失敗の体験を共有しないことに価値がある
失敗体験は大切だ。
失敗と言う痛みを伴う体験は心に残る。
心に残るからこそ学習効果が高い。
そうして
失敗しない様に気をつける様になる。
失敗体験は行動を変えるきっかけであり、
成長するきっかけになる。
でも
できれば失敗しない方が良い。
だから親は子どもに注意する。
「走っちゃだめ!転んで怪我をしたら痛いよ。」
「勉強しろ!大人になったら苦労するぞ!」
社会人だってそうだろう。
痛い目に合わないためになんとかしてやりたいと思うのは人情だ。
そして“善意“から
組織の中で失敗の体験を共有することは良くある。
ヒヤリハッとの共有などはその典型だし、
それは大体の場合において正しい。
でも、
失敗の共有が悪い影響を及ぼすこともある。
例えば、
告白をして、
拒絶されて、
モームリってことは良くあることだと思うけれど、
それがキッカケでもう恋愛は懲り懲りなんて人もいる。
失敗体験は大切だと言われるけれど、
失敗体験が行動を強く抑制することがある訳です。
そして
これは個人の話だけじゃない。
本業と離れて新たな事業に取り組んで、
それで失敗をしてらこうなる。
やっぱり本業が大切だ!
新たな挑戦といえば聞こえは良いが
得意な分野を守ることが一番だ。
スポーツだと天敵意識を持った相手には自然に動きが固くなる。
80年前の戦争でコテンパンに負けたから、
アメリカが犯す悪行に日本はダンマリを貫く。
失敗体験と言うのは人に、
組織に、無意識の内に大きな影響を与えるのだ。
失敗を糧にすることはとても大切だが、
失敗が枷になることも意識すべきだ。
だからこそ
失敗の体験を共有しないことに価値がある。
ポジティブに世界を見るためには
失敗の体験がない方が良いこともあるのだ。
実際に
僕たちにはこの失敗の体験を共有せず、
世界を常に新鮮に見る機能が既にインストールされている。
「世代交代」だ。
世代交代の最大の価値は何か?
それは
価値観がその時代に応じてアップデートされることだ。
例えば
お爺ちゃん、お婆ちゃん世代はネットもスマホも苦手だ。
でも、
経営者が孫世代になればネットやスマホを前提にした社会になる。
言い方を変えると、
その時代その時代に応じた技術や価値観のアップデートは、
世代が交代しないと実装されにくいとも言える。
でも、
この価値観のアップデートと同じくらい重要なことは、
失敗体験を共有していないからこそ、
苦手意識を持たずに挑戦できるという点だ。
失敗して学ぶことはとても大切だ。
でも、
それが故にチャレンジの意欲が萎んでしまっては本末転倒だ。
時の変化とともに社会はどんどん変化していく。
失敗のエッセンスは同じでも失敗の環境は変わって行く。
だから古い失敗に引っ張られすぎてはいけないのだ。
そしてここにこそ世代交代の価値がある。
失敗をしていない目で、
新しい時代に育った感性で「現代」を見た時、
「過去からの積み重ね」として「現代」を見る世代とは
全く違う世界が見えているのだ。
もちろん、
失敗をしていないからこそ失敗は必ず起こる。
そして
教訓を生かすために新たな世代の中でも
失敗を共有しようとするモーメントは生まれる。
失敗を生かそうとするのは生きる知恵だからだ。
でも、
だからこそ、
意識をしなければならないこととは、
失敗を知らない新たな世代の感性と視線を、
失敗の可能性を許容しつつ、
それでも積極的に取り入れようとする勇気ではないだろうか。
国にも企業にも「中興の祖」と呼ばれる人がいる。
その人は素晴らしい。
でも、
その人の可能性に託した先人の勇気を
あえて僕は讃えたいと思う。
