コミック書評:『流星のシシ』(1000夜連続197夜目)
昨年の連載開始後、話題を集める少年バトルマンガ『流星のシシ』は、江戸初期という動乱の余熱が残る時代に、山陰・備中国の山深き隠れ里〈鎖守村〉から物語が始まる。
主人公・岩戸シシは17歳。村の鎮守である〈天鎖神社〉の跡取りであり、穏やかな物腰の少年だ。だがその神社の蔵には、鉄隕石から鍛えられた秘伝の武器「流星」と「彗星」が眠ると伝わる。
この村では刀剣の所持が禁じられている。
ゆえにシシは、体術や棒術などの古武術、そしてとりわけ“鎖術”を徹底的に鍛え上げてきた。境内に掛かるのも注連縄ではなく"鎖"。祓いと拘束を同時に担う象徴だ。
だが、ある夜、その秘密を嗅ぎつけた「揺り籠」と名乗る忍びの集団が村を襲来。かろうじて、境内に掛けられていた"鎖"を用いて、忍びを退けたシシだったが、父・岩戸白叟は命を落とし、蔵の武器は消える。
だが臨終の際、父はシシに明かす――「彗星は短刀、そして流星は……お前がいま振るったその"鎖"だ」と。
ここから復讐譚が動き出す。シシが用いる鎖「流星」の正体は、隕鉄の核を宿すことで伸縮自在、分銅が星の尾のように軌跡を描く。攻守一体の機構は少年漫画的カタルシスに満ちるが、同時に神主としての祓いの所作が戦闘に組み込まれているのが本作の肝だ。祝詞を唱え、鎖で結界を描く。暴力が祈りと同居する。
道中で出会うのは、長刀の名手・萩藩の浪人、九条伊織。長身で寡黙、戦では冷徹だが、村を焼かれた過去を抱える。さらに〈揺り籠〉を抜けたくノ一、真朱(まそほ)。彼女は“母胎のごとき組織”に疑問を抱き、離脱を図る。
一般的な日本刀・剣術の使い手がいないという登場キャラクター設計も挑戦的で、長刀、鎖、短刀、体術が交錯する戦闘は独特の間合いを生む。
そして最大の驚きは〈揺り籠〉の正体だ。彼らは単なる忍びではない。朝廷の直属隠密機関であり、戦乱孤児を密かに集め、記憶と名を奪い“新たな人格”を植え付ける集団――人を武器に育てる“ゆりかご”だった。
また、隕鉄由来の武器に宿る“天地の力”は、持ち主の精神を増幅する。優しき者は祓いの光に、憎悪を抱く者は破壊の星へと導く。その超常の力を用いて幕府を倒すことが〈揺り籠〉の目的だった。
復讐に燃えるシシは、やがて自らの怒りが“流星”の力を、そして自らを歪めることを知る。神主としての慈悲と、子としての憎しみ。その相克こそが本作の核心だ。
星は落ちるものではなく、昇るものになれるのか。鎖は縛るものではなく、繋ぐものになれるのか。山深い鎖守村から始まった物語は、瀬戸内、石見の地下坑道、出雲の荒海へと舞台を広げ、やがて京都へと繋がっていく。
鎖術という稀有な武器設定、祈りと暴の二面性、そして“揺り籠”の子供たちとの戦。『流星のシシ』は、星の名を冠した二つの武器を巡る、静と動が拮抗する新機軸の少年バトルマンガだ。
というマンガが存在するテイの書評。
スキが沢山ついたらホントにコミカライズされるかも☆
参考にした記事)
視点。少年マンガでマジで難しいっす。。。
