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また同じ職場になれる筈だったが…

 私は、仕事が無い日という事も有り、正午過ぎまで不明瞭な夢の中だった。トイレに行きたくなったから、目を開いた。
 トイレの前に、スマホに新たに来た連絡を確認すると、去年働いていた職場で出会った吉村さんがくれたメールが待っていた。
「寺田ちゃんに残念な知らせがあります。
この間のテストで不合格みたいだから●●入社は駄目になったよ。
現場で寺田ちゃんと会えるのを楽しみにしていたけど残念です。
次の仕事が決まったら会いましょう。」
 メールは、最後まで読まなくても"残念"という二文字が目に映った瞬間に、私のテンションは波に屈した砂の城の様になった…。
 丁度一週間前に、吉村さんと会った際に、
「俺は、派遣として寺田ちゃんが働いている職場に行くんだけど、オリエンテーションで十問有るテストをやらされたんだ。事前の説明で会社からは、テストさせられるなんて聞かされてなかったんだよ。
 それで、俺八問合っていて、オリエンテーションで仕事やルールの説明をしていた男からは、九問以上正解じゃないと働けねーぞって、嫌味で挑発的な言われ方されたんだ。
 そんな言われ方には腹が立ったから、言い返してやりたかっぜ!」
 と言っていたのを思い出した。この話は到底腑に落ちなかった。私は去年春に吉村さんと違う派遣会社に仕事の応募をして入社テストなんて無かった。仕事内容は変わらないから、派遣会社によってテストの有無なんか有るとは思えない。後から入社テストを設ける事になったのだろうか…。
 どうであろうと、一緒にいて充実感に浸れた吉村さんと、今の職場で会える事はもう叶わなくなった。
 吉村さんと会えなくなって、私に襲いかかって来たのは「寂しさ」と「落胆」だけでは終わらない。私は、少人数の部署に配置されていて、忙しさが増す一方である。もう「キャパオーバー」という状況だ。御負けに、仲間がおのおの違う指示や連絡をして来て「板挟み」に翻弄されて了う…! さっき生まれた寂しさや落胆は、キャパオーバーや板挟みを、一層強く重く感じさせる負の影響なのである。

 今、私は喫茶店に居る。茶色い煉瓦の壁、木目調の床、西洋風の照明という味わい深い空間に溶け込みながら、今の職場で良い点を見出す事を試みている。失った期待を埋めるには、他の何かを掘り起こすしかない。
 今は、去らない台風は無いと自分に言い聞かせる。
                    完


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