GWの経験②|お父さんの育児|育児日記|
GWの帰りに高速道路を運転中、ふと思い立ち、もう一ヶ所だけ寄り道をした。
前日に行ったデンパークの流れで、そのまま帰るのも少しもったいない気がして、岐阜県にある道の駅古今伝授の里やまとへ向かった。
道の駅に着くと、囲炉裏の煙の匂いが漂っていた。
炭火の香りは、不思議と足を止める。
囲炉裏では鮎が串に刺されて、じっくり焼かれていた。前日のデンパークでは、前の記事に書いた理由で食欲がなかったけど、この日は自然と食欲が湧いていた。

「ああ、今日はちゃんと食べたい」
そんな感覚で、鮎の塩焼きを買った。
串を持ってかぶりつくと、皮の香ばしさと塩気が広がる。川魚独特の少し苦味のある味が、妙にしっくりきた。
若い頃なら、もっと分かりやすい味を求めていた気がする。
でも今は、こういう静かな美味しさに落ち着く。
年齢を重ねるって、こういうことなのかもしれない。
隣では、息子がじっと鮎を見ていた。
串に刺さった魚が珍しかったのか、煙が気になったのか、小さな目でずっと追いかけている。
もちろん、鮎の味なんてまだ分からない。
でも、「何か知らないものがある」という空気は感じている気がした。
その姿を見ながら、ふと思った。
この子は、何を覚えていくんだろう。
きっと鮎の味そのものは覚えていない。でも、父親が嬉しそうに食べていた顔とか、家族で出かけていた空気感みたいなものは、案外どこかに残るのかもしれない。
そう考えると、休日の過ごし方って少し怖い。
特別な場所へ行ったことより、どんな顔でその時間を過ごしていたかの方が、後からじわっと残る気がするから。
父親になってから、「今しかない」という言葉の重さが変わった。
以前は、来年も再来年も同じように時間が続く感覚だった。でも今は違う。
今年のGWの息子は、今年しかいない。
来年には歩いているかもしれないし、再来年には自分で鮎を触りたがるかもしれない。
そう思うと、何気ない寄り道ですら、少し特別に感じる。
その一方で、自分はつい効率や段取りを考えてしまう。
渋滞しないルートとか、次の予定とか、疲れをどう残さないかとか。
思い出を作るつもりなのに、気づけば管理ばかりしている。
父親として、まだまだ未熟だと思う。
でも、囲炉裏の前で鮎を見つめる息子を見ていたら、少しくらい予定通りじゃなくてもいいのかもしれないと思えた。
子育てって、何かを教えることより、一緒に眺める時間なのかもしれない。
数年後、この日の細かい会話は忘れているだろう。
でも、煙の匂いとか、鮎を持った手の感触とか、隣で息子が不思議そうに見ていた横顔だけは、妙に記憶に残り続ける気がしている。
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