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変な運動神経

皆様はもうご存じかと思われますが、私は、子供の頃、頭がデカくてよく転んでいた。

そのせいで両親は、私のことを「運動神経の悪い子」だと思い込んでいたようだ。


だが、悪くはなかった。

少しばかり「偏って」いただけなのだ。

まず、道具を使わない運動が苦手だった。
走るのもダメだし、泳ぐのも嫌い。

とにかく水に顔をつけるのが嫌で、ずっと顔を出したまま泳いでいた。

どうしても泳ぎたくない日は、わざと水着を忘れるという技をよく使ったが、これが意外にも有効だった。



また、持久戦になるものも好きではなかった。

だからこそ、剣道は自分に合っていたのだと思う。早ければ数秒で試合が終わる。

私には、一瞬に賭ける「瞬発力」があったのかもしれない。


そんな私の、ちょっと奇妙な運動神経が証明されたのが、中学校の時のことだ。

地域の学校が集まる陸上競技大会が開かれることになった。

私が選んだのは「砲丸投げ」だった。

授業で数回やった程度で、練習もほぼゼロの一発勝負。

広い競技場の片隅でひっそり行われていたので、さっさと投げて友達の応援に行こう、くらいに考えていた。

ところがいざ投げてみると、思った以上に砲丸が飛んだ。

予選を通過し、本戦で投げた結果、7位入賞。

砲丸投げもまた、瞬発力の競技。

きっと、剣道で鍛えられた肩の強さも味方したのだろう。


考えてみれば、私は一度バスケットボール部に入ったものの、退部して剣道部に入り直している。

きっと、集団でやる競技に向いていなかったのだ。

剣道にも団体戦はあるが、試合は一対一の個人戦である。


きっと、努力が嫌いで自分勝手という表れなのかもしれない。



そんな私が、人生で一番好きだったのは「木登り」だ。

もし木登りがオリンピック競技になっていたら、私は相当な上位を目指せただろう。

登れそうな木を見つけると、ところ構わず登り始めた。


何より大好きだったのは、小学校のバックネット裏にあったヒマラヤスギだ。

かなりの高さまで登り、そこから静かに下界を見下ろす。

子供ながらに、天下を獲ったような気分に浸れる最高の場所だった。


しかし、このヒマラヤスギで、私は木登りからの引退を余儀なくされる。

原因は「毛虫」、多分アメリカシロヒトリだったと思う。

飛び移ろうとした枝に、その毛虫が大量に固まっているのを見つけてしまい、躊躇した瞬間、私はバランスを崩して落下した。

幸い大怪我にはならなかったものの、地面に叩きつけられて、しばらく息が止まったのを覚えている。

尾てい骨も、しばらく痛みが引かなかった。



今振り返ると、私は決して運動神経が悪かったわけではないのだと思う。

走るのも泳ぐのも苦手だったが、一瞬の爆発力が求められる競技や、自分の感覚だけを頼りにする遊びは好きだった。



砲丸投げも、剣道も、木登りも、どこか共通している。



「何でもできる人」ではなかったが、「妙なところだけ異様に強い人」だったのだ。


子どもの頃はそれを欠点だと思っていたが、大人になった今では、それもひとつの強みだったのだろうと思う。



最後に参考までに。

イチョウの木と柿の木は、樹皮が大変滑りやすい仕様になっております。
安易に登るのはおやめください。
(まあ、誰も登らないとは思うけれど……。)



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