【KOC2015完全振り返り】全ネタ解説|コロチキ優勝は“勢い”ではなく大会構造に最適化されていた
2015年のキングオブコントは、かなり特殊な大会だった。
この年から審査方式が変更され、
松本人志
さまぁ〜ず
バナナマン
という“現役コント師”による審査へ移行。
さらに、
上位5組がファイナル進出
合計点勝負
というルールになったことで、
「2本揃える能力」
が非常に重要になった。
結果として2015年は、
キャラクター強度
テンポ
笑い密度
即効性
が極めて重視された大会になっていた。
そして、その条件に最も適応したのがコロコロチキチキペッパーズだった。
この記事では、2015年決勝で披露された全ネタを、構造・演技・審査傾向の観点から分析していく。
大会概要
開催日:2015年10月11日
エントリー数:2455組
MC:ダウンタウン
優勝:コロコロチキチキペッパーズ
決勝進出者
藤崎マーケット
ジャングルポケット
さらば青春の光
コロコロチキチキペッパーズ
うしろシティ
バンビーノ
ザ・ギース
ロッチ
アキナ
巨匠
ファーストステージ
藤崎マーケット「結婚式」
ネタ構造
結婚式を舞台にした“空気崩壊型”。
田崎の異常テンションをトキが受け続ける構図。
特徴的だったのは、
「説明前に押し切る」
タイプだったこと。
普通のコントは、
状況説明
ボケ発生
展開
の順。
だが藤崎マーケットは、
“まずテンション”
から入る。
そのため観客が理解する前に笑いへ巻き込まれる。
評価ポイント
声量
スピード
テンポ
に特化。
ただし構造的にはやや単調。
後半の“伸び”が弱かった。
ジャングルポケット「警備員」
ネタ構造
警備員の異常行動を軸にしたコント。
このネタの強みは、
「役割分担の明確さ」
だった。
太田 → 暴走
おたけ → 空気操作
斉藤 → 説明役
という分業がかなり綺麗。
特に斉藤の“普通のリアクション”が重要だった。
ジャンポケは、
“異常キャラを成立させる土台”
が非常に強い。
弱点
ただし2015年KOCでは、
“平均点型”
に見えてしまった。
全体的に完成度は高いが、
「この瞬間に会場が爆発した」
ポイントは少なかった。
さらば青春の光「ラーメン屋」
ネタ構造
森田が作る“嫌なリアル”が全面に出たネタ。
構造としては、
日常
違和感
不快感
崩壊
を積み上げるタイプ。
さらばは、
「人間の嫌な部分」
を笑いへ変換する技術が非常に高い。
なぜ伸び切らなかったか
理由はシンプル。
“理解に時間が必要”
だったから。
2015年は、
一瞬で理解できる
キャラが強い
ネタが有利だった。
その空気と少しズレていた。
コロコロチキチキペッパーズ「卓球」
ネタ構造
2015年大会を象徴するネタ。
卓球部の先輩・後輩という極めて分かりやすい設定。
だが本質は、
“ナダルのキャラクター提示”
にある。
このネタは開始数秒で、
「この先輩ヤバい」
を観客へ理解させる。
これが強い。
技術的に優れていた点
① 情報量
ナダルは、
顔
声
姿勢
動き
全部がキャラクターになっている。
つまり“登場した瞬間から面白い”。
② 反復
同じ動き・テンションを繰り返す。
普通なら飽きる。
だがナダルの場合、
“次どう気持ち悪くなるか”
への期待へ変換されていた。
うしろシティ「職員室」
ネタ構造
かなり技巧派。
特徴は、
「情報整理能力」
の高さ。
キャラ配置
状況説明
会話整理
が非常にスムーズ。
金子の異常性を阿諏訪が丁寧に処理していく。
評価
コントとしての完成度は高かった。
ただし2015年は、
“瞬間最大火力”
がかなり重要だった。
うしろシティは“上手い”が先に来るタイプだった。
バンビーノ「パイセン」
ネタ構造
典型的な“身体反復型”。
リズム
動き
リアクション
で笑わせる。
特に石山のリアクションが重要。
観客は内容ではなく、
“熱量”
に笑っていた。
2014との違い
2014年「ダンソン」は未知だった。
だが2015年は、
「観客が文法を理解済み」
だった。
つまり、
“初見の衝撃”
が減っていた。
ここが大きい。
ザ・ギース「ホームレス」
ネタ構造
高佐のキャラクターコント。
尾関が状況整理を行う。
ザ・ギースは、
「不条理設定」
が非常に上手い。
日常の中に少しだけ異常を混ぜる。
弱点
ただし2015年KOCでは、
“玄人受け”
寄りだった。
爆発力勝負になると少し不利。
ロッチ「試着室」
ネタ構造
2015年で最も“綺麗”なコント。
状況
違和感
加速
崩壊
の流れが極めて自然。
中岡の異常性をコカドが丁寧に処理していく。
なぜ高評価だったのか
ロッチは、
「観客に理解させる能力」
が高い。
複雑なことをやっていない。
だから全員が入れる。
ただし勝ち切れなかった理由
“爆発点”不足。
平均点は高い。
だが2015年は、
「一撃の印象」
がかなり重要だった。
アキナ「ケンカ」
ネタ構造
会話劇ベース。
山名と秋山の自然なテンポが特徴。
アキナは、
「リアル会話」
を作る能力が高い。
特にツッコミが説明臭くない。
弱点
ただ2015年KOCでは、
少し“地味”に映った。
会場支配力が弱かった。
巨匠「万引きGメン」
ネタ構造
岡野の異常キャラを本田が処理する形。
巨匠らしいシュール系。
評価
ネタ単体の個性は強かった。
ただ、
分かりやすさ
即効性
重視の2015年とは少しズレていた。
ファイナルステージ
進出は、
コロコロチキチキペッパーズ
バンビーノ
ロッチ
ジャングルポケット
藤崎マーケット
藤崎マーケット「コンビニ」
分析
ファーストより整理されていた。
ただし、
“爆発更新”
までは届かなかった。
ジャングルポケット「医者」
分析
役割分担は非常に優秀。
ただ、
“予想を超える異常性”
が少なかった。
ロッチ「路上ライブ」
分析
完成度はかなり高い。
ただ、
「怖さ」
が足りなかった。
2015年は、
“予測不能”
が重要だった。
バンビーノ「犬」
分析
依然として身体能力は高い。
だが、
“観客の慣れ”
が発生していた。
リズムネタ最大の課題。
コロコロチキチキペッパーズ「やっべぇぞ!」
ネタ構造
2015年優勝を決定づけたネタ。
本質は、
「フレーズ支配」
にある。
“やっべぇぞ!”
というワードを中心に、
テンション
キャラクター
展開
全部をコントロールしている。
最大の強み
ナダルが、
「登場前から期待される状態」
に入っていたこと。
これは極めて強い。
観客が、
「次どうなる?」
ではなく、
「また変なことするぞ」
を期待していた。
つまりキャラクターが完成していた。
なぜコロチキは優勝したのか
① キャラ理解速度
短時間で理解できる。
KOCと相性が良い。
② 笑い密度
2015年は“間”より“連打”が強かった。
コロチキはそこに完全適応。
③ 審査方式との相性
5人審査制になり、
“会場全体の熱”
が重要になった。
コロチキはそこが非常に強かった。
総評
2015年KOCは、
“キャラクター強度”の大会
だった。
ロッチの構成。
さらばのリアル。
うしろシティの技巧。
完成度の高いコントは多かった。
だが最後に勝ったのは、
“数秒で会場を支配できた”
コロコロチキチキペッパーズ。
あの優勝は、勢いではない。
“KOCという競技に最適化された結果”だった。
