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夢のBTSは「こんにちは」と名乗った。

興味のないことにはとことん疎い。


韓流ドラマも今は見ていないし、韓国アイドルも顔と名前がうっすら一致するかどうかレベルだ。

別に嫌いなわけではない。ただ単に、興味のアンテナが向いていないだけである。


そんな私だが、韓国コスメにだけはいち早く飛びついていた。


まだあまり日本で取り上げられていない頃に、機能性化粧品のパイオニアのアモーレパシフィックのコスメを現地の店舗へ直接連絡して送ってもらっていたほどだ。

値段は安いのに高品質だったため、とにかくよく買っていた。


……と、話が脱線した。
それくらい芸能関係には疎いという話だ。



そんな私の夢に、ある日あの「BTS」が出てきた。
友人にその話をすると、当然のように突っ込まれた。


「この間、BTSが家に来た夢見たんだよね」

「え、BTS? 詳しくないじゃん」

「うん」

「で、メンバーの誰が来たの?」

「わからない」

「じゃあなんでBTSって分かったのよ」

「それがさ、インターホンが鳴って出たら『こんにちは。BTSです!』って言ってきたんだよね」

友人は大爆笑して、即座に言った。

「それ、夢であっても絶対に詐欺だから!」

「だよねぇ〜」



夢というのは実にリアルでよくできている。

自分が知らない知識は、夢の中でも補完されないらしい。


冷静に考えて、突然本物が家にやって来て「こんにちは、BTSです」と名乗るはずがない。

現実にそんなことがあったら、ドアを開けるどころか即通報案件だ。



思えば、私のこの「疎さ」は昔からだった。


かつて冬の寒い日、ホテルの前で友人の車を待っていた時のこと。

寒さを凌ぐため、従業員通用口に通じる、ちょっとした狭い凹みになるところへ身を潜めていた。



するとそこへ、突然、背の高いイケメンが必死の形相で走ってきた。

「不審者!?」と警戒した直後、角から黄色い歓声が聞こえた。

私は咄嗟にそのイケメンを隠すように、凹みの出入り口前にすっと立った。


直後、若い女性たちの集団が私を一瞬チラッと見ながら、ホテルの中へ駆け抜けていった。



どうやらバレーボールの有名選手だったらしく、ファンの追跡から逃げてきたらしい。

図らずも彼をかくまう形になったが、私には誰だかさっぱり分からない。

私の中での認識は単なる「背の高いイケメン」。


友人の車が到着したため、私は「モテるのも大変ですね」とだけ言い残し、あっさりとその場を去った。


翌日、ネットニュースを見て驚いた。

そこに載っていたのは、昨日かくまった例の彼だった。

「サインでももらっておけばよかった」と後悔したが、後の祭りである。

(ちなみに後日、サッカー選手に遭遇した時も、私の感想は「デカいイケメン」止まりだった。)



どれほど世間を騒がせるスターであっても、私のフィルターを通せば全員ただの「背の高いイケメン」に変換されてしまう。


きっと、一番驚いたのは有名選手のほうかもしれない。


キャーキャー言われるのが当たり前のはずなのに、目が合っても顔色ひとつ変えない私を見て、心の中でこう呟いていたのではないか。



「え?? 俺の知名度ってそんなでもなかったんだ……ショック…」😢


もしも本物のBTSに会ったとしても、同じく顔色を変えることはないだろう。

だって、顔が分からないんだから。



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