保育園の一週間で、置いていかれた気がした
初めて保育園に預けた日の朝
息子は状況がよく分かっていない顔をしていた。
いつものように抱っこされ、
いつものように車に乗り、
いつものように大人たちに囲まれている。
ただ、違っていたのは、
その先に「父も母もいない時間」が待っていたことくらいだ。
最初の二日間は、やっぱり泣いたらしい。
先生から連絡帳や送迎をした妻から様子を聞きながら、
「そりゃそうだよな」と思う反面、
少しだけ安心している自分もいた。
ちゃんと寂しがっている。
ちゃんと親を求めている。
そんなふうに確認したかったのかもしれない。
けれど、一週間も経たないうちに、息子は環境に慣れていった。
先生の顔を見ると笑うようになり、
抱っこされればご機嫌で、
他の子どもたちの様子をきょろきょろ見ているらしい。
持ち前の愛嬌なのか、にこにこしている時間も増えたという。
正直、少し驚いた。
もっと時間がかかると思っていた。
もっと「両親がいないとダメ」みたいな瞬間が続くと思っていた。
でも現実は違った。
息子は父の知らない場所で、
父の知らない表情を見せながら、少しずつ世界を広げていた。
その事実をうれしく思う一方で、
ほんの少しだけ置いていかれる感覚もある。
気づけば、自分は「育てているつもり」になっていたのかもしれない。
もちろん、オムツも替えるし、ミルクも作る。寝かしつけだってする。
それなりに関わっているつもりだった。
でも子どもは、親が思っている以上に、自分の力で世界に馴染んでいく。
こちらが手をかけた分だけ育つわけでもないし、四六時中そばにいないと不安定になるわけでもない。
むしろ、親の知らない時間の中で、ちゃんと成長している。
それを知った時、少しだけ救われた気持ちになった。
父親になると、「ちゃんとやれているか」を考える時間が増える。
仕事とのバランス。
家計のこと。
夫婦の役割。
子どもと過ごす時間。
特に40代になると、時間は無限じゃないことも嫌というほど分かっている。
だからこそ、「今しかない」を取りこぼしたくなくなる。
でも実際は、毎日完璧にはできない。
疲れてスマホを見てしまう日もあるし、寝不足で余裕がなくなる日もある。もっと遊んであげればよかったと思いながら、一日が終わることもある。
それでも、子どもは少しずつ前に進んでいく。
親が思う以上の速度で。
最近、保育園から帰ってきた息子を見ると、朝とは少し違う顔をしている気がする。
たった数時間なのに、何かを経験して、何かを感じて帰ってきている。
その積み重ねが、この先の「その子らしさ」になっていくんだろう。
父親としてできることは、案外少ないのかもしれない。
でも、「ちゃんと見ている」ということには意味がある気がしている。
成長を管理するんじゃなく、変化に気づける大人でいたい。
そんなことを、保育園一週間目の連絡帳を読みながら考えていた。
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