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【第24回3つのお題に空想のひらめきを】ディーゼル車にさつまいもを添えて【短編】

おばらきー🚂
片桐みかんさんの素敵なお題に参加しました。

今回は3つのお題全て使って作ってみたので、そこそこ長めになってます。

たそがれ列車

カンカンカンカン…
夕暮れの街。
静かな街に踏切がけたたましく鳴る。
この街は仕事でしか訪れないので、周りがどんな暮らしをしているかなんて知りもしない。
分かることは1時間1本に電車が走る田舎ということだ。

帰りの電車を待とうと、無人の改札を通り、ベンチに座り、スマホで時間を潰す。
すっかりルーティンになってしまった。
本当はスマホから少しでも離れたいんだけどな…。
仕事のストレスからいつも何かに意識を逸らしたくなってしまう。

「おーい!」

聞き慣れた声。
振り向くと同僚が改札にやってきて、何やら紙袋を渡してきた。

「方向、同じなんで良かったら。」

同僚はニッコリ笑う。
紙袋は温かい。

「わあ…。」

覗くと、ホクホクとしたさつまいもが入っていた。
仕事以外まともに話したことない同僚だが、いつも気にかけてくれているのだろう。

カンカンカンカン…!

さつまいもに手を伸ばしたかけた時、踏切が鳴る。ヤバい、電車が来る。
1両の小さなディーゼル車が小さな駅に停まる。
開いた扉に急いで駆け込んだ。

ガラスの舟

キーッ!
ガタンガタン…

席に座り、ふーっとひと息。
赤に橙に黄色…。
穏やかな暖色の紅葉が流れる。
あ、そうだ。さつまいも!
流れる景色を眺めながら、さつまいもをひと口。

「ん…うまい。」

ねっとりした甘味が疲れた体に染み渡る。

「うわ、眩しい…!」

ギラギラとした西陽がさつまいもを照らす。
車窓には湖が見えている。

「え、今の!」

キラキラと西陽に輝き湖に1つの舟が浮かんでいるのが見えた。
一瞬透けているように見えた。

キーッ!

列車が停まる。
あの舟が気になり、衝動に駆られるように降りてしまった。
車窓から見えた湖を訪ねると、やはり舟が浮かんでいた。

「おや、あんた。来ちゃったのかね。」

船頭が呑気に言う。
沈みかけた夕陽にガラスの舟が浮かんでいる。
何故だか時間の経ち方がいつもより早い気がする。

「え…来ちゃダメだったんですか。」
「もう駅に戻れない。帰れなくなっちゃうよ!」

早よ戻れ、と船頭は払いのけるように手を動かす。

「どうしよ…明日も仕事なのに!」
「仕方ない。ほれ、送ってやるから!」

思わぬ形でガラスの舟に乗ることになった。

ひび割れた月

すっかり日が暮れてしまった。
あぁ…自分はなんてことを…
沈んだ気持ちで水面を見つめる。
やつれた顔をしている自分に嫌気が差す。

「お前さん、何か悩みでもあるのかい?」
「悩んでるのとは、ち、違います!」
「ほぉ、そうかい。」

思わずぶっきらぼうに返してしまった。
本当は何のために仕事をしているのか話したかったけど…プライドがあって言えなかった。

「…迷い道も人生ってもんさ。」

船頭がふと呟いた。
なんとも言えない気持ち。
水面を見ると、月が浮かんでいる。

「ほれ、着いたぞ!さっさと帰りな。」
「は、はい!ありがとうございます…。」

早よ帰れと相変わらず船頭は振り払うように手を振る。
急いで舟を降りて、空を見上げる。
月がピシッとひび割れるのが見えた。
え、と思い目をこする。
やっぱり、ひび割れていた。
なんだか自分の心を見透かしているかのようだ。

「…疲れてるのかな。」

今日は早く寝よう。
ふと振り返ると湖も舟も無かった。
紙袋には食べ欠けのさつまいも。
夢…じゃない。
あの体験は何だったんだろう。


次はちゃんと色々見てみようかな。
そう思ったら、なんだか心が軽くなった気がした。

あとがき

長々とお読みいただきありがとうございます😊
湊線に乗った思い出から書いてみようかなと思いました。
書いてて楽しかったです🙌


#3つのお題に空想のひらめきを

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