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子どもが外の世界に触れた日、父親は何を感じるのか

先日、慣らし保育が始まった。

朝の空気は、いつもと少しだけ違っていた。
やることは同じはずなのに、どこか一つひとつを確かめるような動きになる。

預けるのは、たった1時間半。
それでも、気持ちは妙に落ち着かなかった。

仕事で、送迎はできず。
玄関で見送るとき、息子はいつもと変わらない顔をしていた。
これから何が起きるのか、まだわかっていないような顔。

数時間後、帰ってきた妻が言った。
「不安そうな顔してたよ」

その一言で、見ていないはずの場面が頭に浮かぶ。
知らない場所、知らない大人、知らない空気。
あの小さな体で、それを受け止めていたのかと思うと、少し胸がざわつく。

そして同時に、こうも思った。
その場に自分はいなかった、ということ。

守れなかった、というより、
守らなかった、という感覚に近い。

帰ってきた息子の顔は、朝とは少し違っていた。
泣き疲れた様子でもなく、ただ静かに、何かを経験したあとの顔をしていた。

たった1時間半。
でも、その時間は確実に彼の中に積み上がっている。

これまで、子どもの成長は「近くで見届けるもの」だと思っていた。
でも実際には、見ていない時間の方が、彼を大きくしているのかもしれない。

そう考えると、少しだけ怖くなる。

これから先、保育園の時間は長くなり、
家族の外側に彼の世界が広がっていく。

そのすべてを、私は知らないままになる。

父親として関わっているつもりで、
実はほんの一部しか見ていないのかもしれない。

でも、それでいいのかもしれないとも思う。

全部を知ることが関わることではないし、
全部を抱え込むことが愛情でもない。

むしろ、知らない時間があるからこそ、
帰ってきたときの小さな変化に気づけるのかもしれない。

あの1時間半は、息子にとってのはじめての外の世界であり、
同時に、自分にとっての距離の取り方を考える時間でもあった。

まだうまくできている気はしない。
手放しているのか、ただ関われていないだけなのかも、正直よくわからない。

ただ、この時期はきっと、あっという間に過ぎていく。

だからこそ、どれだけ関わったかより、
どんな気持ちで向き合っていたかの方が、後に残る気がしている。

また次の朝も、同じように送り出すことになる。
少しだけ慣れた顔で、でもきっと、内側では揺れながら。

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