かわいい
かわいい
俺は、かわいいものが大好きだ。
まず、花をかわいいと思う。
特にかわいいと思うのは、チューリップとマツバボタンだ。
1年生の時、俺たちの入学を祝い、2年生が植えておいてくれた
チューリップを花壇で見た時、なんてかわいい形をした花なんだ、
と思った。
幼稚園の花壇にも多分あったし、歌でも歌っていた花だけど、
小学校で見た時、初めてかわいいと思った。
6才。良さが分かる年になったということだったのか?
それから、マツバボタンが、かわいい。
名前を聞いて思い浮かばない人もいると思うが、すぐに、スマホでググってみて欲しい。
ピンク、オレンジ、黄色、白、赤…。しかも透明感のある小さな花の色が、なんてかわいいんだ、と思うんだ。
仮に、白いボールのようなプランターに色とりどりのマツバボタンを植えるとする。それだけで、9月下旬まで、優しい気持ちで過ごせる気がする。
友だちとケンカをすることも、減るかもしれない。
また、「可憐」という言葉の意味を知って、まさにそれだなと俺は思った。
こんな具合に、俺は花をかわいいと思う。
それから、パンダって、なんてかわいいんだと思う。
嫌なことがあった時、辛いことがあった時とかに、あのかわいさに癒されるといいんだ、全人類が。
「パーツの全てが、丸」ってところが、かわいいと思わせる秘密なのかなどと勘繰る。それは、親パンダにも効果的で母性をくすぐるとの説もあるそうだ。でも、たとえそんな策略があったとしても関係なく、「かわいい!」と、俺はなる。それに、パンダは、子パンダも親パンダもほぼ同点でかわいい。目の周りの垂れた感じの黒色もホッとする。意外に目は鋭いけど。
「別に、動物園に行かなくたって会えるじゃない、写真とか」って言う人もいる。でも、アドベンチャーのパンダさんは、海の向こうの国に渡る日、集まった人たちから「行ってらっしゃい」って見送られていた。
その気持ちがよく分かる。俺も思わず、そう言っていた。
パンダは、どんなモチーフグッズを作っても、本物のかわいさには敵わない唯一の動物だと、俺は思っている。
あとは、サクランボ。あの、基本、二つ繋がっている姿が、いい。
もちろん、一つでも十分にかわいいのだが、二つになると、そのかわいさが10倍増しになる。
1年生での算数で、10の構成を勉強した時や、くり上がりの足し算を勉強した時に、10を二つの数に分けて考えた。3と7、2と8のように。
その数を繋いで、サクランボ計算なんて、かわいく言っていたことまで
思い出す。
サクランボ。色も、ぷっくらした形も、香りも全てがかわいい。
もちろん、味も、見た目にジャスト・マッチングだ。
だから、口に入れるときに少しだけ、躊躇する。
食べてしまっていいのか?と。
「かわいい」の好みは、人それぞれだ。
だから共感できたらいいけど、そうじゃなくても悲しいわけじゃない。
むしろ、その人を知ることができた気になり、もっと知りたいと思い、
それぞれの「かわいい」を中心に、会話も弾むことだろう。
それに、やはり、俺は俺。
世の中には色々なものが無数にあるが、グッとくる「かわいい」と出会えた時、俺は嬉しくなる。テンションが上がる。
こうして、何かを見てかわいいと思う感性を、
俺は自分自身で、すごく気に入っているんだ。
