自殺について」は、『現代史への試み』から除かれ、別個に扱われた。
『現代史への試み』、3「現代史への試み:型と個性と實存」、1「型の喪失」より引用する(76頁)。
大正六・七年(一九一七・八年)は日本にとつてのみならず、世界にとつても非常な年であつた。單に非常といふには藎きず、歷史の上の轉換點であつた。第一次世界戰爭の未だ戰はれてゐた大正六年三月にペテログラードに革命が起り、ロマノフ朝は斷絶した。そして聯合國側は相ついでロシアの假政府を承認し、日本もまたそれにならつた。七月にはケレンスキイ内閣が成立したが、それより先、四月にスウィスから封印列車で露都に歸つたレーニンに指導されたボルシェヴィキにより、十一月七日にケレンスキイ内閣は顚覆し、ソヴィエト政權が成立し、獨墺側と卽時講和を宣言した。
たまたま讀んでゐる河上肇自叙傳によると、彼はボルシェヴィキ革命を次のやうな受入れ方で受け入れた。
「大正七年一月、ロシヤでは、社會主義ソヴェート共和國の憲法が制定された。地球上六分の一の地域を占めるロシヤにおいて、やがては共産主義社會に進化發展するであらうところの、社會主義社會が建設の緒に就いたといふ、人類の歷史あつてこのかた未曾有の、この大事件は、世界各國に偉大なる精神的影響を及ぼし、その餘波は、東海の孤島日本國の思想界にも及んで來た。理論的には一應納得してゐても、そんなことが果して實際に實現できるものだらうかと、半信半疑の狀態に彷徨してゐた人々も、急に前途の光明を認めるやうになつた。現實の事實が人の精神に及ぼしたかうした影響力は、百の理論よりも强いものがあつたであらう。しかし、ロシヤ革命は、事實を以てせし以外に、また理論を以て、世界に大なる影響を及ぼした」(第一章、二二四頁)。
1973年8月20日、『唐木順三文庫』(筑摩書房)(全17巻)第2巻、唐木順三著『新版 現代史への試み』(850円)が刊行された。
1981年6月1日、『增補版 唐木順三全集』(筑摩書房)(全19巻)第3巻、唐木順三著『增補 現代史への試み 自殺について 近代日本文學』(3,800円)が刊行された。

2001年1月、京都で、74歳の上田閑照(うえだ・しずてる、1926年1月17日~2019年6月28日) 監修、71歳の大峯顯(おおみね・あきら、1929年7月1日~2018年1月30日)、 63歳の長谷正當(はせ・しょうとう、1937年12月26日~)、56歳の大橋良介(1944年2月8日~)編「京都哲学撰書」(燈影舎)(全30巻+別巻)第12巻、唐木順三著『現代史への試み』(3,800円)が刊行された。
解説は岡田勝明(1951年~)だ。

2013年6月10日、「中公選書」、「唐木順三ライブラリー」(全3巻)Ⅰ、唐木順三著『現代史への試み 喪失の時代』(中央公論新社、本体2,300円)が刊行された。
解説は83歳の粕谷一希(かすや・かずき、1930年2月4日~2014年5月30日)だ。
