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知らぬ間に育っていた感情

私は、いつからこんな気持ちを胸の奥に抱えていたのだろう、
とふと思う夜がある。

はじめは、ほんの小さな違和感にすぎなかった。

誰かの言葉に少しだけ胸がざわめいたこと。

何気ない景色に、なぜか足を止めてしまったこと。

通り過ぎれば消えてしまうような、ささやかな揺らぎだった。

けれど人の心というものは、
案外、静かな場所で勝手に育っていくものらしい。

気づかぬうちに、その小さな揺らぎは根を張り、
言葉にもならぬまま胸の深いところに棲みついていた。

寂しさだったのかもしれない。

誰かを想う気持ちだったのかもしれない。

あるいは、自分でも認めたくなかった弱さだったのかもしれない。

私たちは、平気な顔をして毎日を生きている。

笑って、頷いて、何事もないように時間をやり過ごしていく。

けれど、その裏で心は確かに何かを感じ取り、少しずつ、少しずつ、
見えない感情を育てている。

それはまるで、誰にも知られぬ庭の片隅で、
名もない花が咲くようなものだ。

気づいたときには、もう引き返せないほどに、心の中で大きくなっている。

人が胸を熱くするのは、突然何かが生まれるからではない。

ずっと前から、自分でも知らないうちに育っていた想いに、
ようやく気づく瞬間があるからだ。

ああ、私はこんなにも寂しかったのか。

ああ、私はこんなにも誰かを大切に思っていたのか。

その気づきは、ときに切なく、ときに痛い。

けれど、その痛みこそが、生きてきた時間の証なのだと思う。

もし今、あなたの胸にも、理由のわからない熱があるのなら、
それはきっと、知らぬ間に育っていた大切な感情です。

消そうとしなくていい。

名前を急いでつけなくてもいい。

それは、あなたが今日まで懸命に心を守りながら生きてきた証であり、
誰かを想い、自分を想い続けた温度そのものだから。

心の奥で静かに育ったその熱は、きっとあなたを、そして誰かを、
やさしく照らしていくはずです。

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