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函館ストーリー

「夜景に触れた指先」

函館山から見下ろす夜景は、 まるで街そのものが呼吸しているように輝いていた。

あまりにも美しくて、 私は言葉を失った。

ただ、隣にいる彼の手を ぎゅっと握りしめることしかできなかった。

その温もりが、 夜景よりも確かな“光”のように思えた。

ふと空を見上げる。
夏の夜空は、星が少なかった。

けれど、それも当然だ。
この街の光が、 星の輝きを追い越してしまっているのだから。

私たちは指で小さな望遠鏡を作り、 夜景の向こうにある“未来の地図”を覗き込んだ。

「ここが、私たちの行きたい場所」
「じゃあ、こっちは?」
「それは…まだ秘密」

指先で描いた夢は、 夜風に溶けて、 静かに街の光へと吸い込まれていった。

その瞬間、 夜景はただの景色ではなく、 二人の心を照らす灯りになっていた。


あとがき

函館山の夜景は、 ただ“きれい”という言葉では足りないほどの力を持っています。

街の光が星空を追い越すほどの輝き。
その前に立つと、 人は自然と静かになり、 隣にいる人の存在を強く感じるようになります。

今回の物語は、 そんな“光に包まれる瞬間”を そっとすくい取った一篇です。

夜景は消えても、 あの時の温度だけは、 ずっと心に残り続けるのだと思います。

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