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コミック書評:『悪魔が着たプラダ』(1000夜連続270夜目)

 一見すると軽やかなファンタジーコメディのようでいて、その実、日常の裏側にひっそりと棲みつく“呪い”を可視化する――『悪魔が着たプラダ』は、そんなユニークな設定が光る作品だ。

 舞台は現代の人間社会だが、実はそのすぐ隣で悪魔たちが当たり前のように生活している。ただし彼らにはひとつ重大な制約がある。「呪われたもの」しか身に着けることができないというルールだ。この奇妙な縛りが、作品全体に独特のユーモアを与えている。

 主人公の名前は七瀬アヤメ、26歳。人間と悪魔のハーフで、見た目はごく普通の女性だが、彼女の瞳には“呪い”が色として視える。前世や因縁、事故や死の記憶が染みついた品々は、彼女にとってはまるで値札のように情報を語りかけてくるのだ。彼女が働くのは「リリス・リサイクルブティック」という、悪魔専門のリユース衣料店。表向きはヴィンテージショップだが、裏では“呪物適合保証”という奇妙なサービスを提供している。

 この店で扱う衣料は単なる古着ではない。たとえば、事故現場で身に着けられていたコートや13日の金曜日に着られていたドレスなど、どれも「いわく付き」のものばかり。果てには「事故歴のある車」など衣類以外も取り扱っている。悪魔たちはそれらを選びながら、なんとか人間社会に溶け込もうとするのだ。

 ここで描かれるのは、いわゆる非日常的なバトルや陰謀ではない。むしろ逆で、極めて日常的な悩み――似合う服がない、TPOに合わない、第一印象で損をする――といった問題を、悪魔ならではの制約の中でどう解決するかという“生活の工夫”である。だからこそ本作は、「異世界に行く」タイプの脱日常ではなく、「日常の中に異物が混ざる」タイプの脱日常を提示している。

 特に秀逸なのは、“呪い”の扱い方だ。呪いは恐怖の対象ではなく、彼らにとっては必須の機能や個性のひとつとして描かれる。つまり呪いとは、避けるべきものではなく“付き合い方を選ぶもの”として再定義されているのだ。

 アヤメ自身もまた、その狭間で揺れる存在だ。人間として普通に生きたい気持ちと、悪魔として呪いを扱う才能。そのどちらも中途半端であるがゆえに、彼女は客たちの悩みに寄り添える。コメディ調の軽やかな会話の裏で、彼女の言葉がふと刺さる瞬間があるのは、その立ち位置ゆえだろう。

 『悪魔が着たプラダ』というタイトルが示す通り、本作はファッションを通じて“装うこと”の意味を問い直す。
 人は何を身に着け、何を背負って生きているのか。呪いという極端な設定を通じて、それを可視化する手つきは実に鮮やかだ。日常の延長線上にある、ほんの少しのズレ。そのズレを楽しむ感覚こそが、この作品の提示する「新しいタイプの脱日常」なのである。









というマンガが存在するテイの書評。

★スキが沢山ついたらホントにコミカライズされるかも★

参考にした記事)

視点。
「プラダを着た悪魔」は見たことないんですが、語感が最高だと思っていて、これは完全にタイトルから考えました。それにしては、なんか面白そうな気がするw

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