顧客の問題を発見し、「ニュース」をつくり続ける企業の強さ
『ネスレの稼ぐ仕組み』を読んで考えたこと
『ネスレの稼ぐ仕組み』を読んで印象に残ったのは、
ネスレが商品を売る会社ではなく、顧客の問題を起点に価値と話題を生み出し続ける会社だという点だった。
本書で語られている内容は、単なるマーケティング施策や成功事例ではない。
「顧客とは誰か」「その顧客はどんな問題を抱えているのか」、
そしてどうすれば社会にとって“ニュース”になる形で価値を提示できるのか
という、一段深い視点に貫かれている。
ネスレの基本構造は「顧客理解」から始まる
ネスレの思考は、次のシンプルな流れで整理できる。
顧客の問題を発見する
顧客とは誰なのか?を定義し直す問題を解決する
顧客が持つ潜在的な問題を見極める新たな付加価値を創造する
重要なのは、
「どんな商品を売るか」ではなく、
「誰の、どんな不便や不満、満たされていない欲求に向き合うか」
を最初に決めている点だ。
顧客は消費者だけではない
ネスレの強さは、顧客定義の柔軟さにある。
顧客とは、
商品を使う人
取りまとめる人
導入を判断する人
すべてを含む。
自分が所属する部署や立場によって、
「誰を顧客として見るべきか」は変わる。
この視線の切り替えができるからこそ、
ネスレは新しい市場やビジネスモデルを生み出せる。
マーケティング4.0と「自己実現」の視点
本書では、マーケティング4.0の考え方も重要な柱として語られる。
これからのマーケティングは、
顧客の問題を解決するだけで終わらない。
問題解決によって生まれた価値が、
顧客の自己実現につながっているか
人の欲求は、
生理的欲求 → 安全欲求 → 社会的欲求 → 承認欲求 → 自己実現欲求
と段階的に高まっていく。
ネスレは、
「コーヒーを売る会社」ではなく、
働く時間を少し豊かにし、人と人の関係をなめらかにする存在
として価値を設計している。
ネスレ日本のオフィスコーヒーは「ニュース」だった
象徴的なのが、ネスレ日本のアンバサダープログラムである。
アンバサダーが自ら申し込む
認定されるとコーヒーマシンが無料で届く
オフィスで淹れたてのコーヒーが安価に飲める
取りまとめはアンバサダーが担う
この仕組みは、
単なる販売モデルではなく、「語られたくなる出来事」=ニュースだった。
家庭向けでは高いシェアを持つ一方、
家庭外(オフィス)ではシェアが低いという市場構造。
そこに対して、
オフィスの人間関係
職場のちょっとした楽しみ
場づくりを担う人の承認欲求
といった、数字に表れにくい問題を見事に突いている。
結果として、
「ネスレがまた面白いことを始めた」
という話題が自然に広がっていった。
「ニュースをつくれ」という視点
本書を読みながら感じたのは、
ネスレは常に**「それはニュースになるか?」**という問いを持っていることだ。
広告で無理に伝えるのではなく、
仕組みそのものが新しい
顧客の行動が変わる
誰かが語りたくなる
そんな設計をすることで、
結果的にブランドも売上も伸びていく。
ニュースとは、派手な発表ではなく、
顧客の問題を本気で解決した結果として生まれるものなのだ。
顧客が気づいていない問題に向き合う
ネスレが徹底しているのは、
顧客の「要望」ではなく「無自覚な問題」を見る姿勢である。
なぜそれを我慢しているのか
なぜ今のやり方が当たり前になっているのか
本当は、何が満たされていないのか
この問いを突き詰めることで、
模倣されにくく、語られやすい価値が生まれる。
感想:稼ぐ仕組みは、ニュースの連続でできている
『ネスレの稼ぐ仕組み』は、
「どう売るか」ではなく、
**「どんな問題解決を、どんな形で社会に提示するか」**を考えさせてくれる一冊だった。
顧客をどう定義するか
潜在的な問題をどこまで深く掘れるか
それはニュースになるか
この3つを考え続ける企業だけが、
結果として高い利益率と持続的な成長を手にするのだと思う。
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