日本人世界一周旅行者の研究 2019 ⑤アジアにおける訪問地の分析
※本記事は2019年に私が執筆した論文をもとにしています。現在とは異なる点が多々ありますのでご了承ください。

アジア地域における日本人世界一周旅行者の訪問地は上の図の通りです。
パッと見た感じですと、「東南アジアのインドシナ半島、マレー半島」と「北インド」に集中している様子が分かります。
日本人世界一周旅行者のアジアの訪問率は約90%でした。ほとんどの旅行者が訪問していることになります。
訪問地は主にバンコクを中心と したインドシナ半島、マレー半島とデリーを中心とした北インドに集中しています。最も多く訪問されていたのはバンコク(19人)でした。アジアを訪れる旅行者の多くはバンコクを訪れており、その目的は旅慣らしや予防接種、移動の準備など様々です。私も2018年(1回目)や2025年(4回目)の世界一周旅行では、まさに「旅慣らし、ウォーミングアップ」を目的としてバンコクを訪問しています。
また、バンコクを訪れるのと同時に、近隣のアンコ ールワット(12人)やルアンパバーン(11人)、クアラルンプール(11人)を セットで訪れるパターンが多かったです。また、北インドにもバラナシ(11人)やアグラ・タージマハル(9人)、デリー(8人)などの世界一周旅行者が訪問するスポットが集中しています。
アジアは世界一周旅行の出発地として定番です。世界一周旅行に限らず、海外旅行初心者にとってもハードルが低い土地であり、ガイドブックや旅行者 からの情報量も豊富です。そのため、まだ旅慣れていない旅行者がなるべく 安全に旅行できるよう、できるだけガイドブックに掲載されるような場所を巡ったり、以前の旅行者が実践した旅行とおなじような旅行を行ったりしやすい地域です。このように旅行者が他の旅行者と同じ場所を巡るという行為が、訪問地の東南アジアと北インドへの集中という形として表れています。
一方でアジアでは中央アジア付近や東アジア、島嶼部の3か所が世界一周旅行者から敬遠されていることが先ほどの図から読みとれます。考えられる要因としてはそれぞれ、
中央アジア⇒ビザ取得の煩わしさ・治安面の不安東アジア⇒近すぎること
インドネシアなど島しょ部⇒アクセスのしづらさ
があげられます。旅の出発直後は大変重要であり、「これから始まる壮大な旅行を前にした不安の中で安全に旅行がしたい」と思う一方で、「治安の悪い地域や通常の旅行でも気軽に行ける場所、訪れるのが煩わしい場所にはなるべく行きたくない」という葛藤を旅行者は抱えています。
その中で東南アジアや北インドは、旅行者にとって比較的無難な地域です。これらの地域は先発旅行者からもたらされる豊富な情報もあり、訪問は容易です。また、お手軽に異文化体験ができることから、世界一周旅行においても訪れる価値があるとみなされることで旅行者が集中しています。多くの旅行者にとって(特に西回りルート選択者にとって)アジアは「旅の始まりの地域」であり、バンコクやデリーを中心に「足ならしの場」として性格づけられています。
※今冷静に振り返ってみると、東南アジアと北インドを一括りにして「足ならしの場」としたのは少し違和感がありますね…東南アジアは「足ならしの場」で納得していますが、北インドは色々トラブルに遭った旅行者も多かったようなので、例えば「バックパッカーとして成長しにいく場」とか「(深夜特急のような)昔ながらの旅の雰囲気を味わいに行く場」とかにして、東南アジアと分けて論じた方がよかったのかなと思います。
今回はここまでです。
次回は
⑥ヨーロッパにおける訪問地の分析
になります。
